勇者のを奪った魔王シナトラ。

ベルトとの邂逅の後、姿を消した彼はダンジョンの奧底――――

深遠部に現れた。

そこには２つのが存在していた。

１つは魔王が座るための玉座。

もう１つはダンジョンコア――――ダンジョンを制するためのクリスタルだ。

魔王はダンジョンコアにてをれた。

本來ならば魔力を注することでダンジョンの様子を窺ったり、モンスターたちを活化するのだが――――

魔王が行った行為は逆だった。

ダンジョンの魔素が逆流され、魔王のにり込んでいく。

魔王が勇者に討たれた後、世界中のダンジョンは次々に消滅していった。

そして殘ったのは４つのダンジョンのみ――――

なぜ、ダンジョンが消滅していったのか？　なぜ４つのダンジョンが殘ったのか？

それはわかっていない。なぜ、わからないのか？

それは人間側の學者が出した見解だからだ。

魔族側は違う。人間たちとは違って理由は明白だ。

そもそも魔族に取ってダンジョンとは拠點。

魔王が討たれた直後、魔族たちは各地の拠點ダンジョンを破棄。

４箇所のダンジョンに戦力を集中する事で再起を狙っていた。

そして、今日、絶対なる指導者である魔王シナトラが帰還したのだ。

西のダンジョン――――否。新たな魔王城に――――

吸収した魔素がを循環して自の力に変換されていく。

その覚に魔王は、歓喜を乗せたため息をつく。

そして――――

「室を許可する。姿を見せるがいい……我が四天王たちよ」

そういうと、暗い部屋に魔方陣のがれる。

転移魔法だ。

魔方陣は５つ。　そこから５人・・が姿を現した。

「うむ、誰一人欠けることなく、この場の再會……まずは嬉しく思う」

ひれ伏せた５人が肩を震わせる。顔も見せず、聲も出さぬが、その姿からは喜びが伝わってくる。

「許す、顔を上げて立つが良い」

５人は一糸れぬきで立ち上がった。

右から――――

參謀　フェリックス　ローブで全を覆って顔までも隠している。それでも酷い痩せ型なのはわかる。

魔獣將軍　ラインハルト　獅子の頭を持つ半獣半人の戦士

暗黒將軍　ルーク　漆黒の鎧。今は兜をいでいる。人と変わらぬ顔。

人狩將軍　ヘルマン　10歳にも満たない年のような見た目。

そして、5人目は――――　？　？　？

「今の我等が目標。そのために、參謀を除いた３人には他のダンジョンの制を頼みたい」

全員からの肯定の意思。

ならばと魔王は酒のったグラスを宙に浮かべ、それぞれの手元に送る。

それをけ取った四天王は――――

「全ては魔王のために！」

一気に酒を飲み干すと空になったグラスは地面に叩きつけて割った。

決起の儀式であった。　儀式によって猛った彼らは姿を消した。

――――いや、１人だけ殘っている。

それは、四天王の共に魔王に謁見した謎の人だった。

「うむ……首尾の方はどうだ？」と魔王。

「はい、冒険者ギルドの部は、ほぼ……上層部は子飼いの者にすり替えました」

「なるほど、次に取りるのは……王族か？」

「はい、しかし……」

「気になっているのであろう？　あのベルトと言う男を……」

魔王の言葉に男は「……」と無言で返した。

その表は、まるで苦蟲を噛み潰したかのようなものだった。

「あの男は、今回の計畫を本から崩しました。本來ならば、私が――――」

「構わぬぞ」と魔王。そして、こう続けた。

「ギルド側からあの男に近づけ、そして――――」

「隙あらば殺します」

男の目に浮かんだ殺意を見て魔王は笑った。とても愉快そうに笑った。

「ならば行け。吉報を待っているぞ」

「はい、必ず」と男は姿を消した。

転移魔法。

転移したのは天幕の。外からざわめきはれている。

男は天幕から出て外の様子を窺った。

場所は西のダンジョン部。周囲には100人の冒険者たちが休息をとっている。

Sランク以上の冒険者で構され、勇者救出を目的とするパーティ。

男は、それに支持を出す立場にいた。

男の名前は――――

ソル・ザ・ブラッド