《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》死者を見たのだ

その姿を見た瞬間にメイルは駆け出した。ベルトはきと呼吸を止めた。

2人の差は、認識の違い。

目前でする者を見取ったベルト。

手紙でする者の死を知ったメイル。

ただ、その差だけなのかもしれない。

ベルトに取ってもメイルに取っても最――――

カレン・アイシュ

メイルの姉であり、ベルトの妻だっただ。

ベルトが彼のことを語るとしたら、し首を傾けながら唸り、それから――――

「およそ暗殺者に向かない格と暗殺者に生まれるべき才能を持っただった」

そう告げるだろう。

天真爛漫。他人思い……あらゆる命を尊び、悪を許さない格。

一方でその才能は教えた技を砂漠に垂らした水滴のように吸収していく。

仮に神が存在するとしたら――――

、どのような思で、人を殺すためのを生み出し、人をするための神を混ぜ込んだのだろうか?

――――いや、彼の存在こそが、この世界に神が存在しない証明ではないか?

ベルトは幾度となく真摯に考えて頭を痛めていたものだ。

「俺から學びたいのなら非常になれ」

そう教え込むも人を殺す忌に耐えれるカレンではなかった。

初仕事の時もそうだった。

時刻は深夜。 場所は目標ターゲットの寢室。

見守るベルトを背に、カレンは寢息を立てる目標を殺せずに立ち盡くしていた。

「俺から學びたいのなら非常になれ」

を洗脳するかのように呟くベルト。

徐々に言葉が彼神を蝕んでいき――――

く握ったナイフを振り上げた。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

気がつくと彼が振り下ろそうとした腕を摑んで止めていた。

なぜ、そんな事をしたのか? それはベルト自にもわからなかった。

2人とも呆然としてきを止めた。

そのまま、言葉もなく目標の寢室を後にした。

依頼は失敗だ。

だが――――

「殺さない暗殺者。そんな奴が1人くらいいても良い。そう思ったのだ」

帰り道にベルトは、そう言った。

でも、その言葉が支離滅裂だという事は分かっている。

だが――――

しかし――――

けれども――――

それでも――――

構わないとベルトは思った。

きっと、自分は彼の才能が惜しいのだ。

殺せないのならば、自分が殺せばいい。

人の忌を犯せないなら、犯せる人間がやればいい。

自分が人を殺すための道になるのか――――

それとも自分が人を殺すためにカレンを道にするのか――――

やはり、支離滅裂。

なぜならベルトの本心は他の所にあり、それを自が理解していないからである。

単純に、彼には人を殺してほしくないという自の願いを當時のベルトには理解できなかったのだ。

ともあれ閑話休題。

死者を見たのだ。

あの日、ベルトの手に抱かれ死んだはずのカレンを見た。

走って追いかけるメイル。 呆然とするベルト。

しかし、カレンは人ごみに紛れて姿を消した。

見間違え? あるいは他人の空似?

どちらもありえるかもしれない。しかし――――

≪気配知≫

そのベルトのスキルを掻い潛れる人間は同じ暗殺者が、それとも本の死人か?

どちらか、2種類しか存在していないだろう。

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