《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》敗北必至? 猛省の果てに

地面に殘った片足でベルトは飛翔する。

下から上へ、『不破壊』のアゴを破壊するような強烈な縦蹴り。

クリーンヒット……のはずだった。

(足が振りぬけない!)

まるで巖でも蹴ったかのような

頭部と同サイズまで鍛えられた首。それに加えて肩から首を固定している僧帽筋。

それらの筋によってダメージが軽減させられたのだ。

ミシッ…… ミシッ……

『不破壊』が摑んでいた足から軋む音がする。

「痛ッ!」

ただの握力。強く握るという行為がベルトに痛みを與える。

――――その直後だ。

『不破壊』は背中を向けた。背を向けるきが素早い。

そのまま、摑んでいたベルトの足を自の肩に擔ぎ上げる。

背負い投げというの技。いや一本背負いか――――

さらに言えば、腕の代わりに足を擔いで投げる足一本背負いになる。

(速い! ……いや、それ以上に高いッ!)

人が人を擔ぐ高さ。3メートルにも満たないだろう。

しかし、高速で打ち上げられた3メートルの高さには恐怖が加速する。

次にベルトがじたのは浮遊の辺りから何かが通り抜けていくような覚。

(投げ……!)

――――通常、投げられた時に、頭部を地面と衝突させないための技がある。

この場合なら前。 衝撃を和らげるため両手で地面を叩き、アゴを引いて頭を守る。

だが、この速度。

じゃ……持たない!?)

闘技場に衝撃音が響いた。

闘技場の地面は土と砂。しかし、固められた土の上にほんの僅かな砂が敷かれているだけ。

その強度は舗裝された道よりはマシというぐらい。

そこに3メートルの高さから、勢いよく叩きつけられたベルトは――――

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

(どこか……舐めていた)

猛省。

など通じるはずもなく、頭部から地面へ直撃。

さらに勢いはベルトのを大きく剃らせ、ぐにゃ~と腰を曲げさせた。

おそらく、戦闘不能のダメージ。それどころか日常生活を送れるか……

しかし、そんな狀態でベルトは反省をしていた。

闘技者ナンバー2

だが、所詮はかませ犬。勝って當たり前の相手。

キング・レオンの前哨戦。當然、レオンよりも弱いと思っていた。

(あぁ、俺は馬鹿だ。あのレオンとトップ爭うを続けていた相手だぞ? 弱いわけないじゃないか!)

それなのに自分は夜な夜な町を徘徊して、いるかどうかわからない人を――――

カレンの幻影を探していた。

戦うコンディションを作っていなかった。 神的にも不安定。

負けて當たり前だ。そうベルトは敗北を覚悟した。

しかし――――

視界の隅で何かが見えた。

観客の聲援でかき消されているが――――

マリアが聲を上げている。

およそ貴族らしからぬ振る舞いで聲援を送っている。

『行って、オーナーである私に勝利を送りなさい!』

試合前に彼から言われた言葉が脳で繰り返される。

「仕方がない。 ――――本気を出すか」

そう聲に出すとベルトは立ち上がった。

それは不自然なき――――まるで朝、ベットから起き上がる時のように自然なきだった。

突然、ダメージが消失したかのように見えた。

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