《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》牙の牢獄

これはベルトたちには知る由もない報だが……

場所が異世界であれ、その舊支配者である恐竜は――――

恐竜は火を吐かない。

ならば、あの吐き出された業火は何か?

おそらく、魔力そのものを捕食した事により、何か変化が起きたのではないだろうか?

それはさておき――――

斬撃による空間切斷。

 ベルトは、自に迫り來る業火を空間そのものを切り裂いて防ぐ事に功した。

しかし、切斷された空間は時間と共に元に戻る。

無にった空間を埋めるが如く、左右から業火が迫り來る。

ベルトの逃げ場は一箇所のみ。

タンと小さな音を立て、上に飛び上がる。

だが――――

その瞬間、業火はピッタリと止まった。

狙っていたが如くのタイミング。

「なっ!」とベルトが驚くのも一瞬。

恐竜の顔が目前に現れる。

そして、巨大な巨大な顎アギトは開かれ、ベルトのを覆い隠した。

……ベルトは食われたのだ。

牙の牢獄。

それが恐竜の口でベルトがじた第一印象。

強固な牙。 剣と比べても遜はない切れ味が見て取れる。

不快なのは、べとべととした唾が分泌され、を汚す事――――いや、それだけではない。

は、強い消化として、ベルトの裝備がゆっくりと溶かされていく。

出よりも脳裏には絶が支配していく。

出不可能という原始の記憶がそうさせているのか?

だが、ベルトは諦めない。自い立たせる。

しかし、そうは言っても――――

舌ベロ

そのは圧倒的なパワーと製を持ち合わせている。

それは人間でも同じだ。口の食べを咀嚼するために歯に送りながらも、噛み砕いたものをへ送り込む。

それもほぼ、同時にだ。

そのパワフルな舌はベルトを牙へ送り込む。

まるで地獄の斷首臺。

上下から迫り來る牙の刃をギリギリで蹴飛ばし、をスライドして避ける。

だが、再びベロがベルトを刃に送り込む。

それに対してベルトが起死回生に放ったのは――――

≪二重斷首刀ギロチンエックス≫

切れ味を有した手刀の二連撃。

手と刃。

その2つとは思えない接音。

まるで金屬のぶつかり合い。そして鍔迫り合い。

ティラノサウルスの舌がく。

三度みたび行われる口での地殻変

さらに噛み締めようとしてくる。 だが、ベルトは勝機を見つけていた。

僅かに牙へった切り込み。

≪二重斷首刀ギロチンエックス≫によりその牙に傷がったのだ。

ベルトは拳を構える。

コンディションは最悪に等しい。

打撃の要である下半に踏ん張りは効かない場所。

それどころかき続ける舌の上。立つ事すらできない。

だから、ベルトが想像イメージしたのは寢技グランドでの打撃パウンド。

も腳の一部だと考え、かせる事で強烈な打撃を可能とする。

それを行う直前、ベルトは「ふっ」と笑った。

「相手を毆って、その歯を叩き折る。この水準に來て、子供の喧嘩のそれを願う事になるとは……」

言い終えるか、否かのタイミング。

強烈なベルトの打撃が、その牙を叩き折った。

これにはティラノザウルスもたまらない。

思わず、ベルトは吐き出した。

ベルト――――

ティラノザウルスの口から生還する。

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