《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》幕間①どの時代の師匠?

「一、いつの間に!」 

 実妹(ノエル )の言葉にベルトは肩をすくめた。 

ベルト の 気配察知能力。なんびとたりともベルトからを隠すことはできない。

「えっと…… これはこれ 偶然ね。ベルト」そう言ったのはマリアだ。

「そう偶然よ。偶然、貴方が私たちの前を歩いていたのよ。そしたら、 ほら…… 行く方向もつられて、 フラフラ と…… ね?」 

「…… 偶然か」とベルトはため息をついた。

  彼は鈍だが、それはを意図的に封じているからだ。 

 察しが悪いわけではない。 けれども、それを深く追求する事もない。

 「そ、そう言えば、シルフィドさんはどちらへ行かれたのですか?」 誤魔化すようにメイル がいう。 

 確かに、ベルトと一緒の席にいたはずのシルフィドの姿はない。

 

「あぁ シルフィド か。彼は、ここの店主と話しているよ」

 「店主さんと何を話しているのですか?」

料理の話だろうか? それとも、休日はコチラの手伝いをする話でも…… 

 漠然とながらもメイルは、そう考えていた。しかしベルトの言葉は意外にも―――― 

「俺がいない時に代わりにシルフィドの指導を頼もうと思って紹介しに來たんだ」

 「紹介ですか? あの…… こちらの店主さんと言うのは?」 

「あぁ、昔の俺の仲間と言うか…… 俺の師匠になる人だな」

 「む、昔の仲間と言いますと、もしかして勇者パーティの方なのですか?」

 メイルの驚きをめた言葉にベルト は―――― 

「いや、勇者パーティの方じゃなくて――――」と言いかけて、一度言葉を止めた。 

「いや…… うん。そうだ。そっちの方だ。勇者パーティの方だ」とメイルから目を逸らして答えた。

  だれが、どう見ても完全に噓である。「?」と3人は疑問符を浮かべるが、すぐにメイルとマリアは事を察した。勇者パーティ以外でベルトの仲間で師匠と言うと―――― 

暗殺者時代の仲間であり、暗殺の師匠という事になる。 そんな人が、こんな所で甘味( スイーツ)のお店を開いているという事は流布してはいけない事なのだろう。 しかし、ただ1人だけ―――― 

「え? どういう事なんですか?  どうして2人だけ、そんな分かったようなじを醸し出しているのですか?」

 

ノエルだけは困していた。「シー」と人差し指を口に當てながらメイルは――――

 「ダメ ですよ。お店では靜かにしなきゃです。それに人にはそれぞれ があるのですから」

さらにマリアが続けて――――

「そうよ、詮索するような真似をするのは淑的ではありませんよ。ね? ノエル?」 

もちろん、ベルトとシルフィドの 後を尾行していた時點で淑的ではあり得 ないのだが、マリアはそこを棚上げにする事に決めたみたいだ。 取り殘されたノエルだけ「 え?  え?  え?」と 困したままだった。 

「あら、こちらの方々もベルトちゃんの友達かしら?」 

不意に聲をかけられた。 その人は、店員だった。

  先ほどの注文時にメイルたちを接客していた店員だ。 いや、そんな事よりも―――― 

ベルトちゃん? 今、ベルトの事をちゃん付けした? 

「うふふ、可い子達ね。ベルトちゃんも隅に置けないわね 。シルフィドちゃんだけじゃなくて、 こんな子たちと仲が 良いなんてね」 

「そういうのではないですよ、師匠。彼たちは妹と妹と雇い主です」

 「…… い 妹」 と メイル。 妹なのは事実なのだが、妹扱いに対して衝撃をけてしまう彼だった。 

「…… や、雇い主」と リア。雇い主なのは事実なのだが、雇い主扱いに対して衝撃をけてしまう彼だった。 実際の妹であるノエルは、そんな2人の様子とベルトに対してため息をつくのだった。

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