《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》幕間①チェイス チェイス チェイス

チェイス チェイス チェイス

的に駆け出すベルトたち。

曲がり角の先、倒れている年老いたがいた。

「どうした?」

「泥棒が、どうしましょ。大切ななのに……」

が指差す方向には何者の姿も見えない。

しかし、ベルトは虛空を睨みつける。

おそらくは気配察知能力を使用して見えない逃亡者を追跡しているのだろう。

やがて――――

「メイルたちは、そのを頼む」

そのまま、駆け出そうとした。

だが、「待ってください!」と制止される。

振り返ればシルフィド。いつの間にか彼馬が姿を現している。

「私も行きます」と力強い言葉にベルトは頷き、それから――――

「ついてこれるなら、來い。俺は全力で行くぞ」

姿が消えて見えるほどの速度で駆け出した。

それを追いかけ、シルフィドも白馬を走らせる。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「にひひひ、今日の獲は上等だぜ」

老婆の手荷をひったくた犯人は建の屋を飛び跳ねていた。

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は獣人だ。厄介な事に冒険者崩れ。

生來から獣人が持つ卓越した能力。それに加え冒険者として鍛えて得たスキル。

それらを利用して泥棒どころか盜賊まがり行為を繰り返していた。

の目前には壁のように高い建造がそびえ立つ。

それを加速した彼は一気に飛びあがる。

――――その瞬間だ。

「……隨分とご機嫌そうだな」

は「にゃ!?」と悲鳴を上げた。

空中に飛び上がった途中。誰もいないはずの空間で聲をかけられたのだ。

大きく、空中姿勢を崩し建造の壁に衝突しそうになる。

しかし、そこは流石の獣人である。

衝突の直前、をくるりと回転させ空中姿勢を整える。

それから、指先から鉤爪をばし壁に張り付いた。

そのまま、一気に跳ねるように壁を踏破する。

「あ、アタイについてくるなんて、なかなかやるじゃにゃいか?」

追跡者を眼で捕らえる。

黒い布で口元で隠した男がいた。 その男の姿に獣人は眉をしかめる。

奇妙な事に男は、およそ運に適さない服裝をしている。

「いいにゃ! 鬼ごっこでアタイに勝てるかにゃ!」

一歩、二歩……三歩目でトップスピードに達した獣人は立的なきを見せる。

さらにはガガガガと音を立て、真橫の壁ですら張り付くように駆け抜けていく。

対して黒服の男、ベルトは――――

≪瞬剎駆≫

暗殺者のスキル。本來は暗殺対象の間合いを一瞬で詰めて背後を取るスキルだ。

それを利用して、まるで瞬間移の連続のように獣人を追いかけてく。

(コイツ、アタイよりも速いにゃ! にゃ、にゃらば!)

獣人は大きく前方にジャンプした。

背後からベルトも速度を上げる。

しかし、前方にジャンプした獣人がを反転して蹴りを放ってきた。

「さあ、死ぬが良いにゃ!」

同じスピードで追いかけてくるならば――――いや、獣人以上の速さで追いかけてくるなら必ずカウンターとして食らうタイミングで放った蹴りだ。

だが――――

≪瞬剎駆≫

避けれるはずのない蹴り――――そのはずだった。

「き、消えたにゃ!」

確かに捕らえたと思った相手は殘像のように姿が消えた。

この時、獣人はピリピリと野生めいた第六が後頭部にピリピリと危険信號を送る。

が立つような覚。反的にしゃがみ込む。

その作が彼を救った。

首筋を摑み、地面に押さえ込むつもりだったベルトは、対処の予想外のきに対処できなかった。

彼にしては珍しい空振り。そのまま空中でバランスを崩す。

――――そこを狙われた。

「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と裂帛の気合が込められた獣人の蹴り。

避ける事も葉わずベルトの腹筋を蹴りが貫く。

そのまま著地したベルトのきが一瞬止まる。

それをチャンスと獣人はベルトに背を向けて再加速を開始した。

「間違いないにゃ。アイツ、本職の追跡者チェイサーじゃにゃい。まだ逃げれるにゃ!」

いまだ、背後からじる気配に恐怖しながらも獣人は自い立たせるように聲に出した。

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