『東方の方士』シン・シンラ

勇者パーティの軍師である。

なんでも東方の國の出らしい。

方士というのはコチラ側でいう魔法使いのようなもの……らしい。

……いや、彼の一番の特徴は男裝の麗人という事になるだろう。

彼が男裝を行う理由。それは彼の趣味……によるものではない。

方士は天の才能に大きく左右される。

ゆえに……伝的要因を重視するのだ。

そのため、彼の國では貞概念が厳しい。

を見られた未婚のは――――

相手を殺すか、嫁に行くか

その二択しかない。

しかし、冒険者といえば、的に奔放なイメージが著いて回る。

生死の境を彷徨うような大冒険。

危険を前に子孫を殘そうとする人間の本能……所謂、つり橋効果。

若い2人に何もないはずもなく……

ゆえにシン・シンラの男裝は護。

簡単に異へも心も奪われぬための処世。

斷じて、旅の遊詩人や講談師たちが、面白おかしく腳したキャラ設定ではない。

斷じて、安易なキャラ設定などではないのだ。

今回はそんなシン・シンラの話。

かの魔王復活と勇者消滅を同時に味わった日から數ヵ月後の話だ。

教會で『呪詛』の治療を専門的、かつ集中的にけて彼はベルトが住む村にやってきた。

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「私の婚約者が年幅も行かないたちと戯れている……だと！？」

連絡もいれずベルトの村にやって來たのは、彼らしくないしのイタズラ心。

しかし、驚かせようとして驚かされたのは彼のほうだった。

ベルトは保有しているスキル≪気配探知≫に対して、気配を消す方士のスキル≪存在不証明≫を使い観察していた彼は、思わず言葉をらした。

ベルトと一緒にいるのは10代と思われる3名。

それぞれ、メイル、マリア、シルフィドの3名だった。

いくら何でも30を超えた男が10代のたちに囲まれている狀況は異常。

シン・シンラに戦慄が走る。

「――――ッ！？　しまった！」

いくら気配は消すスキルを使用していても大きく心が揺してはその効果の度が低下する。

その証拠にベルトがコチラ側に向ってくる。

「あぁ、やはりシンラか。久しいな……どうした？」

ベルトの表に気まずさはない。

まるで10代のたちと過ごしているのはに彼のとってありふれた日常かのように、臆すものでも隠すものでもないように見えた。

「いや、例の件で禮を……」

例の件を言われ、すぐに『呪詛』の事だと結びつけたのだろう。ベルトは――――

「そうか。は良くなったのか？　……いや、それよりも……」

「？」とシンラは疑問符を浮かべていると、事もあろうにベルトはたちの中から1人と呼んだ。

「彼が俺やお前たちの『呪詛』を治療してくれたメイルだ。禮なら俺よりも彼に言ってくれ」

「あ、あの……メイルです。メイル・アイシュです」とは頭をちょこんと下げた。

彼からは張が伝わってくる。

それは、勇者パーティの後衛として全冒険者の憧れであるシンラに対しての張であったが、シンラは、そうけ取らなかった。

「……泥棒貓」

「え？　今、なんとおっしゃりました？」

「別になんでもない」

シンラがメイルに抱いたは敵である。　それも敵。

自よりも10歳は年下のに対して、大人げもなく敵愾心を隠さなかったのだ。