《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》幕間② 陸クジラの攻防

のクシャミと同時に激しく地面が揺さぶられる。

地震ではない。 魔が目を覚ましたのだ。

その魔を表そうとするならば、ただただ巨大。

小さな山と見間違えるほどのサイズ。

事実、ゴツゴツとした皮をシンラは巖山と勘違いしていた。

その魔の名前は――――

「陸クジラ……だと!?」

シンラは驚愕した。

名前の通り、陸クジラとは陸に住むクジラのことだ。

どうやら生は水で生活しようとすると魚の形狀フィルムに近づいていく……らしい。

では、海で生活していたクジラは陸へ移して順応したらどうなるのか?

的に圧迫される水圧から解放され、さらなる巨大化。

食も小魚から草食へ切り替えた結果、胃から強烈なガスを発生。

風船のように浮力を得る事によって、さらなる巨大化。

要するにめちゃくちゃデカイのだ。

――――いや、デカイだけではない。 単純にでかくて強いのだ。

「リハビリに陸クジラって正気か? ベルト!」

「あぁ、全盛期のお前でも手に余る相手だろ? じゃ、弱化している俺とお前の2人ならちょうど良い」

「――――ッ!? 相変わらず、無茶な奴だな!」

「正直を言えば、ギルドから陸クジラ退治の依頼が來ていて困っていたんだ」

ベルトの軽い口調に「お前っ!」とシンラの聲に怒りが混じっていた。

「ハッハッ……怒るな。もっとも陸クジラの方は怒り心頭ってじだけどな」

ベルトの言うとおりだ。

鼻のに煙球を投げ込まれ、苦しんでいた陸クジラの目には涙が殘っている。

しかし、涙ながらに怒りを込めてベルトたちを睨みつけていた。

陸クジラは、その大きな口から水屬、風屬、土屬の3種類の魔法攻撃を行うと言われている。

そして、ベルトたちに向けて放出された魔法は――――

「水屬が來るぞ シンラ!」

「分かっている!」

シンラが取り出した札は2人と守るように前方へ進み――――

『絶対防壁 羅生門』

シンラの掛け聲に反応して、魔力の障壁を作る。

その障壁は、一瞬遅れて到達した陸クジラの魔法攻撃を遮斷した。

「――――凄い水圧だ。障壁が破られるまで30秒。どう攻める?」

「そうだな……障壁が破られると同時に散開。互いに高火力の攻撃と打ち続けるってはどうだ?」

「……相変わらず戦闘指示はへたくそだな。要するに好き勝手にやれて事だろ? 作戦も何もないじゃないか」

「でも、好きだろ? そういうのが?」

ベルトの言葉に照れたように笑い――――

「あぁ大好きだとも」と答えた。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

「行くぞ!」

「応!」

短い合図の直後、シンラの魔法障壁は瓦解。

その直前に2人は駆け出してた。

2人共、互いに距離を取るように離れ、陸クジラのを迂回するように走っていく。

二手に分かれた敵に陸クジラは攻撃を悩むように作を見せたが、それも一瞬の事。

大きく口を開くと、その口を空に向けた。

今度は土屬の魔法攻撃だ。

打ち上げられた巖石がシンラとベルトに降り注いでいく絨毯撃。

もはや、どこにも逃げ場は無い。

……そのはずだった。

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