《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》幕間② 飛翔 そして―――

シン・シンラの一撃。

≪鬼神回教攻≫

士が放てる魔法でも最上位。

加えて通常ではありえないほど長時間の詠唱強化……

その威力は墮天したとは言え、神の尖兵にどれほどのダメージを與えられたのか?

周辺の地形すら、易々と変させる威力ゆえに、大量の砂煙が墮天使の姿を隠して確認はできない。

「やった……のだろうか?」とシンラ。

の言葉に半信半疑である。

普段なら攻撃後に隙を作らぬ彼だったが……事態が事態だ。

限界までに張り詰めた張の糸。それがプツリと途切れた直後。

「いや、まだだ!」とベルトの聲が響いた。

だが、ベルトの聲ですら――――音速よりも速い速の一撃がシンラを貫いた。

「ぐっ……がっ!」と苦痛の聲をシンラがあげた。

「シンラ! 無事か?」

「あぁ、急所は外れた。だが、肩をやられては……」

「――――ッッ!?」

の魔法――――方には數々の制約によって強化されている。

片手が使えなくなると使用ができない魔法もなくない。

は傷口に札をり、癒しのを使う。

ベルトも雑嚢ざつのうから回復薬を取り出し、シンラに渡す。

――――しかし、敵は待ってくれない。

視界を遮っていた土煙が――――

「手元が狂ったか……こうなっては仕方もあるまい」

晴れていく土煙の中、人影が揺らめいた。

――――いや、それは人影などではない。

片腕と欠損し、背に生えた翼も千切れ落ちている。

「たった一撃で幽の9割を奪っていくとは……俺より、人間の方がたちが悪いじゃないか」

墮天使は殘った片手をベルトに向ける。

シンラを襲った攻撃と同じ。 ――――その正は圧さえた魔法。

要するにレーザービームだ。

今度は、それがベルトを襲う。

だが、墮天使の攻撃よりも速くベルトはいていた。

避けるためではなく、攻撃のための踏み込み。

飛翔。

それも前方へ――――大きく飛び込んでいた。

虛を突かれた墮天使のレーザーがベルトから外れる。

「だが、貴様が俺の間合いにるまで3発は放てるぞ!」

墮天使が浮かべた笑み。それは強烈な笑いだった。

勝利を確信し、なおも敗者は辱めようとする恥知らずだけが浮かべれる笑い……

そして、それは実行された。

「人間風が……今、死ぬがいい!」

その片手がり輝き、ベルトに向けて発――――できなかった。

音と衝撃。

殘った片腕も弾け飛び、文字通りの無手になった彼に、果たして何が起きたか理解できたのだろうか?

それは魔法の暴発。

無論、偶然ではない。

宙には、ひらり~ひらり~と札が舞い落ちている。

札に仕込まれた式は、魔力の暴走を促す

簡易的に魔法を暴発させる罠(トラップ)。

「~~~~ッッ!? 貴様の、貴様の方が本命か!」

天使はシンラに向けて敵意と殺意を込めた聲を放つ。

一方のシンラは「いいや、本命は私ではないさ」と朗らかな表を見せた。

そう――――本命であるベルトは、既に間合いを詰めていた。

空中姿勢を縦から橫へ。きりもみ狀態のように1回転2回転――――

そして、3回転目の瞬間、上から振り落とすような軌道で蹴りを放った。

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