《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》幕間② シンラがやって來た 完
「そうか……あれよりも魔王は強いのか」
「そうだな。なくともアレよりは……いや、アレとじゃ比べにならないさ」
「それじゃ、私も今以上に……全盛期よりも強くならないとな」
「ん? そうだな」
「私は、そのために戦い続けなければならない」
「それは……いや、そうだな」
「それで相談なんだが……新しいパーティを作りたいんだ。まずは前衛ができて、斥候もできて、優秀な……それこそ世界最強の暗殺者が必要だ」
シンラの頬が赤く染まってみえた。
その勧に対してベルトはと言うと――――
「うむ……知り合いに俺以上の暗殺者が1人だけ知っているが、今は現役を引退して甘味処の主人をしているからなぁ」
「……馬鹿」とシンラは呟き、それから帰り道は話さなかった。
いや、最後の別れ時に一言だけ――――
「暫く、この村を生活の拠點にする。何かあったら私はお前を真っ先に頼るから、お前も……その……私を頼れ! いいな!」
そう言って2人は別れた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
―――翌日―――
「ラブコメの! ラブコメの波をじました!」
ベルトの実妹であるノエルが帰って來た。
「ラブコメの波ってなんだ? それよりも今日は帰宅する予定じゃなかったはずだが?」
「これはラブコメの殘り香……すでにラブコメは終わっていたのですか!?」
「ラブコメの殘り香…… 本當に何を言ってるんだ? お前は……」
しかし、ノエルはベルトの言葉が耳に屆いていないほど極度の興狀態だった。
「それで兄さんは誰とラブコメしていたのですか?」
「いや、誰ともラブコメをした記憶は無いのだが…… しいていれば、昨日は昔の仲間が……」
「はぁ~はぁん! では、シン・シンラさんですね。 男裝の麗人で兄さんに好意を寄せている東洋のとのラブコメですか!」
「なぜ、シンラとわか……いや、まてよ。どうしてお前は……シンラがだと知っている!」
驚愕するベルト。しかしノエルは平然と言った。
「どうしてって……遊詩人の歌を聞けば、年頃のの子なら想像がつきますよ」
「いや、マリアやメイルはシンラを男だと認識していたが……」
「いえ、あの2人は子力に難があるので」
「子力!」
凄いな、子力。
シン・シンラが隠し続けていた中のを簡単に暴くのか……とベルトは驚愕を隠せずにいた。
「はぁ」とため息をつきながら「兄さんとシンラさんのラブロマンスを見たかったなぁ」と頬杖をつく妹がまるで別の生のように見えるベルトだった。
もっとも……
世間でシン・シンラを表す「男裝の麗人」という言葉。
これは男裝をしたを指す言葉である。
つまり……
多くの人たちがシン・シンラがであり、ベルト・グリムにするという事は常識として広がっている。
知らぬは當人たちと……に未な一部のたちだけである。
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