《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》冥王討伐再び

勇者と魔王の戦い。

それを目前に再現されたソルは口走る。

「げ、幻でなくとも、だからと言って本であろうはずもない! どんな手品を!」

確かに。

確かに、冥王との戦いで出現した勇者カムイは幻だった。 幻でありながら本の聖剣を有していた。

だから、本が遠く離れた場所にありながら冥王ですら騙し戦うことができたのだ。

しかし、このカムイは違う。

振るわれた聖剣。

向けた魔王は、即座に防壁を構築。

魔法の防壁によって弾かれた攻撃の余波。

それは大地を切り裂く。見上げれば、空高く存在しているはずの雲ですら2つに切斷されている。

「この一撃……どうしようもないほどに本!? しかし、なぜ?」

いまだに狀況が飲み込めてないソルの言葉を大魔王シナトラは笑う。

「わからぬか? 奴は勇者だ。そしてワシは大魔王シナトラ……理由はそれだけよ!」

「然りだ。僕はお前を相手にならもう一度……いや、何度でも剣の勇者カムイの姿を取り戻す!」

勇者と魔王の存在。例えるならば神々が作った2つ歯車に近しい。

魔王と戦う理由ならば、カムイは『剣の勇者カムイ』を取り戻す。

それはきっとカムイという存在が耗して、削り消えるまで続く。あるいは――――新たなる勇者を――――いや止めよう。

なんにせよ。

神話の戦いは剣と杖、その一合のじり合いにのよって、この地に顕現したのだから……

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

「始まりましたね」とメイル。

魔王と勇者の戦いから、ほんのしだけ離れた場所。

メイル、カレン、エルマの3人はいた。

の、メイルの聲は震えていた。

聲だけではなく、手も……カレンとエルマもそれに気づいていて口にしない。

やがて――――

メイルは目を閉じて深く呼吸を繰り返す。

「行きます! これがベルト義兄さんを取り戻す戦い……ラストバトルです!」

そう言っ目を開いた時に彼からの震えが消えていた。

同時刻。

黒い領土で瞳を閉じ続ける冥王。固く閉じられたと思える瞳がが爛々が輝き開く。

「來たか」

それだけ呟き、彼たちを見た。

「今度も真っすぐに向かってくる」

「うむ」と1人頷くと「どうやら……小細工もなし。ならば……」

冥王は領土から吸い取った生命力を魔力に転換させていく。

魔力が巨大な刃に変わっていく。

必殺の≪魂喰い(ソウルイーター)≫……だが、放てなかった。

「……!? 気配が増えたのか? 3人から4人に……だが、今までどこにいた?」

突如として出現した4人目の気配。 それが速度を上げて先行してくる。

不可視の存在。 眼に捉えれるはずの距離でもわからない。

だが、それをじられる。なぜなら、彼は冥王ハーデスであり――――対する相手は天敵だからこそ――――

≪魂喰い(ソウルイーター)≫

放たれた魔力の刃。 詠唱なくとも、最上位級に膨らんだ攻撃魔法。

「それでも避けるか天敵め! 良いぞ、神の使徒よ。この俺っちを! 冥王を冥界に帰すために天から顕現したか!」

冥王、だからこそわかる存在。 それは、天使だった。

メイルが勇者として目覚めた時、まるで彼の守護天使のように――――いや、実際に守護天使なのだろう。

羽を有した彼、あるいは彼は、メイル自が知覚できない時も彼のそばにいた。

そして、今はメイルの強い意思に共鳴して、冥王へ攻撃を開始しているのだ。

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