《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》新競技「ワイバーンレース」

『フラインチャイズ邸』

その豪邸の主 マリア・フランチャイズは庭で茶會をしていた。

「腕を上げたわね……味しいお茶よ」

「ありがとうございます」と頭を下げる従者。 メイド服を著ているいるのはシルフィド・パラナイトだった。

「悪いわね。たまの休日に仕事をさせて」とマリア。

「いえ、私の仕事はマリアさまに仕える事です」

ベルトの薬局で働きながら、戦闘の指導をけているシルフィド。

定期的にフランチャイズ邸に戻る彼は、マリアに仕えて従者も行っていた。

普段は純白の鎧。 薬局で働く時は絹と麻の服裝。

メイド服はフランチャイズ邸でマリアに仕える時だけの服裝――――彼にとって、もう1つの戦闘服だった。

そんな時――――

地面に影が落ちた。

「最近、多いわね」とマリアは空を見上げた。

「いかかがなさいましたか?」とつられてシルフィドも空を見た。

「あぁ……」と空を飛ぶ存在にシルフィドも納得する。

それはワイバーンだった。

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「私も、ベルトたちと人工娯楽都市オリガスに行った時にワイバーンを使ったけど……」と彼は思い出す。

あれは、楽しかった旅の思い出。しかし、それはそれ。あれはあれ……

「私が自宅でくつろいでいる時に、自宅の上空を飛んでほしくないのだけれども……空と飛ぶ権利でお金を稼ぐ方法は―――― そうだわ! 閃いたわ!」

マリアは勢いよく立ちあがった。

「競技にしましょう!」

「競技……ワイバーンを使った競技……レースですか?」

「そうよ、シルフィド。あなた、普段から馬に乗っていたわよね?」

「馬? 馬ですか? 馬とワイバーンにどういった関係が――――いえ、まさか、私も參加しろ……と?」

「その通り! 馬もワイバーンも同じようなものよね! 早速、関係者に連絡を!」

「待って……待ってください、マリアさま!」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

「……というわけで、ベルト。あなたの出場は決定済よ」

『薬局カレン』に來たマリアは平然と言った。 ……まぁ、いつも通りである。

この薬局のオーナーであるマリアにベルトは逆らえるはずもない。

「しかし、俺はワイバーンに騎乗した経験はないぞ。他にワイバーンを使って運搬や運送の商売してる連中には勝てる気がしない」

「それじゃ、不公平でしょ? 新競技なんだから、日常的に騎乗してる人が當たり前に速かったら、観客もつまらないでしょ? ――――だから、バトル要素を取りれる事にしたのよ」

「バトル要素? 戦うのか? ワイバーンでレースしながら?」

「そう、これよ」とマリアは機に何かを置いた。

「……鉄の筒? なんだこれは? どう見ても武なんだが……」

ベルトが見る限る、鉄の筒から弾を飛ばす武にしか見えなかった。

火薬、あるいは魔法によって、発される弾丸……およそ、競技向きとは思えないのだが……

「これを使って相手を妨害するのよ。ちなみに発されるのは重力作系の魔法よ」

「なるほど」とベルトは納得した。

スピード系の競技なら確かに重力系魔法は、大きなペナルティだ。

「だが――――」とベルトは頭を捻った。

「高速でワイバーンをり、他者への攻撃は不可能じゃないか?」

「ふっふふふ……」とベルトの反応を楽しむようにマリアは笑った。

「それも計算済みよ。 この競技……『ワイバーンレース』はタンデム式――――2人乗りで、1人は運転手。1人は攻撃手で行うのよ」

「なるほど、なるほど……よく考えられている。 ちなみに落下による危険――――安全裝置は?」

「もちろん、抜かりはないわ。 全員に落下対策の重力魔法を――――」

「重力魔法の需要が多いな。人數分の使い手は用意できるてるのか?」

「えぇ、他所からスポンサーを引っ張ってきたので心配はないわ」

「うむ……」とベルトの態度。

もはや、長い付き合いとなっているマリアは、ベルトの様子から同意を得られたと確信した。

「ちなみに、あなたが出場するって約束で、他から出場を確約して貰っている人材がいるのよね」

「――――凄い嫌な予がするのだが、人材って言うと?」

「かつての勇者パーティから『癒しの姫』マシロ・アイフェと『東方の方士』シン・シンラ」

「……」

「聖騎士団からフォルス団長と第一隊隊長アレク」

「……」

「あとは、人工娯楽都市を代表してキング・レオン。 教會を代表してプリエも參加の表明を――――」

それを聞いて頭を抱えるベルトだった。

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