《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》大魔王と竜王の現在 あと黒幕とか

狹い地下室。

かつて、幾つもの國々を掌握していた2人の王。

大魔王と竜王。 2人は――――わりと快適に暮らしていた。

「う~ん、気になるな」と竜王。

「何がそんなに気になっているかは知らぬ。しかし、食事の最中に新聞《ニュースペーパー》を読むものではない」

大魔王シナトラの指摘に「おっと! これは失禮」を小さなに不似合いな新聞を畳んでテーブルに置く。

「世界広しとは言え、朝から大魔王シナトラさまの手料理を食べれるのは僕1人だろうね。それを僕とした事が、慣れてしまって謝を忘れるなんて、失態だったよ」

「まるで新婚生活の理解ある旦那のセリフじゃな。それで?」

「ん?」とサラダを口に運び、トーストに手をばしている最中の竜王は、小首を傾げた。

「お主の目に止まるほどの事件は何だ?」

「ん~ 味しい」

「おい……」

「いや、冗談だよ、冗談。そんなに怖い顔をしないでくれたまえ」

「うむ……続けるがいい」

「僕が気になるのは、近々行われるワイバーンの競技さ」

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「ほう、竜種を束ねる王としては、人間の娯楽に消費される事に我慢がならない……と?」

「いやいや、僕らがそれなりに良い暮らしが可能なのは、ここが人工娯楽都市だから。その娯楽の溫床にケチをつけるつもりはないよ」

「では、何が問題だと?」

「僕が気になったのは新聞で書かれた競技の進路さ。……ちょっと失禮」

竜王は食事を中斷。 片づけた新聞を広げる。

「この競技には、攻撃に特殊な重力魔法が使用される規則がある。これを魔力の跡として進路を辿って行くと?」

「魔法陣になっておる。これは召喚魔法か――――しかし、何を呼び寄せるつもりじゃ?」

「うん、この魔法陣に僕が気づけたのは――――これ、僕を呼び出すための魔法陣さ」

「なに?」

「つまり、何者かが竜王を召喚して、契約をしようとしているのさ」

「うむ? ではお主は、呼び出されるのか?」

「そりゃ、この魔力量は食事として味しいからね。君の手料理と天秤にかけたくなる水準さ」

「――――そういう冗談は子に飛ばしてやるがいい」

「そうかい? それは失敬――――ところで相談があるのだけれども?」

「この話の流れ、嫌な予しかせぬが……よかろう。聞いてやろう」

「ここに卵がある。これは竜種でも上位の卵――――この僕が見極めた次代の竜王候補だと言っても良いはずさ」

「まさか、お主――――參加するつもりか?」

「その通り」と竜王はお道化たように続ける。

「もっとも、これをワイバーンに偽造させなきゃいけないから、1手間、2手間が必要になるのだけど……」

「なるほど、その魔法的加工をワシにも手伝えと言う事じゃな」

「え? 違うよ」

「うむ?」

「これ、2人組の參加なんだよね」

「まさか、お主……このワシにも參加せよと? 世界の敵―――― 魔族である王であるワシを公共の場で娯楽に興じろ……そう言っているのか?」

「その通りさ! 誰にもバレない変裝が必要だけど、問題ないよね? 魔法という魔法を極めたと言われる君の技なら」

「~~~ッ!」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

まさか、大魔王と竜王がワイバーンレースに參加するとは予想にもしていない主催者 マリア・フランチャイズ。

は、メイルが手にれたワイバーンの卵を孵化させるためにベルトたちと一緒に闘していた。

では誰が黒幕か? 何者が、競技を利用して竜王を召喚しようとしているのか?

「くっくっく……計畫は順調。世界は我らが思うがままに――――」

彼等の正は東の大陸からやってきた新勢力。

言ってしまえば、外貨系企業である。

ワイバーンレースのスポンサー募集にいち早く手を上げ、他にも賛同協賛として紛れ込ませた子會社を利用。

では、その目的は?

「街中に竜王を召喚。そして暴れるだけ暴れさせる目的が――――

この國の復興に、同志の企業が支援の名目で、技を売りつけ……あわよくば、本格的に進出できれば……金の、金の雨が降りますぞ!」

國に対しての経済的攻撃と大規模進出だった。

しかし――――

それに気づいている者たちは、竜王だけではなかった。

例えば――――教會のプリエ及び聖騎士団

例えば――――伝説の勇者パーティのメンバー

例えば――――人工娯楽都市代表

そんな中、まだ何も知らない主催者マリアとベルトたちは――――

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