翌日

「昨日、生まれたって聞いたのだけけれども？」とマリア。

生まれたばかりの赤いワイバーン。　すでに飛び回っていた。

「……とりあえず、店で自由に飛ばすのを止めさせなさい。商品が壊れるわ」

彼の言う通りだ。決して広いとは言えない店をワイバーンは自由自在に飛び回っている。

「タロウっ！　お店の迷になるわ」とメイル。

ワイバーンは、その場に著地。トコトコと歩いてメイルに近寄っていった。

「え？　なに、タロウって名前――――　いや、そんな事よりも意思疎通ができているの！？」

「俺も驚いた……と言うか、プロの魔使いも驚いていたよ」

ベルトは、「練の魔使いだって、何年も訓練に費やすって」と付け加えた。

「へぇ～　……って、ちょっと待ちなさい」

「ん？　どうしたマリア？」

「……い、いえ、なんでもないわ」

マリアは思い出していた。過去の自分の発言――――

『競技開催は３か月後、卵から育ててもギリギリ間に合う期間』

（なんだか、そんなじの事を言った気もするけれども、ベルトもメイルも覚えていないなら言及する必要もないわよね……）

彼は勘違いしていたのだ。

確かにワイバーンの長は早い。　生後３か月で人を乗せて飛べる大きさに長する。

しかし、通機関としての利用する場合。安全に人を乗せて飛ぶには數年の訓練が必要となる。

加えて、スピードを爭う競技となる……

（う～ん、こうなってくると大丈夫なのかしら？　過酷な競技を想定しているのだけど、訓練をけてないワイバーンの參加は――――でも、まぁ――――）

そんな事を考えながら、マリアは２人を見た。

２人はベルト・グリムとメイル・アイシュ――――

ベルトが規格外の人類なのは、いまさら語るまでもない。

メイルも『聖』の稱號で呼ばれているのは伊達ではない。

「この２人が乗るなら問題なさそうだわ。誤作だったりして、安全裝置の重力魔法が発しなくても、上空からの落下に耐えれそうだもん」

「――――マリアさん、何か失禮な事を言いませんでしたか？」とメイル。

「あら、メイル？　何か聞こえたかしら？」と誤魔化すマリア。

明らかな失言だったはずだが、マリアは何事もなかったかのように平然としていた。

「まぁ、珍しい種類のワイバーンとは言え、プロの魔使いから助言をけてるなら、育に問題なさそうよね？　それはそうと……表のアレは何かしら？」

マリアは指を向けたのは、薬局の出口。　……そこから、しずれていた。

外には、早朝からベルトが狩猟したと思われる食料が並べられていた。

「うん、ワイバーンは短期間で人を背に乗せて飛ぶくらい長が早い。そのため大量の食糧が――――」

「その理屈はわかるわよ。でもね――――」

たっぷりとタメを作ってマリアは怒鳴った。

「あそこは、お店の正面なのよ！　それも薬局なのよ！　ダメじゃないの清潔にしないた！」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「全く、仕方ない２人ね」とマリア。

夕方よりしだけ早い時間帯。彼にしてみたら、ベルト宅から帰宅するには早い……早すぎる時間だが、今日は來客の予定があった。

「マリアさま、いらっしゃいました」と従者。

「そう、通して頂戴」と慣れた様子で指示を出す。

応接室にってきたのは、スポンサー……マリアが発案したワイバーン競技に協力者を募集したところ、最初に手を上げた企業だ。

東の大陸から來た彼等――――中央に座ったのは、若い男だった。

屋敷の主に斷りもなく、椅子へ座るのは貴族社會にとって禮儀知らずになるはず。

だが――――

（異國の者ゆえの無知……ではないみたいね。私たちのルールではなく、自分たちのルールに従え――――その不遜さ、傲慢さは嫌いじゃないわ。貴族としてではなく、商人としてわ……だけれども）

そんなマリアの心をどこまで気づいているだろうか？　椅子に中央に座る男が――――まだ若い男だ。男たちの中でも、おそらくは一番――――頭を下げ、簡単な挨拶をえる。

「どうもご無沙汰しています」

まだ年にも見える年齢……しかし、彼等は見た目で年齢を推測するのが難しい民族だ。

もしかしたら、見た目に反して、マリアより年齢が倍近くあっても驚かない。

（たしか名前は――――）

マリアは男の名前を思い出す。

（リュウ……　リュウ・アイヤー。そんなじの名前だったはず）

「なにやら、火急の要件と聞きましたが、いかがなさいましたか？」

マリアは、いきなりの本題を問う。

「ほう～」とリュウは目を細めた。まるで自分が値踏みをされいるようにマリアはじだ。

「火急と言うほどではありませんよ。ただ、我々に任せられいた競技で使用する進路が大まかな形として出來て來たので報告を……なんて思いましてね」

そう言うと、彼はマリアに資料を渡した。

目を通すマリア。

「……これは！」と彼は、そこに書かれている容に驚きを隠せなかった。

きっとリュウの心は「狙い通りに驚かせた」と満足したのだろう。

そんな商人として、いやらしい視線にマリアは気づいてたが、その不快よりも男が提案した進路から目が離せなかった。

なぜなら、そこには――――