《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》02.悪役令嬢は侍と日課を欠かさない

夜、雷鳴が轟く。

闇に紛れていた屋敷の全像が一瞬のによってわになり、部屋の一室で奇妙なきをする二人分の影を浮き彫りにした。

床に背を預け、下半を大きく捻っている。

「ふっふっ、今日はよく雷が落ちるわね」

「はい、ふっふっ、じないクラウディア様は流石です」

「一日こんな調子だもの、慣れてしまったわ。それにかしていると細かいことは気にならないのよね」

しい型を保つため、今夜もクラウディアとヘレンは鍛錬を欠かさない。

學ぶことが好きなヘレンの學習スピードは速く、定番メニューに至っては既にクラウディアの手ほどきを必要としなかった。

だが今回は初の試みもあるため、クラウディアはヘレンのきを注視する。

「あまり無理をして足をつらないようにね。水分補給も忘れないで」

「はい! まさか娼婦の方々が協力してくださるとは思いませんでした」

「職業柄、型維持に敏みたいね」

そもそもクラウディアがを鍛えているのも娼館での経験からだ。しかしヘレンがそれを知る由もなく。

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クラウディアとしては自分が発案者だと思われるのが心苦しかった。

なので娼館の視察を機に、それとなく彼たちに話を振ってみたのだ。

娼婦――それも娼館フラワーベッドの最古參であるミラージュの食いつきは凄まじく、クラウディアと娼婦たちの間で鍛錬方法を共有し、効果があるか試すことになった。

被験者が多いほどデータは得やすい。けれどまずはかすことに慣れている者のほうがケガもないだろうと人が選ばれ、クラウディアとヘレンもそれに加わった。

「足首と手首を同時にかすのは、先にしたほうが良さそうね」

「そうですね、先に関節を緩めたほうが、あとの鍛錬もしやすそうです」

への負荷をじながら、鍛錬方法の順番も考える。

鍛えてばかりいると筋くなり、緩やかな曲線まで消えてしまうため注意が必要だった。

「十分が溫まったし、今日はこのくらいにしておきましょうか」

「はい、紅茶を淹れますね」

一呼吸置いて、ヘレンが床から立ち上がる。

しかし次の瞬間には、を大きく傾けていた。

「ヘレン!?」

「あわわ、だ、大丈夫です。思っていた以上に足が疲れていたみたいで」

座り込むヘレンの手を取り、ベッドへ座らせる。

早くも筋痛がきているようだった。

「ご心配をおかけしてすみません。痛みは軽度ですから、もう立てます」

「本當? 何度も言うけれど無理はよ」

「はい、あぁ疲れてるなーっていう程度です。これは効果が期待できそうです」

効果を実し、晴れやかな表を見せるヘレンに一安心する。

かくいうクラウディアも筋の張りをじていた。

「今日はもう使用人寮へ戻ったらどう?」

「そんなっ、夜のしめにクラウディア様とお茶するのが生き甲斐なのに……!」

「そ、そこまで言うなら、お願いするわ」

気を使ったつもりが眉を落とされて前言を撤回する。

茶葉の香りが漂ってくると、運後の張が和らいだ気がした。

何とはなしに目に付いた封筒を手に取る。

「パルテ王國主催の仮裝舞踏會は、大規模なものになりそうね」

パルテ王國は、ハーランド王國の南西に位置する小さな國だ。

ハーランド王國とバーリ王國を隔てる山脈の最西端にあり、國境は山脈から続く河川で定められている。

今までも舞踏會を主催することはあったが政治的なが強く、招待客も外関係者が多かった。

何か趣向を変えるきっかけがあったのか、今回は仮裝舞踏會という遊び心に加え、ハーランド王國中の貴族にも招待狀が送られていた。

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