《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》30.悪役令嬢は薄明かりに踴る
その手に、手が重ねられる。
剣を握り慣れた手は、レステーアのものとは明らかに違った。
「無理をしないよう言っておいたはずなのだが?」
「驚かさないでくださいまし!」
後ろから耳にれた聲に、どっと力が抜けた。
顔だけで振り返ると、イタズラな黃金の瞳と目が合う。
レステーアと同じ変裝をしていても、彼だけは目を隠さない限り正を偽れないだろう。
「いつの間にれ替わったのです?」
「會場を出たところでだ。ディアの行力に比べれば大したことはないだろう?」
「わたくし、無理はしていませんわ」
先ほど言われたことを思いだして反論する。
仮面舞踏會に參加したといっても危険を冒したわけではない。
招待狀も正規に手したものだ。
ドレスティンとは思いがけない展開があったものの、レステーアも一緒だった。
「シルこそ、どうやってここへ?」
「ディアがくなら報告するよう君に付けた影に言っておいた。おかげで馬を走らせることになったよ」
サスリール辺境伯領へはほんの數時間前に到著したばかりだという。
「招待狀は金にものを言わせて買った。あまり治安が良い集まりではないな」
クラウディアもブライアン――商人を通すことで招待狀を得ている。
ドレスティンが偽クラウディアと會うために窓口を広げていた可能は否めない。
「こうして人がれ替わったりもしますし?」
「公爵令嬢が変裝して參加していたりな。得るものはあったか?」
「ええ、し考えをまとめる時間が必要ですけれど」
(れ替わったのが帰り際で良かったわ)
ドレスティンとのやり取りを見られていたらどうなっていたことか。人知れずほっとをで下ろしながら、シルヴェスターと向き合う。
黒髪にえんじのスーツ。
裝いが同じだからか、よりレステーアとの違いが際立った。
――似たような覚を學園でも覚えていた。
あのとき、同じ制服を著ていてもシルヴェスターは特別なのだと思い知らされた。
王族だけが持つ威圧、気品は服裝で隠せるものではない。
けれど自分を見下ろす視線が優しいことに頬が熱くなる。
そっと手を持ち上げ、訊ねられる聲にしさが溢れた。
「一曲踴ってくれるだろうか」
「喜んで」
といっても音楽は聞こえない。
二人しかいない廊下は靜まり返っている。
それでも、互いがいれば十分だった。
公爵令嬢として、王太子として生きる上で、がダンスのテンポを覚えている。
ヒールが石畳を叩き、黒いドレスの裾が影と踴る。
「このあと時間はありますか?」
「君に急いで帰れと言われない限りな」
「もちろん言いませんわ。ですが甘い夜にはならなそうです」
ドレスティンから聞いたことをシルヴェスターとも共有しておく必要があった。ベンディン家がいているとなれば、パルテ王國で探る対象も絞られるだろう。
偽クラウディアについては謎のままだ。
ベンディン家と手を結び、ニアミリアを婚約者にすることで何を為そうとしているのか。
正への糸口があるとすれば香水だろうか。特注の香水がクラウディア以外へ売られることはない。
シルヴェスターと手を繋いだまま外へ出る。
見上げる空には星が瞬いていたが、背後の砦に存在をかき消された。
(ブライアンとも報をすり合わせなければならないわね)
パーティーを楽しむ余裕がなくて殘念だ。特にドレス姿のヘレンとは、もっと一緒にいたかった。
「ディア、大丈夫か?」
「ええ、シルがいてくれるもの」
抱える焦燥が伝わったのか優しく肩を抱かれる。
頭をシルヴェスターへ預ければ、安心から不要な力が抜けた。
(シルも大変なのに)
忙しさは自分の比ではないだろう。
そんな中、駆け付けてくれたのだ。
しでも労えることを願って肩に置かれた手を握る。
まだ夜は終わりそうにない。
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