《星の家族:シャルダンによるΩ點―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困する外科醫の愉快な日々ー》蓮花研究所 戦闘訓練

「もう! 相変わらずかったいなぁー!」

ミユキ、前鬼、後鬼との模擬戦だ。

もちろん私たちの攻撃は巨大過ぎるので、「花岡」の本気は撃たない。

それは量子戦闘コンピューターが解析して判斷し、常に何の技が出たのかを判定してダメージを決めている。

私たちは第四階梯以上の技はカウントされない。

それを出せば勝敗は一瞬で決してしまうからだ。

あくまでも戦闘訓練なので、第三階梯まで、つまり「ブリューナク」や「トールハンマー」までだ。

ミユキたちが、第三階梯までしか「花岡」を習得していないためだ。

だから私たちは戦略と格闘技のみで勝負しなければならない。

その點では毎日訓練しているブランたちに屆かないことも多い。

「亜紀ちゃん、落ち著いて! ハーと連攜コンボを狙って!」

ルーが指示を出す。

「分かった!」

ハーが私の前に出て、無拍子でミユキを襲った。

予備作の無い攻撃で、格闘技の天才ハーだけに出來るきだった。

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ミユキが左橫腹にハーの掌底を喰らった。

そのままぶっ飛ぶ。

私は空中のミユキを襲い、前蹴りから拳の打ち下ろしでミユキの背と腹部を破壊した。

ミユキのが地面に叩きつけられた。

「グッフゥー!」

ミユキがく。

量子戦闘コンピューターがミユキの戦闘不能を判定した。

前鬼と後鬼もミユキの救援に來たが、ルーに阻まれ間に合わなかった。

ルーは防に徹して二人の猛攻を凌いだ。

ハーも二人に襲い掛かり、前鬼のロッドを摑んだ。

一瞬、ロッドを手放すか保持するかで前鬼が迷った。

ルーがその一瞬を見逃さず、前鬼の顔面へ渾のブローを放つ。

前鬼はスウェイで回避するが、ハーが同時に放った回し蹴りで部を強打される。

後鬼はのけぞった前鬼の向こうから高速の突きを剣で放つ。

ハーが右肩に喰らった。

これでハーは右腕を使えなくなる。

「行くよー!」

私が四人に向かって「ブリューナク」を撃った。

ルーとハーが慌てて回避し、前鬼がまともに喰らう。

回避しようとした後鬼は、ハーの蹴りで飛ばされて、前鬼と同時に線にった。

終了の合図が鳴った。

私たちは他のブランたちに賞賛され、控えの席に戻った。

「流石ですね!」

「もうミユキたちに敵う相手はいなくなっていたんです!」

口々に、ブランたちが私たちを褒め稱えた。

「まあ、実戦じゃないからね。あれでミユキたちが本格的な個人裝備をしたら、分からないよ」

私たちはアナイアレーターとデュール・ゲリエとの模擬戦を見學した。

ミユキたちも控えの席に戻って來た。

ダメージはそれほど無い。

最後の「ブリューナク」も、もちろん型だけで実際には撃っていない。

「今日もをお借り出來て良かったです」

ミユキが笑って言った。

「みんな強くなったよねぇ」

「再戦したら、もう分からないよね」

「ハー様の「無拍子」には驚かされました」

「あれはねー、ルーを相手にしながら覚えたの」

「そうなんですか」

「ルーには私の考えてることが分かるんだ。だから、それを悟られない技を覚える必要があったのね」

「なるほど!」

ミユキとハーが楽しそうに話している。

「でも、どうしてルー様と戦う必要が?」

「何言ってんの! 何度も私たちの「食事」を見てるでしょう!」

「ああ!」

ミユキたちが大笑いした。

「最初は亜紀ちゃんにも有効だったんだけどね。でも時間が経つと通じなくなっちゃった」

「流石は亜紀様ですね」

「まー、また考えてるけどね」

「流石ですね!」

アナイアレーターとデュール・ゲリエとの模擬戦は時間が掛かった。

デュール・ゲリエは量子戦闘コンピューターの指揮管制でいているから、最適化は人間には及ばない。

しかし、アナイアレーターもな展開で、その統制された攻撃を凌ぎながら撃破している。

アナイアレーターたちも戦闘不能者が出て來る。

攻撃の主力である羅剎も斃された。

デュール・ゲリエたちが一斉にアナイアレーターに襲い掛かる。

その時、背後から羅剎が立ち上がり、一気にデュール・ゲリエたちを砕した。

「あれ、インチキじゃないの?」

私が言うと、ミユキたちが笑った。

「いいえ、ちゃんとした作戦ですよ」

「でも、戦闘不能になったらいちゃいけないんだよね?」

「はい。だから羅剎は死んだフリをしていただけなんです」

「えぇー!」

ミユキが説明してくれた。

「戦闘不能は量子戦闘コンピューターが本人に告げるだけです。デュール・ゲリエといえども、その報は流されません。ですので、地面に倒れた羅剎を戦闘不能と判斷し、放置したのです」

「ズルイね」

「アハハハハハ!」

その後も模擬戦を繰り返し、今日の訓練を終了した。

夕飯はバーベキューだった。

ブランたちとみんなで食事の準備をした。

研究所のみなさんも一緒に食べる。

大勢で食べるバーベキューは最高に味しい。

私たちはタカさんのために、いい食材を焼いては持って行った。

「おい、もう俺のことはいいから、お前らは思い切り喰え!」

タカさんが笑いながら言った。

本當に申し訳ないとは思いながら、一杯食べた。

タカさんと蓮花さん、ミユキさんが途中で席を外し、その後でタカさんは一人で研究所を出て行った。

戻って來た蓮花さんに、タカさんがどこへ行ったのか聞いてみた。

「シャドウさんの所へ。持って來て下さった焼き菓子を屆けて下さるそうですよ?」

「あー! 私たち食べてないー!」

「オーホホホホ!」

そう言えばお晝を食べてから、何も口にしないで訓練をしていた。

「よーし! 食べるぞー!」

蓮花さんが大笑いしていた。

「石神様のおつまみは殘しておいて下さいね」

「蓮花さーん!」

皇紀とルー、ハーにタカさんのために何か焼いておこうと言った。

蓮花さんが、別に作るから安心して食べるように言ってくれた。

蓮花さんはブランたちや研究所の方々によく話し掛けられ、笑顔で楽しそうにしていた。

ここはみんな仲がいい。

「戦友というものが、最も強い人間の絆なんだ」

以前にタカさんが教えてくれた。

本當にその通りだと、もう分かっている。

「虎」の軍がみんな仲がいいのは、そういうことだ。

アラスカの人たちも、千萬組の人たちも、「アドヴェロス」の人たちも、みんな仲良しだ。

甘い関係ではない。

お互いに相手を思い遣る溫かさのある関係ということだ。

「皇紀、このお食べなよ」

「え! お姉ちゃん、何の罠だよ!」

皇紀の頭を引っぱたいた。

は自分で食べた。

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