《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第88話 「絆」Ⅰ②
※無事第1部完結までPC力しました。書き溜めが80話(11/21時點)になってしまったので、投稿頻度上げます。
僕もを起こしてみる。
依が出てった後の、し開いたままのドアが気になるから。
あ、まあまあける。いててっと。
「っと!」 醫務室を出た所で、麻妃と渚さんとぶつかりそうになる。ふたりとも右から左、中央エレベーターの方に走っていった。
‥‥‥‥‥‥ん? どした?
こんな時間に廊下を走る? 夜中だよ?
‥‥‥‥‥‥‥‥ガヤガヤ。
遠くから喧噪が聞こえた。――右だ。DMTデッキの方だ。
騒ぎがした。をなんとかかして、先を急いだ。
デッキの口には、人だかりができてた。當然部屋著のの子達。その並んだ背中に目が行かないように視線を落として、みんなに聲をかける。
みんな無言だった。僕を見とめた桃山さんだけ「あッ!」って短く言った。それから。
さあ~~、っての子達が僕に道を開けて、一気に視界が開けた。
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その向こうには、DMTデッキがあるあの金屬製の分厚い扉。
その扉がし開いていて。
その扉のし前に依が立っていた。
腰を沈め、前かがみ。
両手を左右に大きく広げて。
あ、あの「くたくたキャミソール(白)」だ‥‥‥‥!
依は、悲壯ともいえる真剣な表。――で、こちらを睨んでる。
それに反して。
あの「くたくたキャミソール(白)」のせいだ。前かがみなのもある。
依は、かつてないほど、これ以上ないほどに。
元の、その白いをさらしていた。
「だめ!!」
依がぶ。華奢ながあわせて揺れる。
廊下にある青白い夜間照明。
それが依を照らして、その素に影をつけていた。炎のように、ほほのラインや肩先を浮かび上がらせる。純真無垢な白いが、溶けて燃えているようだった。
「‥‥‥‥綺麗だ‥‥!」
いや魅っていけない。‥‥‥‥‥‥僕は辛うじて理を取り戻す。
ここに子しかいないのが幸いだ、と脳が勝手に思考していた。
「お願い! 來ないで!!」
依は泣きそうな顔で、を震わせながらんでいた。そのたび肢の影が揺らめく。
「澪おぉ!!」
暗い通路に響く悲鳴。なみだ聲。 ――――んだのは子さんだ。
え!? 子さん!?
「澪ぉ!!」
‥‥‥‥依に気を取られすぎてた。デッキへの半開きの扉。
そこにうつ伏せに倒れている小さい影。
紅葉ヶ丘さんだ。
ガゴ~~~~~~ン‥‥。
戦艦の前部、発進口が開く音。當然DMTデッキにもつながっている。
え!? なんで!? 空中航行中じゃ!?
「來たぞ! 依ぃ!!」
KRMの駆音と、マイク越しの麻妃の聲がした。向こう側――DMTデッキの方から、あの金屬製のドアが開いた。
そこからKRMのマニュピレータ―がってきて、倒れた紅葉ヶ丘さんをこちらに押し出す。
同時に、依が、倒れた紅葉ヶ丘に駆け寄る。
見守るみんなも、同時にいた。だけど。
「來ないで!!!」
振りむきざま、依の絶だった。先頭の子さんを頭突きと両手で暴に突き飛ばした。‥‥ビクリとして皆立ち止まる。
「こ、これ」 浜さんがいつの間にかベッドを持ってきている。依は、ゆっくりとドアに近づき、自力で紅葉ヶ丘さんを抱きかかえると、こちらに引きずってきた。
‥‥‥‥‥‥‥‥やっと。
やっと狀況が飲み込めてきた。
依は、僕の目の前まで來ていた。
「僕が」「お願い」
紅葉ヶ丘さんをけ取って、ベッドに乗せる。MK後癥の痛みを自覚したのは、醫務室に向かうベッドがき出してからだった。
もう日をいでいるから、前日の夜、か。
工科のメンテ3人組は、DMTデッキを気閉して、3重に電子ロックをかけて作業を終了した。
理由は、定期的にやる、「DMT裝甲の自然修復促進」だ。
DMTの裝甲に使われている素材、S-HCR-N、通稱シュクルン。スペルの最後のNは窒素の事で、大気中の窒素を取り(リチャージ)込んで、微細破折(マイクロクラック)なんかは自分で直しちゃう、優れモノの裝甲素材だ。
でも戦闘だと、やっぱり傷の全部は直しきれないし、大きく損傷したら換裝か、七道さん達がプライミングとボンディングで修復処置(リペア)する。いわゆる「レジン充填」だ。
今回はその中間。DMTデッキを閉じて窒素濃度を上げ、し大きめの損傷も自然修復させる処置をした所だった。――當然窒素が多いと酸素は極になるから、中に人はれない。
――僕も、前に七道さんに「DMT構造學」を教わった時、彼が換気を気にしていたのを思い出した。
「澪‥‥! お願い目を開けて‥‥。馬鹿な子‥‥」
「澪さん! 聞こえますか! 聞こえますか!」
ベッドに付き添いながら、半泣きの子さん。あのクールな子が、泣いてる。
そして依の意識確認の聲。服がはだけるのも構わず患者に集中している。
「これ著て」
桃山さんが、上著を依に投げる。薄手のカーディガン。
僕が來たから。――依の元を隠すための気遣いだ。
「大丈夫。脈が強くなった。自発呼吸もあって」
「ああ‥‥!!」
服の袖に腕を通しながらの依のうなずきに、子さんが崩れ落ちた。
紅葉ヶ丘さんは、そのまま醫務室で酸素吸。
「ごめんね。みんな。本當にごめんなさい」
ブリッジから戻ってきた渚さんは、ひたすらに平謝りだった。
DMTデッキの空気をれ替えるため、ブリッジで発進口を開く作をしてたんだ。
麻妃は、KRMでデッキを浮遊。ドアを開けて彼を押し出す、と。
顛末。
紅葉ヶ丘さんは、無人のラポルトを深夜徘徊するのを日課にしていたそうだ。道理で日中會わない訳だ。
「ところがこの子、警告のメール読まずにDMTデッキにろうとして、3重のロックもハッキングして解除しちゃったのよ。――いくら片手間でできるからって、アホだわ」
渚さんは頭を抱えていた。泣きはらした顔で。
「紅葉ヶ丘が無しで良かった。ドア口でヘタったからな。まだ混合気だったんだ。窒素100%の空気なんて吸ってみろ。瞬殺だ」
七道さんは口をへの字にして腕を組む。
「うん。酸素濃度が16%以下だと、呼吸しても逆にから酸素が出て行っちゃうの。6%以下だとホントに即死よ」
パルスオキシメーターの數値を見ながら、依はそう言った。
この狹い醫務室に、舵役の折越さん以外全員集まってる。
「‥‥‥‥申し訳ない‥‥逢初さん逢初さん」
この中で一番取りしているのは、子さんだった。泣き聲で詫び続ける。
彼の次の言葉に、僕は心臓を握りつぶされた。
「あなたが止めてくれなければ、みんな死んでた。全滅してた‥‥!」
※「ここで第1部分の人紹介の伏線回収かよ!」と思ったそこのアナタ!! いえいえ。これがベイビーアサルトです(笑) 「第1部分人紹介からの伏線回収」は今までも、そして最後まで続きます。
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