《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》『ワイバーンによる國境を超える超長距離レース』

有言実行

競技本番2か月前にベルトは山にる。 無論、レッドワイバーンのタロウを連れ。

大自然を相手に過酷なトレーニング。

これが可能なのは、ベルトだからだ。

タロウが広大な山脈のどこにいても気配とたどり、居場所を把握できる。

草木によって地上が見えず、空でタロウが迷子になったとしても、ベルトなら跳躍《ジャンプ》でタロウが飛んでいる距離まで近づける。

も、食料も持たない。 素手で魚を取り、素手で鳥を撃ち落とす。

そして、漆黒の闇。 月明かりも、星空もなし。

極限狀態の真剣は過敏になり、酷使したは強化されていく。

2か月という時間。

ただの男は戦士するには十分な月日。

競技ならば、才がある素人が頭角を現すに十分な月日だ。

ベルトは、2か月の期間でタロウに自分の技を叩き込む。

無論、全ての技を短期間でワイバーンのタロウが再現できるはずはない。

習得させるべきは、気配の消失と探知。さらに移系のスキルを押し込む。

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だが、ベルトは気づいているのだろうか?

空を舞うワイバーンに最強暗殺者の技を教え込むという意味――――

それは、新たなる空の王者を作り上げる行為なのだが……

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

――――2か月後――――

會場は派手だった。 空に向けて魔法が放たれていく。

攻撃が目的ではない。祝賀などで使われる魔法――――空に鮮やかなを付けるためだけの魔法だ。

他にも人々を興させるような甲高い音……そうかと思えば、地面が震えるような重低音が奏でられている。

今、ここで行われるは、前代未聞―――――

『ワイバーンによる國境を超える超長距離レース』

ある意味、參加者たちは英雄であり、勇者であり、冒険者である。

彼等を見るため競技スタート地點では多くの観客が詰めかけていた。

そんな中、開催の挨拶が主催マリア・フランチャイズによって高らかに発せられていく。

その一部、『伝統ある』から始まり――――

『長い歴史』

『由緒正しい』

『記念すべき第100回大會』

観客たちは心では、

(よくも、大勢を前にデタラメが言えるものだ)

そう思っていたが口には出さない。これはお祭りだからだ。

祭りだから、水を差さない。 興を興のままに――――

聲を張り上げ、かす。 自然発生的に歌を歌い、舞いを舞う。

人間とは、そういう生なのだ。

「――――以上。マリア・フランチャイズが開始を宣言します」

ドヤ顔を見せながら、來賓席に戻ったマリア。

そんな彼に――――

「いや、素晴らしい挨拶でした」と聲をかけたのはスポンサーのリュウ・アイヤだ。

「あら、お世辭がお上手ですね」

「いえいえ」と大きなリアクションで首を振うリュウにマリアは、

「本來ならば、主催である私ではなく、あなたが開幕の挨拶をするのが正式だったと今のでも思うのだけれども?」

「ふっふっ……外國人である私たちが拙い挨拶で、この熱を下げる真似はできませんよ。もう、わかるでしょ? この競技は歴史に殘りますよ、私もあなたの名前も永遠に……ね」

「ふ~ん」と、どこか興味なさそうに聞き流したマリア。彼は、

「そう言えば、どうかされたのですか?」

「はい?」と首を捻るリュウに、彼は自分の額をトントンと指で叩いた。

そう――――リュウは顔を隠すように仮面をつけていたのだ。

「あぁこれですか……し額に怪我をしましてね。なぁに、大した事はないのですが、この場で見苦しい傷を見せるわけにいきませんからね」

「なるほど、私はてっきり……」

「てっきり? なんですか? 聞かせた下さいよ」

「この場に――――いえ、競技の參加者かしらね。誰かに顔を見られたくないのかしら? そう思ったので」

「……さて、それはどうでしょうね」とリュウはおどけるように答えた。

開幕の挨拶が終われば、いよいよ競技開始となる。

選手たちは、自分の竜(?)に騎乗していく。もちろん、ベルトたちも――――

「えっと、本當に私で良いのですか?」とメイル

「何を今さら、ずっと前から決めていただろ?」

「それは、そうなんですが……」

レッドワイバーンのタロウに騎乗する2人――――ベルトとメイル。

手綱を握っているのはメイル。 ベルトは彼の後ろに座っている。

つまり、タロウを手綱で導するのがメイル。ベルトは彼のサポート――――この競技は他選手の妨害行為が許されている(悪質な行為は、反則。あくまで運営が定めた妨害魔法や道の使用のみ)

そのため、ベルトは攻めて來る敵に対しての攻防に専念する役割を選んだのだ。

これは意外と思う者もいれば、妥當だという者。意見は分かれるだろう。

ベルト&メイル組を警戒している他のチームたちも――――

いや、いよいよだ。 いよいよ開始の合図が始まる。

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