《星の家族:シャルダンによるΩ點―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困する外科醫の愉快な日々ー》ジョナサンの過去

ジョナサンの破壊検証は終わりとし、その他の測定や簡単な採取を含む検査、運能力測定などをした。

採取をされた時に、ジョナサンはもっと本格的な検査をけるのかと思ったらしい。

「僕の能力を調べるために、いろいろされるのかと」

「そんなことはしねぇよ! お前は大事な仲間なんだからな」

「!」

一通りの検査が終わり、ジョナサンを幹部用の喫茶室に連れて行った。

好きなをと言ったが何でもいいと言うのでかき氷を頼んだ。

だ。

「なんですか、これ!」

味そうだろ?」

ジョナサンが笑ってスプーンで口にれ、した。

俺は笑った。

「日本のものなんだ。氷をガンガン喰うっていいだろう」

「はい!」

アラスカの夏は夜は涼しいが、晝間は30度を超えることも多い。

やはり暑いのだ。

俺は反質の件はし考えたが、話しておくことにした。

「なあ、最後の人形をぶっ飛ばした技な。あれは使うなよ?」

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「はい。自分でも何が起きたのか……」

俺は恐らくは反質だろうと言った。

「あの場で俺が対消滅を止めなければ、全員無事じゃいられなかった。6グラムの質で原と同じ威力になるんだ。危うかったな」

「そ、そんな……」

ジョナサンは自分の力を痛した。

「使えば周囲もみんな吹っ飛ぶ。もちろんお前もな。だから使うな」

「はい、もちろん」

俺は十河さんの話をした。

「日本人でな。同じような能力を持ってる人がいる。その人は原子核を融合させて巨大な発を生じさせることが出來る。まあ、確認はしてないんだが、俺はピクノ核融合を何らかの方法で実現していると思っているんだ」

「はい」

俺は改めてジョナサンに反質の対消滅や核融合の基本的なことを教えた。

「その日本人は離れた場所からそれが出來る。だから自分は影響をけない」

「それは素晴らしいですね!」

「だけどな、自分の壽命をめるようなんだ。だから、これまで一度しか使ったことがない」

「え!」

「今はもう高齢だ。次に使えば、恐らく最後になる」

「そんな……」

ジョナサンがショックをけていた。

「しかしその人は、俺たちのためにその力を使いたいと思っている。大事な人間が危なくなったら、躊躇なく使うだろう。そのために、俺たちの仲間になってくれたんだ」

「……」

「ジョナサン。お前の力もお前のを蝕むのかもしれないんだ。だから、必要な時以外はその力を使うな。特にあの反質を生むやり方はな」

「分かりました」

「それとな。そういう影響が考えられるんだ。だからお前は俺たちから離れて、普通の暮らしをしろよ。生活の援助は十分にする。これまでありがとうな」

「石神さん!」

「わざわざ大學を中退させて日本に呼んで悪かった。その賠償は十分にする」

「石神さん! 僕はやりたい! 石神さんたちと一緒に、世界を破滅させる敵と戦いたい!」

「ダメだ、ジョナサン。お前の力は使えない」

「周囲を破壊するからですか!」

「そうじゃない。お前のを壊す可能があるからだ」

ジョナサンが立ち上がった。

「それなら構いません! 僕は以前の自分に戻るくらいなら、いつだって命を削ります!」

「おい!」

「あの日! 僕がこの力に目覚めて、どんなに嬉しかったか! ずっと僕はこうなりたかった! 自分が何かの力に目覚めて、世の中の役に立ちたかった!」

「それは分かってる!」

「もうこの力を使って死ぬのなら構わない! 僕は石神さんたちと一緒に戦いたいんです!」

俺は興したジョナサンを座らせた。

「分かったよ。でもお前は頭もいい。だから研究やそういう分野で協力してもらっても」

「嫌です! 僕はこの授かった力で戦いたい!」

ジョナサンは頑なだった。

「その凄い力で賞賛されたいのか?」

「そうじゃありません。僕は誰にも知られずに死んでもいい。僕はずっとんでいた力をもらった。それだけでもういいんです」

ジョナサンは、自分の生い立ちを話し始めた。

「僕は子どもの頃から虛弱で、よく病気をして。も細くてよくめられました」

「そうか」

ジョナサンは多は付いたが、長は165センチ、重は今も50キロ無いだろう。

「ショッピングセンターで、銃を持った奴が暴れたんです。何人も撃たれて。僕はすぐに隠れた。小さなの子がいたんで、手を引いて一緒に隠れた。でも見つかって」

「……」

「僕は咄嗟にの子に覆いかぶさった。背中を撃たれたんです。その時警隊が飛び込んで來てくれて、犯人は殺されました」

「そのの子は?」

「僕のを貫通した弾が心臓に當たって即死でした」

「そうか」

ジョナサンが泣いていた。

「僕が強かったら! せめて僕のがもっと筋があって丈夫だったら! あの子は死なずに済んだ!」

「ジョナサン……」

「石神さん! 僕はもうあんなことは嫌だ! 僕は死んでもいい! だけど、誰かを守りたいんです!」

「分かったよ。お前の気持ちはよく分かった」

「石神さん!」

俺は上の服をいでになった。

「石神さん……」

ジョナサンが驚いている。

「俺も同じだ。こんなに疵だらけになっても、ろくに誰かを守ってやれなかった。最は死んだ。苦しんでいるを今も探せないでいる。レイも死なせてしまった。他にも多くの人間を守ってやれなかった。だから、俺は今もお前と同じ気持ちでいるんだ」

「はい!」

「悪かったな。お前は自分の幸せなんかよりも大事なものを持ってる男なんだな」

「そうです!」

ジョナサンがまた泣いていた。

俺をまっすぐに見ながら涙を落としている。

「じゃあ、一緒にやるか! お前はいい奴だ! 最高だな!」

「ありがとうございます!」

ジョナサンにもう泣くなと言い、かき氷を一緒に食べた。

ジョナサンは笑顔でスプーンをどんどん口にれた。

「おい、急いで喰うと頭痛がするんだぞ」

「はい、もう遅いですが」

「ワハハハハハ!」

移送車でジョナサンを送った。

酒は好きかと聞き、一緒に今晩飲もうと言った。

ジョナサンは喜んだ。

その後で苦しそうに俺に言った。

「あの、石神さん……」

「おう!」

「すみません、トイレに行きたいんですが」

「なに?」

「もう! 危ない!」

「おい、ちょっと待て!」

俺は電移送車を止めた。

生憎付近は住宅地だ。

ジョナサンを抱えて、目の前のマンションの部屋をノックした。

知らないがドアを開けた。

「タカトラ・イシガミです! すみませんが急でトイレをお借りしたく!」

は驚いていたが、俺の顔を知っているようで中へれてくれた。

トイレの場所を聞き、ジョナサンを突っ込んだ。

二人でトイレの前の廊下で呆然と顔を突き合わせる。

「あの、本當にすみません」

《ブピピピピピ ブポッ! シャー ブピピ》

「「……」」

「ミスター・イシガミ、どうぞこちらへ」

「本當にすみません」

紅茶を頂いた。

味しいですね」

「ウフフフ」

「「ワハハハハハハハ!」」

二人で大笑いした。

ジョナサンは20分もトイレから出て來なかった。

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