《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第2部 第13話 第1部分の人紹介から引っぱってるこのネタ、まだ需要あんの?①

※無事第1部完結までPC力しました。書き溜めが80話(11/21時點)になってしまったので、投稿頻度上げます。

「ふう。著きましたね」

先を歩く春(やよい)さんが、額の汗をぬぐった。

ヤナーアッラーヤ村での口腔メンテがひと區切り。歯みがき指導もして、一応後進も育てて。

村を離れて數日経っていた。

七道さん達3人とは、あそこで別れてきた。オートウム村で、また旅の一座に合流するらしい。ラポルトのメンバーが集結する時には、當然來てくれる算段だ。

今、私達は、ミナトウ村を見下ろす小高い丘に立っている。

「む。あのは、【ライトニングボール】のようですが」

春さんの指さす方向、村の口近くで、確かに何かがっていて――消えた。

「大丈夫かな。今からやっとぬっくんに逢えるのに」

「‥‥ええ。戦闘は終わったようです。大丈夫ですよ」

ホントは、私が「大丈夫?」って呟いたのは、魔法の発や戦闘のコトじゃあないのね。

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ぬっくん。小學校時代の私の馴染み。――そして、私の思い出の人。

中學が別々になっちゃって、逢いたかったんだけど逢えなくて。

眼下の村に彼がいて、私達は今から再會をする。

彼のかたわらには私の親友まきっちがいて、いつもぬっくんの報をくれた。まきっちの「逢えるよ」って言葉通り、逢いにいけばよかったんだとは思う。躊躇してしまった私が悪い。

でも張する。張する。張しまくり。

「どうしました? 顔悪いですよ? ゆめさん」

春さんに見抜かれてしまった。私は思いっきりテンパってしまってるよ。

シェ・コアラシで失敗してるのに! 同じ過ちはしたくないのに!

下り坂で足もとがおぼつかなくなる。――と。

地面が急にった。魔法陣だ。足元に広がる円陣は私を中心に、文字だか文様だかわからない模様でゆっくりと浮かび上がる。

「ゆめさん!」

「春さん! 助けて!!」

ふらつく私は、逃げる暇もなく魔法陣に吸い込まれていった。

*****

「よく來ました。遠路はるばるご苦労様。春(やよい)」

「はッ。姫様」

長旅の労苦をめるエイリア姫に、春は膝をおり跪拝する。

「お久しぶり。春さん。ほ~う? 前回來た時と鎧変えた?」

そう聲をかけたのは麻妃だ。

「えっ! ‥‥‥‥ああ、そうですかね」

春は目を逸らして答えた。

「でさ、いよいよ。ひめっち來てるんでしょ? 今日こそは!」

麻妃は期待のを隠そうとする様子は無い。彼自信が畫策した通りだ。この異世界ではあるが、ついに、親友である姫の沢ゆめと、その思い人である咲見(さきみ)暖斗(はると)を引き合わせる。

今日はその、「運命の再會作戦」の決行日なのである!

「いや~。思えば長かった。中1から中2。夏のラポルト乗艦。その間で何とかひめっちを逢せようとしたんだけど、その間にぬっくんは依とくっついちゃうし、みなとの丘公園にはひめっち來ないし」

慨深く腕を組む。

「豆腐メンタルのひめっちがやっと決心して、依とも向きあう決意もして。いや~。長かった。だってもう中3になっちゃうもんね」

この異世界に転移しなければ、今頃春休みでもう春には中3なのだ。エイリア曰く、元の世界に戻る時にはこの世界に何年いようとも、向こうではほとんど時間は経過していないらしいが。

「さ、春さん。もったいぶらないでよ。ひめっち今度こそ來てるんでしょ? あ、姫さん、ちゃんと依を【召喚】しといてよ? ウチぬっくん呼んでくるから!」

「‥‥あ! ちょっと待って岸尾さん!」

慌てて手をばす春を置いて、麻妃は部屋の方に駆け出す。

――――と、奧の部屋からが洩れてきた。ピカァ。

「‥‥‥‥あれは魔法のですね。そして依さんの【召喚】は失敗しました」

目を閉じて瞑想をしていたエイリアは、そう言ってため息をついた。

奧から麻妃が出てきた。とぼとぼと歩く彼の腕の中には、ひとりのかわいい赤ちゃん。

「‥‥‥‥先ほどの戦闘ですね。暖斗さんは大丈夫と言っていましたが」

「だからウチとかに任して、って言ったのに。‥‥‥‥で、誰? そのドラゴン」

「‥‥‥‥お察しください。岸尾さん。質(たち)の悪い【呪い】なんです」

家の玄関にはらず、その前をうろうろする一匹のドラゴン。

とは言っても、手足は短く兇悪な面影は無い。むしろその手のゲームから抜け出たような、マンガチックな可げすらじる見た目だ。

村の人々も気にも留めない。り口でのチェックをクリアした、という事は、「安全なドラゴン」なのだとわかっているからだ。

「旅の途中でした。あるドラゴンが嫁をしたという伝承のある土地を過ぎる際に、どうも彼が気にられてしまったようで。いやはや。人気者はつらいですね。やはりあちらの世界で人気商売をしている方は、こちらでも需要があるというか、なんというか。さすがです。ああ、話しが思いっきり逸れました。いえ。この現象以外には実害はないんです。むしろ自棄になった彼がドラゴンの戦闘力を発揮するので、荒事ではメリットの方が大きいのですが。ええ。もう、自棄になった時だけなんですが」

「もうよいです。春」

「はッ」

誰にしゃべるでもなく言葉を続ける春を、エイリア姫がぴしゃりと止めた。

「ふえぇぇ~~~ん」

そのドラゴンは目に涙をためて泣いていた。

岸尾麻妃は頭を抱えながら、天を仰ぐ。

「‥‥‥‥じゃあ、今日引き合わせる予定だった、咲見暖斗(さきみはると)、姫の沢ゆめ、逢初(あいぞめ)依(えい)、3人ちょっとになろうか?」

その言葉に反応して、を作ったのは。

おくるみにくるまれて寢息をたてる赤ちゃんと。

エイリア姫と。

そのドラゴン、だった。

※「一番最初の人紹介から引っぱって、3人が顔揃えたと思ったら!」と憤りのそこのアナタ!!

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