《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第2部 第13話 第1部分の人紹介から引っぱってるこのネタ、まだ需要あんの?②
※無事第1部完結までPC力しました。書き溜めが80話(11/21時點)になってしまったので、投稿頻度上げます。
「すっぽんぽん!」
その聲は、悲しく村の木々の葉を揺らす。
「今私、すっぽんぽんなんだってば!」
聞くものはみな顔を伏せ、ひとりとして涙を流さない者はいなかった。
「‥‥‥‥すごい畫だな。赤ちゃんになっちゃったぬっくん。アバターに意識乗っ取られたままの依。呪いでドラゴン化したひめっち。‥‥アタマ痛いわ」
麻妃はつぶやく。
家の前。し開けた場所に、赤ちゃん、ガチの姫さま。ドラゴンがになっている。
赤ちゃんは眠り、姫さまはすまし顔で、ドラゴンはさめざめと泣いている。
「まきっち。私この姿だと、服何も著てないんだってば。そりゃ見られて困る角度はないよ? ドラゴンだから。でも悲しくない? ぬっくんと再會して、すっぽんぽん(理)って?」
「あ~。ひめっち。気の毒なんだけど、今回集めた面子、全員ステイタス異常なんだよ。3人が3人とも。誰一人として素の本人が間に合ってないから‥‥‥‥」
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「【召喚】失敗は申し訳ございません。依さんとお話をするのは、次のタイミングという事で」
麻妃がとりなし、エイリア姫がちょっと突き放した所で、またドラゴンはまた泣き出した。
「ふえぇぇ~~~ん」
その聲は哀愁を帯び、を打つ悲しみの泉は、決して枯れる事は無かった。
*****
その夜。
結局全員、ミナトウ村のエイリア姫宅に泊まる事になった。ドラゴン姿のゆめは「外じゃああんまりだ」というみんなの総意で、何とか家の中にり、寢る場所を確保してもらった。
「お~い。その爪じゃあ無理だって。気の毒だけどさ」
こっそり赤ちゃん暖斗にほ瓶を當てようとして、麻妃に見つかり咎められた。それでちょっとへこんでいた所だったので、屋で寢れるのはありがたかった。
みな床につき、消燈した。だが眠れない。【龍の呪い】は伝承の龍の思念で発するが、そのタイミングはほぼ無作為だった。【古代語魔法】という、この異世界で絋國語がデフォになる前の言語で紡がれるという。魔法陣はその古代語が図案化されただとも。
それで龍の姿になってしまう。いや、そのや能力も、龍そのものだ。
以前、冒険の途中で魔法防力が高く、理攻撃も効きづらい敵に遭遇した。ゆめには荷が重く春が魔法で戦したが、なかなか數が減らず窮地になりそうだった。その戦闘中で龍に変した。
「なんなのよ~! もうっ!!」
ゆめがそうぶとドラゴンブレスが発。勢いよく放たれた火炎が、難敵と春のえりあしを焼き払っていた。
「‥‥‥‥!!」
春は焼け焦げた自分の髪をじっと見ていて。
そこからしばらくはドラゴンの容姿だったため、「事故防止!!」と、春との戦闘連攜をさんざん訓練させられた。
ポウワッ
「‥‥‥‥なに?」
眠れないゆめの視界の隅に、黃いが燈る。
人間の赤子ほどの大きさのそのは、みるみる大きくなって、170cmの人の形になった。
「‥‥‥‥あ!」
ゆめは慌てて自らのを見渡す。なにせ服をまとっていない。だががドラゴンのままだと確認して、ほっと息をつく。――そのまま、犬の伏せのような恰好で、る人影を注視していた。
「‥‥‥‥ふうう。戻ったか。夕飯食べ損ねたなあ」
暖斗だった。異世界と思われる習俗の服を著ている。たぶん部屋著だ。思えばゆめは、小學校で離別して以來、暖斗の姿を見ていない。あの洋菓子店「シェ・コアラシ」での廚房にいる白の姿と、たまに麻妃が送ってくれる暖斗の寫真だけだ。
「‥‥‥‥‥‥‥‥(ぬっくん)」
意外と理が働いていた。今、ドラゴンの姿で暖斗に話しかけたらどう思われるだろう?
事を知らない暖斗は驚くか、怖がるか? 討伐されてしまうかもしれない。
暖斗の手にかかって死ねるのなら、実は、ゆめにとってはむしろ本だ。
だが、無駄に死ぬつもりもない。どうせそうなるなら、する人の役に立って、彼が一生忘れられないような印象的な死が、ましい。
「あれ? 君は‥‥‥‥?」
暖斗は驚きの視線を向け、一瞬構える。
當たり前だ。自分の家の玄関口に、ドラゴンが寢ているのだから。
ゆめの寢床は一番玄関側。土間にしはみ出したような場所。部屋の奧に、暖斗を挾むような形で麻妃とエイリア姫。ゆめとその3人とのし空いたスペースに、春がをねじ込んで寢ていた。
一応ゆめのドラゴン姿は、兇悪な野のドラゴンのそれではない。暖斗達があちらの世界でよくやるゲームやマンガに出てくる、コミカルで丸っこいテイストの姿だ。
それはいわゆる【魔使い】、テイマーが長年飼いならした魔の特徴だそうだ。
村人――この世界の人々からも、「安全な方の魔だ」と認知された姿だった。
ゆめの心臓は高鳴る。――暖斗に逢えたよろこびと、ドラゴンに対する暖斗の反応への不安で。
暖斗が驚き、攻撃を選択するようなら、急いで春や麻妃を起こせば良い。安全なドラゴンだと認知するようなら適當に話を合わせて、皆が起きた明日、ちゃんと事を――麻妃の口あたりで説明してもらえば良い。
ゆめドラゴンがを伏せたまま、暖斗を注視して、その次の挙を見逃すまいとしていると。
「‥‥‥‥‥‥‥‥ひめちゃん?」
完全に予想の上の言葉だった。
「‥‥‥‥ひめちゃんでしょ? 仲谷さんと同行してたんだよね?」
あまりのことに、ゆめは言葉が出ない。
なぜ、なぜなんの説明も無しに、ドラゴン姿の自分を2年ぶりに逢う小學校の馴染みだと認識するのだ?
「ああ、ここだとみんなを起こしちゃうね。行こ。ひめちゃん」
暖斗はトイレへと立って、ゆめをいざなった。
「う、うん。‥‥‥‥私もちょうど、トイレに行きたかった、から」
後で死ぬほど後悔するのだが。
これが姫の沢ゆめの、丸2年ぶりに話す
思い人との會話、その第一聲だった。
※「最終決戦いつ始まるんだ?」と思ったそこのアナタ!! すみませんそろそろです。
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