《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》小話・暗躍するメイドたち(中)
澄み渡るような青空に、白い雲がまばらに浮かんでいる。
「今日はいい天気ですね」
爽やかな風に髪を靡かせながら、アニスは心地よさそうに目を細めた。その視線の先には大きな湖が広がっており、水面は太のを反して、キラキラと輝いている。
そのしい景を眺めていると、隣にいた男がやや気まずそうに口を開いた。
「……だが、こんな場所で本當によかったのか?」
「何かですか?」
「君がむなら、どこにでも連れて行くつもりだったのだが」
デートでお互いの距離を詰めよう大作戦(ポワール命名)が決定した日、早速ユリウスは仕事中だったアニスを執務室に呼び寄せた。
『アニス、君に取り急ぎ聞きたいことがある』
『は、はい』
ただならぬ様子をじ取り背筋をピンとばすアニスを見據え、ユリウスはゆっくりと深呼吸をした。
そして、話を切り出す……こともなく、そのまま黙り込んだ。
『あ、あの……ユリウス様?』
二、三分ほど経ったところで、沈黙に耐えられなくなったアニスが、恐る恐る聲をかけた。
『……すまない。し待っていてくれ。想定外のことが起こった』
『はい……?』
ユリウスは険しい表で、必死に思考を巡らせていた。
こてんと首を傾げる、メイド姿の妻は本當にらしい。だが、その姿に癒されている場合ではなかった。
(どうしよう)
アニスをデートにうのはいい。しかし肝心の行き先を、今この瞬間まで全く決めていなかったのである。デートという単語に浮かれまくり、一番大事なことが頭から抜けていたのだ。
しかも、が喜ぶような場所も思いつかない。経験のなさが、悪い意味で発揮されていた。
(菓子の材料を買いに行くのを付き合うとか? いや、それは何か違う気がするぞ……だったら本屋は……ダメだ。いつもポワールと一緒に行っているらしいから特別がない。牧場は……ミルティーユに出くわしたら最後、アニスを取られてしまう……)
悶々と悩んでいると、アニスが突然「あっ」と聲を上げた。
『もしかしてユリウス様……っ』
『ぐっ……』
勘づかれたのだろう。恥を忍んで、何もかも打ち明けようとした時だった。
『また夜會のおいをけて、お困りなのですね!? 今度も私がついていきますので、どうかご安心ください!』
『違う、そうじゃない! そうだけど、そうじゃないんだ!』
『???』
勢いよく椅子から立ち上がって否定する。そして視線を泳がせながら、ぼそぼそと言葉を続ける。
『アニス……いや、フレイ。君は普段、よく働いている』
『え? あ、ありがとうございます』
何故か唐突に褒められて、アニスは戸いつつ頭を下げた。
『というわけで、たまには君に自由な時間を與えたいのだが……』
『いいえ。毎日休憩時間はしっかりといただいているので、その必要はありませんよ』
『いや! たまにはメイドの仕事を一日忘れて、のんびりと羽をばすべきだ! そして君がしっかり休んでいるかチェックするために、私もついていこう!』
『えぇぇ……!?』
よく分からない理論で、話を進めていく夫兼雇い主の圧がすごい。
アニスが思わず後ずさりをしていると、ユリウスは真剣な表で問いかけた。
『そしてフレイ。行先は君が選ぶんだ」
『急に仰られましても……ええと、そうですね~……!』
そしてアニスが暫し悩んだ末に答えたのが、オラリア邸の近くにある、この湖のほとりだった。
【第二部完結】隠れ星は心を繋いで~婚約を解消した後の、美味しいご飯と戀のお話~【書籍化・コミカライズ】
Kラノベブックスf様より書籍化します*° コミカライズが『どこでもヤングチャンピオン11月號』で連載開始しました*° 7/20 コミックス1巻が発売します! (作畫もりのもみじ先生) 王家御用達の商品も取り扱い、近隣諸國とも取引を行う『ブルーム商會』、その末娘であるアリシアは、子爵家令息と婚約を結んでいた。 婚姻まであと半年と迫ったところで、婚約者はとある男爵家令嬢との間に真実の愛を見つけたとして、アリシアに対して婚約破棄を突きつける。 身分差はあれどこの婚約は様々な條件の元に、対等に結ばれた契約だった。それを反故にされ、平民であると蔑まれたアリシア。しかしそれを予感していたアリシアは怒りを隠した笑顔で婚約解消を受け入れる。 傷心(?)のアリシアが向かったのは行きつけの食事処。 ここで美味しいものを沢山食べて、お酒を飲んで、飲み友達に愚癡ったらすっきりする……はずなのに。 婚約解消をしてからというもの、飲み友達や騎士様との距離は近くなるし、更には元婚約者まで復縁を要請してくる事態に。 そんな中でもアリシアを癒してくれるのは、美味しい食事に甘いお菓子、たっぷりのお酒。 この美味しい時間を靜かに過ごせたら幸せなアリシアだったが、ひとつの戀心を自覚して── 異世界戀愛ランキング日間1位、総合ランキング日間1位になる事が出來ました。皆様のお陰です! 本當にありがとうございます*° *カクヨムにも掲載しています。 *2022/7/3 第二部完結しました!
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