《星の家族:シャルダンによるΩ點―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困する外科醫の愉快な日々ー》別荘での買い

8月29日金曜日朝7時。

早乙達がうちに來て、六花と響子もグランエースで到著した。

當然響子はグーグーだ。

助手席で寢ている。

「石神、世話になるよ」

「ああ、楽しんでくれ」

早乙が嬉しそうに笑った。

早乙たちを六花のグランエースに乗せ、俺は子どもたちとハマーで出発する。

俺が先導して走った。

夕べ稲荷壽司を大量に作り、早乙たちにも持たせた。

俺の分は別途折詰にして亜紀ちゃんが確保している。

子どもたちは出発と同時に喰い漁っている。

亜紀ちゃんも自分の折詰を食べながら、助手席でニコニコしていた。

「タカさん! 途中で運転を替わりますね!」

「大丈夫だよ。最初のサービスエリアで食べるさ」

「はい!」

高速に乗って、最初のサービスエリアに寄った。

まだ9時にもなっていない。

子どもたちを適當に放し、大人たちと響子で稲荷壽司を食べた。

味しいよ!」

「そうかよ」

早乙が嬉しそうに食べていた。

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柳が見つけた新ショウガの漬っている。

響子は六花と顔を洗いに行き、戻って來て一緒に食べる。

「タカトラ! おいしー!」

響子もニコニコして食べた。

和食に本當に馴染んだ。

「雪野さんは初めてですよね」

「はい! 楽しみです!」

「屋上は夜まで行かないで下さいね」

「はい、分かってます!」

うちの「幻想空間」を何度も見ているが、別荘のものはやはり違う。

周囲に何もないから良いのだ。

「あの「幻想空間」はいいんだよ!」

「おい、あんまり喋るな!」

「あ、ごめん、雪野さん!」

みんなで笑った。

憐花も稲荷壽司を食べた。

目を丸く開いた。

「あら、気にったのかしら」

雪野さんが笑ってしずつ食べさせた。

六花は先に戻って吹雪に授させた。

「いつもね、吹雪ちゃんのオッパイは私が知らせてあげるの」

「そうか」

「六花は忙しいから、忘れるとたいへんじゃん」

「そうだよな。ありがとうな、響子」

「うん!」

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六花が忘れるわけはないのだが、響子が楽しそうに時間を見ているので任せているのだろう。

六花は大事な人間のことでミスをしない。

それは響子の世話で培った責任だ。

別荘には12時前に著いた。

子どもたちが手分けして食事の準備と荷運び、掃除をしていく。

早乙達も手伝おうとしたが、ゆっくりさせた。

別荘の中を案してやる。

六花は響子と食事が出來るまでソファに座っていた。

晝はいつものように、すぐに出來るスープパスタにしている。

今日は和風の醤油ベースのスープだ。

焼きウドンに近いが、ファルファッレのショートパスタだ。

エリンギ、シメジ、シラス、それに鮭の切りだ。

最後に鰹節を上に撒く。

みんなで味しく食べた。

食後は響子と六花、吹雪が寢た。

子どもたちは本格的な掃除と布団干しをする。

「亜紀ちゃん! 後で買い出しだな!」

「はい! 一緒にお願いします!」

「早乙達も一緒に行くか?」

「行くよ!」

夜はバーベキューなので、好きな食材を選ばせよう。

「早乙も夜に來て翌朝に帰っただけだもんな」

「ああ、麗星さんと一緒に來た」

「あ、うん」

そうな奴だ。

「石神が危ないって聞いて、麗星さんには止められたけど、どうしても一緒に來てしまった。迷を掛けたな」

「い、いや! おで助かったよ! 何があったのかは知らんけど!」

雪野さんが気付いているのか、小さく笑った。

ロボが大好きな雪野さんの膝に顔を乗せ、幸せそうに眼を閉じていた。

雪野さんがロボのを優しくでてやる。

「ロボちゃんは、どこへでも一緒に來るんですね」

「ああ、こいつは旅が好きなようなんですよ。普通はネコは自分の縄張りから離れたがらないんですけどね」

「石神さんが大好きだから」

「まあ、俺も大好きですけど。でも、おでいろいろ出掛けられますよ」

「本當に嬉しそう」

ロボが雪野さんの膝で転がって腹を出した。

自分の話題になって嬉しいのだ。

憐花が早乙に抱かれながら、ロボに手をばした。

早乙が近付いてやる。

ロボが憐花の小さな手を、前足で挾んだ。

「ロボちゃんは優しいですよね」

「まあ、好きな人間にはね。妖魔には容赦が無いですが」

「アハハハハハ!」

亜紀ちゃんが一段落したので、買いへ行こうと言った。

俺たちはハマーで出掛けた。

「店長さんが、タカさんを尊敬してるんです!」

「おい!」

車の中で亜紀ちゃんが早乙達に説明していた。

「タカさんって、どこに行っても人気者なんですよねー!」

「そんなことはねぇ!」

「私たちが行くと、ワーグナーの『ワルキューレの騎行』が流れるんですよ!」

「どういうこと?」

「タカさんの登場音楽なんです!」

早乙と雪野さんが大笑いした。

スーパーに著いた。

「ほら! 専用駐車場なんですよ!」

「年に1度か2度しかこないのになぁ」

早乙達がまた笑った。

駐車場のり口に、店長さんが待っていた。

「石神先生! 今年はもう來られないのかと」

「そのつもりだったんですけどね。やっぱり來たくなって予定を調整しました」

「ありがとうございます!」

俺が親友の早乙夫妻だと紹介すると、早乙が喜んだ。

ると、ちゃんと『ワルキューレの騎行』が鳴り響いた。

いつもよりも、若干音が大きい。

店員たちが俺たちに向いて、一斉に頭を下げた。

雪野さんが驚いていた。

各自カートを引き、俺が憐花をカートに乗せてやった。

憐花が嬉しそうにしている。

頼んでいたや魚介類は後で配達されるので、俺たちは好きなを別途選んで行った。

特に魚介類は見てから選ぶ方がいい。

決まった刺やエビカニなどは既に予約しているが。

海鮮の売り場に行くと、伊勢海老やアワビなどが結構あった。

「タカさん、買えってことですよね」

「ああ、気を遣わせたなぁ」

俺と亜紀ちゃんで笑って全部買った。

早乙達も楽しそうに話しながらカートにれて行く。

憐花に食べさせたいものもあるだろう。

「石神さん、フルーツポンチを作ってもいいですか?」

「ああ、いいですね!」

一通り買ってレジに行くと、また店長さんがカートを引きけた。

「花火は宜しいですか?」

「ああ、そうだ!」

笑って禮を言った。

「昨年と同じようなもので宜しければ、こちらで用意いたしましょうか」

「じゃあ、お願いします」

「はい!」

俺たちは店長さんに、フードコートへ案された。

みんなで飲みを注文し、店長さんがまたイチゴ大福を土産にしてくれた。

「ここは無料なんですよ!」

早乙達がまた笑った。

店長さんが、椅子を持ってテーブルに來た。

「あの、私もお邪魔して宜しいでしょうか?」

「ええ、どうぞどうぞ」

店長さんが座って話し始める。

「本當に石神先生にはお世話になりまして。新館の売れ行きも本當にびてまして」

「良かったですね」

「あの、「子ども広場」! 毎日多くのお子さんたちが寄ってくれて、ブレイクダンスの教室まで出來たんですよ」

「え?」

亜紀ちゃんが早乙たちに、俺たちのブレイクダンスが話題になってビデオで流れていると言った。

帰る前に、早乙たちが見たがった。

連れて行くと、「子ども広場」が拡張され、本當に大勢の子どもたちがクルクル回っていた。

「石神、スゴイな!」

大きな畫面で、俺や六花などが踴っているのがエンドレスで流れている。

端の方で、子どもたちが若い男にダンスを習っていた。

亜紀ちゃんが笑顔で空いたスペースで踴り始めた。

すぐに子どもたちの注目を浴び、ダンスを教えていた二人が気付く。

傍に寄って來て、亜紀ちゃんのブレイクを見ていた。

亜紀ちゃんが立ち上がって、俺を指差した。

「おい!」

「ほら! あそこにいるよー!」

子どもたちが俺を見つけた。

みんな寄って來る。

「今日はちょっと見に來ただけだ!」

みんなが踴ってくれと言う。

離れない。

仕方がないので、若い二人に音楽はあるかと言った。

すぐに走って行って大音量で「セイントーラ」の曲を流した。

俺が踴り始めると歓聲が沸いた。

亜紀ちゃんも俺の隣で踴るが、俺の方が歴が長い。

すぐに離れてみんなと俺を見ていた。

俺も楽しくなって、結局一曲全部踴った。

大きな拍手が湧いた。

俺は亜紀ちゃんと早乙の手を引いて、急いで離れた。

「石神がどうしてどこでも人気者なのか分かったよ」

「お、お前にも教えてやる!」

雪野さんが、一緒にやりましょうと言っていた。

早乙が嬉しそうに笑っていた。

亜紀ちゃんが、さっきの「セイントーラ」が俺の友達なのだと言った。

「ああ! だから堂さんの東京ドームに來ていたのか!」

「お前は俺の親友だけどな!」

「石神!」

早乙が泣きそうな顔になり、雪野さんが笑いながら頭をでていた。

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