《7 Start》

ミルクの異次元

立花直子たちばななおこ

……

7時00分

起床

私は布団から起き上がると

閉じられていたカーテンを開き

窓を開ける

朝は空気をれ替えないと

気持ちが晴れない

外を見ながら私はを上向きにばした

今日は8時半からバイトがあるので急いで準備をしないといけない

洗面所に行き洗顔、歯磨き等を終えた私は

寢巻きから外出用の服に著替える

姿見で外見をチェックすると

寢癖がついていたので軽くクシで整えた

洗面所から臺所に向かった私は

袋にっていた2枚の食パンを取り出し

1枚をそのままオーブントースターの中にれた

もう1枚には、マーガリンを塗り込んでいく

世の中には焼く前に塗る派と焼いた後から塗る派が存在しているが

私はどちらも大好きだ

今日は前塗りと後塗りの両方を頂く事にする

マーガリンを塗り終えた食パンをトースターの中にれ、數分待つと「チン」と軽快な音が鳴り響いた

焼き上がったトーストにマーガリンをガリガリと塗って2枚のトーストが完した

本當はバターを塗りたいのだけど

バターは値が張るのでマーガリンにしている

曲がった事は大嫌いだけど

マーガリンは嫌いではない

「いただきます」

うん、いつもの味だ

どちらも良いいいじに仕上がってる

私は今日も1人でトーストを食べている

父は毎朝6時に家を出て、夜の0時頃に帰宅するのでなかなか顔を合わせる事がない

母は心ものごころついた時には居なくなっていた

葬式はしてないし、墓參りもしてないから

多分生きてはいるのだろうけど

何をしてるのかは一切知らない

親戚に尋ねても「お父さんから聞きなさい」と言われるし

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父に母の事を訪ねるといつもはぐらかされる

私が「理由を教えてよ」と強く詰め寄ると

父は毎回泣きそうな顔をしながら黙ってしまう

そうなったら私はもう詮索する事ができなくなる

知りたい事ではあるけれど、父を泣かせる訳にはいかない

だから今日も1人での朝食だ

トーストを2枚食べ終えた私は

コップに水道水をれて、一気に飲み干した

手早く食を洗い、洗面所に向かう

鏡を見ながらしだけ化粧をするか悩んだが

オーブンの熱でメイクが落ちる可能があるので、ノーメイクで行く事に決めた

家を出る前にポストを確認すると

數枚の用紙がれられていた

電気料、水道料、NHJの信料の支払い用紙だ

私は金額を見て呟く

「うわ…今月の電気料金高い…」

電気料が上がると言う噂は耳にしていたけど、ここまで上がるとは思っていなかった…

バイトまでしは時間があるし、コンビニで支払いを済ませておこう

私は沈んだ気持ちで家から出た

8時14分

バイト先の近くにあるコンビニに

コンビニで飲みを買うと高いのであまり買いたくはないのだが、支払いに使わせてもらうからにはしでもお店に貢獻したい

私は「大いなるお茶」

と言う商品を持ってレジに向かった

お茶と諸々の支払いを済ませた私は

バイト先に向かう

コンビニから3分ぐらい歩くと、バイト先である「パン家マインドぱんちまいんど」に著いた

10年前にオープンしたお店でハード系を中心に様々なパンを売り出している

値段はし高めだが

味はなかなか評判が良いいいようで、今は姉妹店がいくつか出來ているらしい

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この辺りの地域はハード系に特化したパン屋がないので、他店たてんとの差別化もしっかり出來ていた

私は店の裏口から中に

履いていたシューズから、支給されている靴に履き替えた

事務所にると中には誰も居ない

何故だか変な匂いもこもっていた

私は事務所の窓を開けて換気をする

散らかってる食べかけのカップ麺を手早く片付けるとしだけ空気が良くなった

帽子を被りかぶり

エプロンを著た私は

爪のチェック、髪のチェックなどが書かれているチェックリストを上から順に終わらせていく

全ての項目を終えた私は廚房に向かった

「お疲れ様でーす!」

「お疲れ〜」

私が挨拶をすると周りの従業員も返事を返してくる

今日はレジが1人に

袋詰めが1人

廚房とカウンターとホールを中継する役が1人

そして廚房には私を含めて4名が居た

4名の2名はパンの仕込み作業全般を擔當していて、ミキサー、形、ホイロによる溫度や度の管理などで、メインとなるパンを仕込む

二人とも年齢は30代ぐらいで、七海さんと言うの人と、福田さんと言う男の人が居る

この二人は働いてる期間が長いので業務全般を把握しているベテランだ

私ともう1人は最近ったばかりの新參者で

出來合いものの仕上げや

既製品を使って作るパン、サンドイッチ、ピザなど、様々なパンを完させるポジションに居た

仕込みしこみ側と連攜をしてオーブンでパンを焼いたりもする

手が空いたらあいたら洗いや、材料の補充、パンの仕込みしこみの手伝いなど々やらせてもらえてる

私は廚房にるなり冷蔵庫に仕込みがどれだけあるかを確認した

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するとベテラン従業員である七海さんが聲をかけてくる

「ちょっとあんたギリギリすぎない?廚房にってきたの4分前じゃない!もっと余裕を持ってってきなさいよ!」

私が苦笑いしながら「事務所が散らかってたので掃除してました」と伝えると

七海さんは怒りだした

「あんたね〜!事務所が散らかってても廚房に來るのがギリギリな事の言い訳にはならないのよ!?」

「すみません」

「すみませんじゃないよ全く!皆5分前にはってるんだからさ!しっかりしてよね!?」

「すみません、ですが先日労基が來た時に従業員を早めに出すのは駄目だって注意されてたじゃないですか?この職場は10分前に來る人が多いからって、あの時オーナーと七海さん3分前でも良いいいようにしようって言ってましたよね?」

「あれは表向きな話よ!改善努力はしますって言うアピールよ」

「また労基に怒られませんか?」

「あんたが心配する事じゃないよ!分かったら、シャキシャキ働きな!?あんたは他の人より要領が悪いんだからさ」

七海さんは私に文句を言ってから、遠くの作業臺に移した

私はため息をついて作業に取り掛かる

10時06分

パン屋さんと言うものは戦場だ

惣菜パンを作ったり、オーブンで焼き上がったパンを回収したり、パンラックに乗せていたパンを陳列したり、材料が切れたら補充をして、タイミング次第ではレジもさせられてる、作業容はまだまだあるが皆みんなで分擔、協力する事でなんとか回す事ができている

お客さんに食を提供する事はないから他の飲食店に比べたら洗いない方かもしれないが、パンを乗せたバットにこびり付いた汚れを落とす作業は地味に力を削っていく

うちのパン屋は8時にオープンしてから11時ぐらいまでの時間は忙しい

日曜日はかなり混む

そして、そんな作業の間に清掃チェックリストもこなさないといけない

私は必死に目の前の業務を片付ける

混んでいたからチェックリストをやる余裕はなかった

10時50分

お店がし落ち著いてきた

七海さんは私の所に來ると清掃チェックリストを見て怒鳴ってくる

「あんた今日は良いいいじに回せてると思ったら、チェックリスト一つも出來てないじゃない!?仕事舐めてんの?」

「すみません、やる余裕がありませんでした」

「やる余裕がなかったですって?皆出來てんのに何であんただけ出來ないのよ?新人の子も出來てるのにさ!ちゃんとやって!?」

七海さんに叱られているタイミングで鈴さんと言う従業員が廚房にってきた

鈴さんも30代ぐらいの年齢でベテランだ、皆の優しいお姉さんおねえさん的な人で慕われている

「お疲れ様ですー」

鈴さんの挨拶に皆も挨拶を返す

すると七海さんはドヤ顔をしながら喋る

「ほら〜鈴ちゃんはちゃんと5分前に來てるじゃない?あんたも鈴ちゃんを見習いなさい!」

私は言い返せずに「すみません」と謝るしかなかった

私の落ち込む姿に満足したのか

七海さんはテンション高めに「私は休憩にるから!あとはよろしくね〜鈴ちゃん!」と言って休憩にっていった

そのやり取りを見ていた新人の小栗君が私に聲をかけてくる

「叱られちゃったな?」

「そうだね」

小栗君は基本的には無口でクールな印象だが、喋ると優しい雰囲気がある男の子だ

確か歳も近かったと記憶している

「まぁあんまり気にすんなよ?あいつは文句を言いたいだけの可哀想な人だからさ?」小栗君は私をめると

清掃チェックリストをマーキングしていく

「それまだ終わってないですよ」と言うと

「良いいいの良いいいの、こんなん誰もやってないんだから!適當にチェックしとけば大丈夫!」と言って全ての項目をマーキングした

私は目を閉じて深呼吸をする

すると桜ちゃんがってきて挨拶をした

「お疲れ様デース」

桜ちゃんの挨拶に皆も挨拶を返した

桜ちゃんは皆のムードメーカー的存在だ

私の隣に來た桜ちゃんは「後しで遅刻するとこだった!セーフ!」と言いながら、野球の審判みたいなジェスチャーをしてきた

桜ちゃんを見てると癒される

時間が11時になったので小栗君と中継役のの子は退勤し、レジのの子も休憩に向かった

すると鈴さんが私に聲をかけてきた「直子さん今は桜ちゃんが居るからレジ側お願いして良いいいかしら?」

鈴さんの指示に従って私はレジに向かった

11時11分

レジに居たもう1人のの子と目が合った

名前は確か金田幸子さんだったかな?

小さくて元気なの子だ

は楽しそうにニコニコとしながら話しかけてくる

「シフトあんまり被ったかぶった事ないよね?」

「ですね〜、私って間もないので、お手らかおてやわらかにお願いします」

「なにそれー!ウケる!私達同い年だよ?タメで良いいいからね?」

「じゃあ、今後はそれで」

私と幸子さんが仲良く話をしていると

ガラガラのお店にお客さんが向かって來るのが見えた

橫に居た幸子さんが私の脇腹を肘でつついた後に、耳打ちしてくる

「クロワッサンガールだよ!クロワッサンガール!」

「なに?有名人か何か?」

「このお店の常連客だよ〜、ほら見てあのローリングがかかってる髪!」

「あー…それでクロワッサンね」

「そそ!いつもクロワッサンかバターロールを買って行くの!今日はどっちだと思う?」

凄くどうでもいい質問だったが、幸子さんが楽しそうなので數秒悩んでから回答をした

「うーん、バターロールかな?」

「バターか〜、じゃあ私はクロワッサンで!」

なんだかよく分からないが、どちらが當たるかを競いたいらしい

カランカランと店のドアに付いてるベルが鳴ったので

私達は挨拶をした

「いらっしゃいませ〜」

皆がお客さんに挨拶を飛ばす

クロワッサンガールさんはパンの前でしだけ悩んでいたが、バターロールとクロワッサンの両方をトレイに乗せると、レジにやってきた

「いらっしゃいませ〜!袋は小分けしてれますか?」幸子さんが質問をすると

クロワッサンガールさんは「一緒にれてください」と伝えてきた

幸子さんが金額を伝えてる間に私は袋詰めをしていた

會計を終えた幸子さんに袋詰めした商品を渡す

幸子さんから商品をけ取ったクロワッサンガールさんは嬉しそうな顔をしながら去っていった

幸子さんがテンション高めに言う「まさか両方注文するとはね〜」

「そうだね〜」

私は幸子さんとし仲良くなれた気がした

11時55分

休憩に行っていたいっていたの子が戻ってきた

「もうレジ大丈夫だから代わるね〜」

「あ、お願いします」私はレジカウンターから廚房に戻った

オーブンからパンを取り出していた鈴さんが急に悲鳴をあげてクロワッサンを大量に落としてしまう

何事かと私と桜ちゃんが駆けつけると

鈴さんは「ネズミが急に出てきてビックリしちゃった」と私達に説明してくれた

すると桜ちゃんが慌てながら捲し立てる「鈴さん!腕赤くなってますよ!早く冷やさないと!直子さん悪いんだけどパン捨てておいて!」

桜ちゃんは私にお願いをしてから鈴さんを連れて水場みずばに向かった

私が落ちたクロワッサンを片付けていると七海さんが休憩から戻ってきた

七海さんは私を見るなり呆れた顔をして、無言で自分の作業場さぎょうばに向かった

10時55分に休憩にったのに

12時ピッタリに戻ってきた七海さんに私はイラッとしていた

13時30分

私はまかないのパンを貰い休憩にった

事務所には誰も居ない

「いただきます」

まかないのパンを食べる

今日のまかないは塩あんぱんだ

塩の味付けがされたシンプルなあんぱんだが、かなりの人気商品で

餡の甘さと塩の辛さからさが絶妙なバランスで味しい

大いなるお茶も餡と相が良いいい

私はまかないを食べ終えると、家の蛍燈が切れてた事を思い出した

まだ休憩時間はあるし、電気屋も近くにあるし、良いいいタイミングかもしれない

私はすぐにお店から出た

14時12分

私が店に戻ってくると事務所にはレジ擔當の香さんが居た、香さんは20代後半ぐらいの年齢で元気が良いいい

今日は幸子さんが退勤するタイミングでの出勤となっていた

私が「お疲れ様です〜」と言うと

香さんも返事を返してきた

香さんは事務所でコンビニ弁當を食べている

味しそうですね〜」と話を振ると

「トンカツ弁當が今最高に熱いのよ!」と返してきた

香さんは手早く弁當を食べ終えると、容を片付ける事なく現場に行ってしまった…

私は目を閉じて深呼吸をする

時計を見ると5分前になりそうだったので私も急いで廚房に向かった

14時24分

廚房に戻ってきた

どうやら福田さんは14時に退勤したようだ

私は桜ちゃんの隣に行き、作業を手伝う

今はミニクリームパンを作っていた

ミニクリームパンは500円玉ぐらいのサイズのクリームパンだ

焼かれたパンの底面にしぼり袋を刺してから中にカスタードを注する事で完する

しぼり袋を冷蔵庫から出して桜ちゃんとクリームパンを作っていると、急に桜ちゃんが聲を上げた

「あ!?私爪がびたままだ!!今日はオーナーの知り合いが見學に來るから失禮がないようにって言われてたのに、忘れてた!」

桜ちゃんの言葉を聞いていた七海さんが「桜ちゃん!ちゃんと覚えてたんだ?偉いね!事務所に爪切りきりあるから、今のうちに切っておきな!」と言っていた

桜ちゃんは七海さんにお禮を言うと、私にクリームパンを任せてから事務所に向かった

私は目を閉じて深呼吸をする

14時になり幸子さんも退勤するらしく皆に「お疲れ様〜」と言って帰っていった

私は一人で黙々とクリームパンを作っていた

14時50分

オーナーが廚房にってきた

オーナーは40代の男で、しだけ不良みたいな目付きをしているが、喋り方は普通で常識人といったじの人だ

オーナーは足早に七海さんの所に向かうと「ちょっと事務所に來て」と、七海さんを連れていった

すると桜ちゃんが私に話しかけてきた

「なんかあったのかな?」

「うーん、そろそろオーナーの知り合いが來るって話だから、その打ち合わせとかかな?」

私が推測で喋ると

「そうかもね!この店舗では七海さんが一番長いし、信頼もありそうだもんね〜!」

と桜ちゃんは納得していた

すると、鈴さんが悲鳴を上げる

何事かと私達が駆けつけると鈴さんはカスタードを焦がしてしまっていた

桜ちゃんが「あちゃ〜」とリアクションをしながら、焦げた鍋を水に漬ける

「手伝おうとしたら逆に迷かけちゃった!ごめんなさい」と、鈴さんは申し訳なさそうに謝罪してきた

「いえいえ、私達が作るので鈴さんはドンと構えてて大丈夫ですよ!」と、桜ちゃんが鈴さんを元気づけている

カスタードの仕込みは元々私達が居るポジションが擔當をしていた

私は別の鍋を用意して、カスタードを作り始めた

15時21分

私がカスタードの焦げが付いた鍋を洗っていると、七海さんが戻ってきた

私の事をチラッと見た七海さんは、またしても呆れたような顔をしながら自分のポジションに戻っていく

さっきから人の事を馬鹿にしすぎではないか?

顔を見る度にあんなリアクションをされたら、我慢しててもイライラして來る

私は怒りに任せて焦げた鍋をガシガシと削った

それから數分後

オーナーの知り合いとオーナーが廚房の中にってきた

年齢はオーナーと同じで40代ぐらいだろうか?

しだけ系に見える

オーナー達に見られながらの仕事はなんだか息苦しさをじる

私が無心で仕事をこなしていると

オーナーの知り合いが桜ちゃんの肩を抱き寄せながら、何やら語りかけていた

桜ちゃんが嫌そうにしてる姿を見て

私は聲をかける

「なにやってるんですか?桜ちゃんが嫌がってるのが分からないんですか?」

私がそう発言をすると、場は凍りついた

ちょっとストレートすぎたかもしれない

「いやだな〜、アドバイスして熱くなりすぎただけだよ〜」と

オーナーの知り合いは言い訳を吐いた

すると近くに居たオーナーが私に話しかけてくる

「立花さん、ちょっと事務所に來て」

私はオーナーに言われて事務所までついていく

事務所に著くとオーナーは私の顔を見ながら一言伝えてくる

「立花ーお前明日から來なくて良いいいわ」

「はい?」

私は意味が分からずに聞き返してた

「いやだから〜、明日から出勤しないで結構」

「なんでですか?急に」

「お客さんに対してあの対応はありえない、あとお前の評判は良くない、まぁ給料は振り込むから安心しな?」

私は絶に包まれていた

なんで私がクビに?

こんなことで?

「あの、オーナー!アレはセクハラです!」

「セクハラ?お前が勝手に判斷して突っかかって來ただけだろ?お前の悪行はさっき七海から沢山聞かせてもらったし、お前の居場所はここにはない」

「悪行ってなんですか?」

「心當たりがないのが致命的だな…もう帰れ」

私は涙が溢れそうになるのを我慢しながら、店から出て行く

訳が分からない

私の悪行ってなんだ?

私は考えた

今までの出來事を

今までの環境を

ここで働いてからの數ヶ月間の事を

私は必死に頭を回して考えた

頭で考えれば考える程に怒りが込み上げてくる

なんで私なのよ

私はなにも考えたくなくて家まで無心で帰った

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