《7 Start》

立花直子…

……17時40分

真っ暗な部屋の中

テレビのだけがチカチカとっている

私は布団に埋もれうもれながら攜帯を開いた

攜帯のショートメールには鈴さんからのメッセージが屆いている

メッセージの中を確認すると

「大丈夫?大変だろうけど困った事があれば相談してね」

と書いてあった

私は鈴さんとだけは連絡先を換していた

鈴さんから最初に貰ったメッセージがこんな形になるなんて

私は返事が思いつかず、攜帯を枕に放ったほうった

電気も點けずにぼーっと布団にくるまっている

同じ考えがずっと頭の中を回り続けてる

思考が何処に向かってるのか

自分でもよく分からない

何かを考えているようで

何も考えていない

時間だけが過ぎていく

私の人生ってなんだろう

ふと、テレビを見るとニュース番組が流れている

ニュース番組には「園にパンダがやってきた」「人気俳優まさかの殺人!?」「不倫騒で自粛していた大歌手復活」など、様々なトピックが並んでいた

私はあまり見たくなかったので、チャンネルを変えた

この時間帯は何処もニュース番組ばかりだ

他の番組はやってないかとリモコンでタイムスケジュールを表示する

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どうやら

NHJ以外は

全てがニュース番組のようだ

NHJは基本的に子供向け番組が多い放送局で、小さな子供には人気のチャンネルだ

タイムスケジュールの欄には

「マミーといっしょ(再放送)」と言う番組名が書いてあった

私はテレビを消して布団に倒れた

部屋が真っ暗だ

真っ暗な部屋に居ると

世界には、私一人しか存在しないのではないかと

そんなありえない事を考えてしまう

私の世界

私だけの世界

私だけの暗闇

上も下も右も左も、暗闇の中ではなにもかもがないに等しい

落ちてるのか、浮いているのか、自分の居場所が何処なのか、それすらも分からなくなる

繋がっていた糸が切れたら、私は何を頼りにして暗闇を歩けば良いいいのだろう?

暗闇を見つめる?

暗闇を理解する?

暗闇は全てを飲み込んでいきそうで

存在そのものが消えてしまうのではないかと、じさせる

暗闇で暗闇を照らしたら何が見えるのだろうか?

私はちゃんと居るだろうか?

皆はちゃんと居るだろうか?

はちゃんとあるだろうか?

これに気づいてしまったら

世界が終わってしまうのではないか?

そんな事を考えてしまう

しかし

終わらない

終わろうとはしてない

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まだ大事なものが殘っている

心の中では信じていた

心臓は確かにいている

私は確かに存在している

意識がある

目を閉じながら深呼吸をする

私は布団から起き上がると、攜帯のライトを點け、切れていた蛍燈を換した

真っ白なが、部屋全を照らす

以前より量こうりょうが強いとじるのは、さっきまで暗闇に居たからだろうか?

私はしばらくを見つめていたが、こんな事をしてる場合ではないと洗面所に向かった

洗面所で鏡を見ると、酷い顔をした自分自が寫っている

「気持ち悪い」

私は顔をシャキッとさせる為に軽く洗顔をして

棚にしまっていた化粧道を取り出し

化粧を始めた

18時52分

化粧を済ませた私は家から外に出た

パン屋はクビになってしまったけど、パン屋だけが全てではない

この世には星の數程の仕事があるはずだ

無料の求人誌を取るために私はコンビニに向かって歩く

夜に出歩く事はあまりない

夜の冷たい空気はなんだか新鮮なじがする

10分ぐらい歩くとコンビニに著いた

私はコンビニに併設されてる証明寫真機の中に

前回撮影した証明寫真は期限が切れていたので、新しいのを撮影しないといけない

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サイズやカラーなどを選択し、800円をれる

機械が喋り撮影が始まった

本當は安く済ませる為に攜帯で証明寫真を作りたいのだが

ガラケーに対応したサービスが終了してしまった為

仕方なくこの機械を使っている

仲の良いいい友達が居たらお願いする事も出來たかもしれないが、私にはそんな存在は居なかった

鈴さんにお願いしたら協力してもらえるかもしれないが

そこまで親しくはないし、撮影の為だけに呼ぶのは心苦しいし、なにより気まずい

私は真顔で証明寫真を撮る

良いいいじに撮れていた

機械が喋りだす

「もう一枚撮ります」

私は中指を立てながら寫真に寫った

2枚に寫真が表示されて、どっちを選ぶかと機械が問いかけてくる

私は中指を立てた寫真も悪くはないなと思ったが、流石に使えないので真顔の寫真を選択した

19時07分

コンビニの中にると

「らーしゃーせー」と言う聲こえが聞こえた

私はマガジンラックにある無料求人誌を數冊手てに取り

大いなるお茶を購してコンビニから出た

コンビニから3分ぐらい歩くとマンションの屋上に人影が見えた

柵の外側にを出している姿を見て、私は直で理解した

あの人自殺しようとしてる

私は急いでマンションにりエレベーターに乗ると

最上階のボタンを連打した

間に合ってしい

エレベーターから出た私は階段を駆け上り

マンションの屋上に辿り著いた

人影はまだ落ちていない

私は大聲でんだ「待って!!!!」

私の聲に男が振り返った

私は男の元に駆け寄る

「自殺なんてやめて!!」

私が聲を荒げながら説得を試みると

男は虛無を見つめながら語り出した

「駄目なんだよ…俺はもう生きてる価値なんてないんだ…だから、ここで全てを終わらせたい…」

「一旦落ち著いてください!なんで、そんな事言うんですか?」

「29歳で貞!!高校を卒業した後に就職するもパワハラをけて退職、その後あとなんとか別の企業に採用されたが、給料は上がらず、大事なプロジェクトからは外され、後からってきた後輩に給料も抜かれる始末、転職を試みるも何処にも採用されず、上司に弱音を吐いたら「出來ないならやめたら良いいい」と、遠回しにクビ宣告もされて…好きだった人は35歳の金持ちに寢取られて、しかもキープされてるんだ!それに給料が低いから実家で暮らしてる!知ってるか?今は実家に暮らしてるだけで子供部屋おじさんとか言う最悪の名前で呼ばれるんだぜ?実家に貢獻してると言った所で痛い言い訳扱いさ、しかも正社員なのに生活保護せいかつほごにし足した程度の給料しか出ないんだ……もう真面目なフリをして、出來る人間に混じって生きていくのは疲れたよ…」

「……」

私は男の熱に圧倒されてしだけ黙っていたが

手に持っていた袋から求人誌を取り出し、男に見せる

「私も同じですよ……私、今日パン屋さんをクビになったんです…ありえないですよね?…パン屋さんをクビになるなんて……普通の人間はそうはなりませんよ……だってこのご時世飲食業界は何処も、人手不足なんですから…それなのにクビになったんですよ…凄くないですか?…」私の聲は震えていた

屋上の異様な寒さに加えて、この切迫した狀況

本音を聲に出した事で実が押し寄せてきて

目頭が熱くなっていくのが分かる

が溢れないようにと抑えつける

目を閉じて深呼吸をするが意識する程には溢れそうになる

私は目を開いてから男に再度語りかける

「それにですよ!私も居場所がないんですよ!!中學生の時にいじめにあってから、私の居場所はクラスにはなかった、だから高校は近場じゃない所に通ってるかよってるんです!クラスの人に會いたくなかったから……あと高校にも居場所はありませんよ!!周りからはうざがられて、今じゃ居ない者みたいな扱いです!それに人だって居ませんよ!!あと母親ハハオヤも居なくて!父親とだってたまにしか會わないんですよ!!趣味だってないんですから……………」

私は一気に捲し立てたが男は虛無を見ていた

私はなんとか伝わるように

彼が死なないようにと

頭を捻り、聲をあげる

「貴方あなたの悩みと私の悩みは違いますよ…でも、それでも、私も貴方あなたもまだ終わっていません!これから…何度だってやり直せますよ…形は違うかもしれないし…私達がんだものじゃないかもしれないけど…それでもまだまだチャンスはあります!…生きている限りは、違う道が見つかるかもしれない…」

私はありったけを絞り出した

なんとか自殺を止められるように

気づいたらがカラカラになっていた

しばらく沈黙の時間が続いた

私達は無言で見つめ合っている

私が寒さに震えながらくしゃみをすると

突然男が笑いだす

男の目は虛無ではなく私を見ていた

男が笑いながら喋る

「パン屋をクビになるなんて、君相當だね!?」

男は可笑しそうな顔をしながら柵を登り

こっち側に戻ってきた

私は男に求人誌を差し出して一言告げた

「一緒に仕事を探しましょう!」

男は求人誌をけ取ると、右の拳を前に出してくる

私はすぐに意味を理解して、右の拳を相手の拳にぶつけた

19時51分

マンションから出た私はの高鳴りをじていた

別に彼に惚れただとかそんなロマンチックなものではない

私は彼の事を全く知らないのだ

ではなく、したのだ…

私はその事にが打ち震えていた

この気持ちはなんだろう

形容しがたい気持ちが私の中で渦を巻いている

側に居た私が

外側に行く事で満たされている?

これは逃げかもしれない

ただ私は歯車を一つ拾い、しっかりと嵌めたのだ

その事実と尊さだけは間違いなんかではない

19時53分

私が家に向かって歩いていると

顔見知りのの子に遭遇した

私は手を上げながら聲をかける

「花鈴かりんちゃん」

するとこちらの存在に気づいた花鈴かりんちゃんが

笑顔で喋りかけてきた

「お!直子ちゃんじゃない〜!久しぶりだね?」

の名前は高垣花鈴たかがきかりん

一つ上うえの先輩だ

同じクラスの花蓮かれんちゃんのお姉ちゃんで

花蓮かれんちゃんと遊んでる時によく、ちょっかいをかけてくる人だった

花蓮かれんちゃんと顔立ちは似ているが

目付きは花蓮かれんちゃんより優しいとじる

花蓮かれんちゃんよりも長は大きいのだがしだけ茶目っ気があり、たまに子供っぽい事を口にする

「久しぶりですね、元気でしたか?」

私が常套句で訪ねると

「元気元気!最近遊びに來ないけど、花蓮かれんとなんかあったの?」

答え難い質問をされた私は、下を向きながら喋る

「なんかあったと言えば…ありましたね…喧嘩しちゃってそれからは全然喋ってないです…」

「ありゃ〜、まぁあの子たまに頑固な時あるからね〜」

「いえ、花蓮かれんちゃんは悪くないと言うか、私が甘えていただけなんですよ…」

「ふーん、私が弁解したげようか?」

「いえ、謝るにしても私から言わないと意味ないんで…」

「直子ちゃんは相変わらず真面目だね〜」

私達がそんな話をしていると、花鈴かりんちゃんの後ろでは気分が悪そうなの子達が、ワゴン車に乗せられていく姿が見えた

「なんかあったんですか?」

私が訪ねると

「あー、そこの焼屋で打ち上げパーティーしてたらお腹壊す人が続出して、今先生が家まで送迎してくれるって事で車に乗せてるのよ〜」

「そうなんですね〜、食中毒でしょうか?」

「全員がなってる訳じゃないから、多分生焼けのでも食べたのかもって話になってるよ〜、今いま店側とも々話してるみたい」

「大変そうですね〜、花鈴かりんちゃんは大丈夫なんですか?」

「私は平気みたい、大食いチャレンジしてたのにピンピンしてるわ!」

楽しそうに言う花鈴かりんちゃんを見て

この人は相変わらず元気そうだなとじた

20時07分

帰宅した私は求人誌を見ながらバイトを探した

「アットホームな職場です」「未経験でもしっかり教えます」「通費全額負擔」「時給最大1500円」等など、魅力的な求人が沢山載っている

私は良いいいじの職場を選び、履歴書を書いた

履歴書とは別に、もう一枚用紙を用意して

そこにも志機を書いていく

全てを書き終えたら封筒の中にれてタンスの中にしまう

この作業を繰り返す事で5回分の履歴書を作した

私はお腹が空いていたが、なにかを作る気にはわなれず

風呂にって歯磨き等を手早く終わらせると

寢巻きに著替えてそのまま布団にった

攜帯を開いて鈴さんにショートメールを返す

「私は大丈夫です!心配ありがとうございます!」

こんなじで良いいいだろうか

私は攜帯を枕に放ってほうってから目を閉じる

今日は々あって疲れたからか、すぐに意識は何処かに消えた

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