《Primary Wizard ~ゼロから學ぶ基礎魔理論》
エーテル変換についての方の説明が完了し、遅めの晝食を取った後、私たちはウォードの街の外に広がる平原にやってきた。
どうやらこれから、エーテル屬の魔法習得に向けた特訓が開始されるようだ。
帰りたい。
新しい魔法を習得できるというのは確かにうれしい。
が、帰りたい。
もう明日でいいんじゃないですか?
その提案は、街からここまでの道中で、既に2回棄卻されていた。
「まず私がやって見せるから。
見てて」
お手本を見せてくれるらしい。
白銀の杖。
前方に突き出されたその杖に、太が反して。
純白のローブに施ほどこされた金の刺繍も合わせて煌きらめき。
神々こうごうしささえじさせる。
そんな彼の橫顔を見つめる。
かわいい。
彼のはピクリともかない。
真剣でも、真面目でもなく。
淡々と、冷靜に。
杖の先端の半明のコア。
その周辺が、薄紫に、淡くる。
の度が強くなってきた。
と思うと、次の瞬間には、紫のは杖からし離れ、林檎程度の大きさの球狀の塊を形した。
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これが『コア』かな。
私は先ほどの講義を思い出す。
「これが『コア』。
『エーテル』という攻撃可能なエネルギーが集まっている」
空中に浮かぶ紫の魔力球。
『きれいだなー』などと考え惚ほうけていたのは數秒。
考察を再開。
何故、『コア』というものをしっかりと知覚できたことが、今の今までなかったのか。
推測。
理由は『速度』にある。
普段のノムなら、この魔力球を視認させる間も與えずに、一瞬で魔法を発するはず。
私は、わかりやすいように彼が魔法をゆっくり発してくれていることに気づいた。
「魔力の『収束』が完了したから、次は魔力の『放出』を行う。
魔力球を遠くに飛ばすようにイメージしながら、魔力を解放する」
ノムの視線が私から前方の空間に戻り、再びその橫顔を堪能できる。
瞬間。
紫の魔力球が、前方へ勢いよく飛び出す。
《シュン!シュン!!》
打ち出された魔力球が、紫の2つ風の刃やいばに、その形を変える。
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まるで、何もないところから、2発の剣撃が繰り出されたようだった。
嘆の念が、口からだらしなくれ出す。
それにしても。
ほんとうに。
このは何でも簡単にやってのける。
魔法発までの間、終始無言、無表。
呼吸をするように、とはこのことだ。
「魔法を発するときって、詠唱とかしないの?
『臺地を貫け!ノム・ボンバー!』。
・・・。
的な掛け聲でもあるかと思ったけど」
「ノム・ボンバーって・・・」
『何言ってんだお前』、とでも言いたげな、冷ややかな嘲笑を浮かべるノム。
正直、自分でもよくわからない。
疲れてるのかしら。
あまり深い意味は考えないでしい。
「私は詠唱はしないから。
高い集中力が必要な、大規模な魔を発するときは別だけど」
『詠唱を行うことがトリガーとなり魔法が発される』と考えていたが、そうではないらしい。
若干、殘念。
「ただ、『詠唱したらダメ』、というわけではない。
やってもいい。
そこは個人の自由」
どうやら気持ちの問題らしい。
じゃあ、私は詠唱やります!
・・・
が、しかし。
ノムは詠唱しない、ということは、詠唱のセンテンスは自分で考える必要がありそうだ。
・・・
めんどい。
やっぱやめよう。
魔法名をぶ程度にしよう。
「ちなみに、今私が使ったのは、『エーテル』という魔」
「そのまんまだね」
先ほどの魔法は、エーテル屬の『エーテル』という魔法らしい。
「もしくは、エーテルウイングか、エーテルウインドか、リトルシザー」
「どれですか」
「いろんな魔導書があって、それぞれで違う呼び方をされている。
でも、どれも単純にエーテルを放出しただけだから同じ魔」 
つまり、どれでもいいらしい。
「エーテルウイングがいいっす」
理由は魔法名をんだときの言葉の響きが良いからである。
私はそういうの大事だと思う。
「自由に」
語から、どうでもいいですよが伝わる。
・・・
僅かな靜寂を経て、本題にる。
「お手本は見せたから。
次はエレナがやってみて」
ぬぅーん・・・。
『エーテル』。
先生に見せてもらったその魔法。
それが発されるシーンを、頭の中で再生する。
次に、そのシーンの登場人を、先生から私に変更して、再度再生する。
・・・。
正直、発できる気が、全くしない。
が。
魔法を発できるまで、宿に帰してもらえそうにない。
選択肢が1つしかないのなら、覚悟も観念もしやすい。
「まあ、とりあえずやってみるよ」
弱々しい笑顔で肯定の意思を伝えると、彼も顔を縦に微振させて答えてくれる。
私の笑顔はすぐに消え。
集中・・・
魔力の収束を開始。
ゴーレム戦でのバーストの魔法発と同じ作。
右手を前に突き出し、そこからの魔力を外に解放していく。
合わせて私は、脳を、先ほどのノム先生のお手本、エーテル発開始から完了までの映像で埋め盡くす。
草原に吹く風、の溫かさ。
それらを可能な限り無視して、魔力の収束に集中する。
・・・
視覚報に対して、心臓が反応する。
ばした手の先。
魔力収束位置。
淡い、淡い、青の。
収束を続行。
すると、程なくして、青が、濃く、鮮明なものになる。
えっ?
えっ?
これ、できてるんじゃない?!
一発功しちゃうんじゃない?
私才能ある?
たしかにノム先生も、私には魔の才能がある、と言っていた。
昔ね。
最近は、ほめてくれないしね。
私はほめられてびるタイプだと思いますよ。
・・・。
線しかけた思考を無理やり戻す。
思考線の間にも魔力収束は継続されており、『コア』と呼んで遜ない、林檎サイズの青の魔力球が形され、しく煌きらめいていた。
完した魔力球を、ゆっくり眺めていたい。
そんな気持ちの一方で、魔力球をこのまま留めておくことは難しく、今にも暴発してしまいそうだった。
早く放出を!
「エーテルウイング!!」
私は、先ほど教えてもらった魔法名をぶ。
と同時に、魔力球を全力で前方に放った。
《バキッ! ババババババッ!!》
激しい炸裂音が響き、青い稲妻が私の目の前で弾はじけれ舞う。
・・・
『炸裂音』?
『稲妻』?
あれ?
「できたの?」
教に視線を送り、回答を求める。
「できてない。
今の魔法は『スパーク』。
エーテルではない」
やっぱり、違った。
手応えはあったが、既視の覚はなかった。
ノム先生のお手本と全然違う。
どうにかして、今のがエーテルだったことにしてもらえないかしら。
「スパークって、雷の魔法?」
「そう。
エレナは雷系が得意だから、自然と発したんだと思う」
既視の覚はなかったが、手応えはあった。
発した雷の魔法の威力の強さは、素人目で見ても明らか。
ゴーレム戦で発させた火の魔法、それよりも數段高火力。
エーテル発に失敗したことは、もはやどうでもよい。
このスパークという雷の魔法は、実戦で使える。
先の闘技場で苦戦を強いられた私は、実用的な攻撃手段を習得できたことを、素直に喜んでいた。
この魔法の別稱も聞いておきたい。
そう思いノムを見つめると、彼は何かニヤニヤしていた。
何?
「発時にの名前を言うのはやめたほうがいい。
『エーテルウイング』ってんでおいて、『スパーク』の魔が発したら、結構恥ずかしい」
久しぶりに笑っている彼を見た気がする。
『やめたほうが良い』と言われたが、『おもしろいから許す』というふうにも聞こえた。
「そうですね」
淡々と答え、私はスパークの別稱を聞くことを取りやめた。
「エレナ。
今日はエーテルの魔法が発できるようになるまで、宿には帰れないから」
いまだニヤニヤしている彼から、予想通りの帰れません宣言が発令された。
今日はここで野宿かな。
脳に浮かんだ現実になりそうな冗談をかき消して、新エーテル習得に向けたチャレンジを再開した。
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