《Primary Wizard ~ゼロから學ぶ基礎魔理論》
山並みに掛かった太は赤く、雲が燃えて。
帳とばりが降りつつ、上空は深い青。
赤から青のグラデーション、めっちゃ好き。
が、しかし、ここまで。
エーテルの魔法が発される覚は皆無。
空の赤は哀愁、青は憐憫。
天を仰ぎ、現実逃避。
嗚呼。
帰りたい。
魔発が失敗するたび、私は『暗くなる前に帰ろう』と提案する。
が、『まだ大丈夫』と、はぐらかすノム先生。
その後、いよいよ辺りが暗くなる。
遠くに見える街の明かりだけが頼りなく私達を照らす。
もう、いいでしょ。
私は『暗くなったし帰ろう』と提案する。
もし、ここでも、『まだ大丈夫』と応答されたならば、大丈夫である、その理由を問いただそう。
魔発の作も暗くて確認をとりづらく。
何より、夜はモンスターの活が活発になる。
最悪、不死系モンスターに襲われるかもしれない。
論理完。
私は、『もう 退ひかない』という強い意志を持ちノムを見つめる。
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「グロウライトの魔法を使う」
そう呟つぶやくと、先生が掲げた杖の先に、強烈なを放つ魔力球が出現した。
直視できないほど眩まぶしい。
辺りが突然明るくなった。
「グロウライトは暗闇を照らすことのできる魔法。
これで、『暗くなったから帰る』という論理は通用しない」
ほんのりドヤっている青髪。
論理があってもノムには通用しないけどね。
*****
何度繰り返しても、エーテルではなく、スパークの魔法が発される。
夜空に瞬またたく星達からも、憐れみの視線を送られているような。
そんな謎の覚が生まれるほどに、
私、たいぶん、くたびれている。
前進と言えば、魔法放出が完了する前に、魔力球のが青であった時點で失敗だ、とわかるようになったことくらい。
・・・
これ、もう無理なんじゃない。
私は、『できない人は一生できない』、というノムの言葉を思い出した。
訓練開始から32回目。
魔力収束を開始。
なかばやさぐれていたい私は、収束された魔力球が紫であることに気づかなかった。
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その魔力球は、放出と同時に紫の刃に形を変え、空間を切り裂く。
・・・
やっと、終わった。
エーテル発功の喜びよりも、疲労が勝る。
『帰ろう』。
その気持ちが伝わるように願いながら、無言のままノムを見つめる。
「お疲れ」
気持ちが伝わったのかは不明だが、ノムが労ねぎらいの言葉をかけてくれる。
よかった。
帰れそうだ。
が、しかし。
今、発に功したエーテルの魔法だが、明日にはまた使えなくなったりしないのだろうか?
考えるとぞっとする。
「一度発に功したら、その覚を忘れないから大丈夫」
私の不安を察したのかわからないが、ノムがフォローをれてくれる。
『エーテル』の魔法発には、苦戦を強いられた。
しかし、代替で発された『スパーク』の魔法は、一度も失敗していない。
それどころか、発を繰り返すにつれ、魔法の威力も高くなり、放出で、より遠くに魔法を飛ばせるようになっていた。
高威力で実用的な魔法が、いいじに仕上がった。
たった1日で。
「でも、スパークは魔力消費量が多いから、大変だったはず」
「一発放つたびに、がぐっとだるいんだよね」
の殘り魔力量というものは、人間の気力にも対応するらしい。
魔力切れギリギリで魔法を発し続け、今の私は、いろいろと磨り減っている。
「の魔力は時間が経つと自然と回復していく。
これを『魔力回復力』という。
エレナはまだ魔力回復速度は極低速。
數発の魔使用で、すぐ底が見えてしまう。
でも、これが長すると、魔を連発できるようになる。
魔師にとって、とても重要な能力」
「魔力回復力の低さは、今自分が一番実してます。
もう『出せ』と言われても、何もでません」
「単純に、的に疲れてる、という理由もあると思う。
魔力が殘っていても、者の機能が伴わないと魔法を発できない」 
申し訳ないが。
ノムの言葉があまり頭にってこない。
早く帰って寢たい。
その前にごはん食べよう。
がんばったから、今日はしくらいいいもの食べたい。
が、お金がない。
・・・
お金?
・・・
あれっ?
「うわーーーっ、闘技場の賞金、もらい忘れた!!」
私は、疲れも忘れてぶ。
今からでもまだ間に合うのか?
いや、間に合え!
「大丈夫。
今日出場したランクでは、賞金、でないから」
「でねぇのかよ!」
落膽と苛立ちと絶がじり合った不快で吐き気を催もよおす。
っていうか、『大丈夫』って、何が大丈夫か全然わからん!
「賞金が出てたとしても、新しい武を買わないといけないから。
無駄遣いはさせない」
「今日、武買ったじゃんか」
「上位のランクの敵相手にそんな武じゃ、即死。
エレナが強くなるに連れて武も合わせて強くしていくから。
逆にエレナが弱いのに、見合わない強い武を持っていても使いこなせない」
私が強くなり、より高い報酬がもらえるようになればなるほど、高い武の購が必要。
・・・。
新手の詐欺かな?
そんなことを考えながら、魔師修行1日目が終了した。
*****
「どうだったー?」
私はノムに尋ねる。
次の日、私は休む間も與えられず、闘技場の次のランクに挑戦させられた。
やけくそ!
ただ、新しく覚えたスパークの魔法と、し慣れてきたバーストの魔法のおかげで、特に何の苦労もなくクリアすることができた。
昨日から、たった1日でこの長っぷり。
さぞ、ノム先生も関心していらっしゃるだろう。
お伺うかがいを立てる。
が、見て取れるのは、『可もなく不可もなく』とでも言い出しそうな微妙な表だ。
「ちなみに私、ほめられてびるタイプ」
暗黙的に『ほめろ』と伝える。
するとノムは、
「よかった」
と、が欠如した聲で短く言った。
「どうもー」
私もが欠如した聲で返す。
「っていうかさー。
エーテル使いにくい。
スパークとかバーストのほうがいい。
というか1つの屬だけ強くすればいいんじゃない?」
戦闘開始前、私はノムから『できるだけ、エーテルの魔法を使うように』と指示をけた。
しかし、使ってはみるものの、明らかにスパークやバーストの魔法のほうが被ダメがでかい。
結局、途中から使わなくなってしまった。
「そういう考えの人も多くいる。
例えば、炎だけ強化した師は炎師って言われたりする。 
でもエレナは炎あんまり得意じゃない」
「んじゃあ雷!
私って雷屬得意なんだよね!」
『雷師エレナ』みたいな!
ちょっとかっこいいかも!
「雷は制に難がある。
今回の相手のような雑魚ならまだしも、強敵相手だと、制作が追いつかずに攻撃が當たらない。
まず、『制』の技能を強化する必要がある。
でも雷を使用しても『制』の技能が長しづらい。
ので、他の屬ので、制力を鍛える必要がある。
『制』の技能向上には、特に封魔が効果的」
それなら早く、その『封魔』とやらを教えてしい。
「私は『封魔』、得意なの?」
期待と不安を込め、そう尋ねる。
すると、
「普通」
という、釈然としない回答が帰ってきた。
普通って何かね。
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