《彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…》第44話 栗生院の油斷

油斷した…。

をして…その人のことしか見えなくなって…

一瞬…

一瞬でも浮かれて旅行にまで行ってしまったこと…後悔はしてないけどそのせいでこうなった。

公衆電話を切ると背中に突きつけられた銃口をグイっと押される。

これがまだ素人レベルの奴なら簡単に奪いとってやれたけどね。

「電話は済んだみたいだね?じゃっ、戻ろっか?」

とレッドこと小高は白い高級車へ促した。

「………」

「逃げようなんて思わない方がいいよ?鳴く鳥爺さんがどうなっても知らないけど」

「鳴島だ!前から思ってたけど人の名前間違えてんのわざとなの?」

「さあ?どうでもいいから呼びやすいの考えるんだよ、…大福ちゃんに一応発信は著けたけどやっぱ警戒して取られちゃったねー。君が変なれ知恵するからだ」

「…僕の時奈さんは勘がいいんでね!」

…時奈さん…電話口で泣いてたな。

泣かせたのか…。

いつって言われて答えられなかった…。

會えるのかな?會いたい…。

こないだマンションの下で分かれた後、僕は一旦自宅に戻ろうと車を走らせていた。

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人生でこれ以上ないくらいの幸せに包まれながら。

でももう遅かった。

海外で襲われた時にもっと手を打っておけば良かったんだ。僕が完全に油斷した。

キイイっと車は止まった。

「坊っちゃま…外に何人かいます」

と鳴島が警戒した。

「!?」

確かに10人か15人はいるな。

誰だ?旅行帰りで早く部屋に戻って彼と電話でもしたいのに!

車から降りると見慣れた男がいた。

「やあ、お帰りイケメン栗田くん!」

と銃口を向けながら小高が部下らしき奴らと立っていた。

「レッドさんじゃないですか…なんなんですか?どいてくれません?」

「殘念だけど、君の部屋はもうないよ?今頃発炎上して騒ぎになってるよ!元不明のホームレスのガキや老人を代わりに焼死まで作らせた。君と執事の爺さんはこの世からたった今消えたんだよ」

「は?」

淡々と怠そうに半目で小高は言った。

「大丈夫…顔は判別できないだろうし、何せ死にたがってたし老人は病気持ちだったしちょっと早まっただけだ」

「そう言うことじゃないだろ…」

「…君の悪の組織の方もいない間に壊滅させておいたよ。今頃は報道が大騒ぎだ。総帥の代わりも用意したんだ。謝してよね」

「なっっ…!!??」

僕の正も何もかも知っているのか…。

そう言うと

「…だから死者は大人しく著いてきな?まぁ大福ちゃんとはしばらく會えなくなるだろうけどね」

「!!彼に何をする気だ??」

「別に何も?一般人だろう?ああ、今住んでる彼のマンションは僕が買い取らせてもらった、今月中に出てってもらうか、僕の人になるかは彼に選ばせてあげようね」

「お前…っ!ヒーローだよな?」

ギロリと小高を睨むとせせら笑い、

「そうだけど…ねぇ?判ってんの?君が死んだことはもう君の叔父に伝えた。確かに殺しましたーって。だから叔父さんは君の莫大な資産も獨り占めしちゃったよー?悪魔だよね?もう君は死者でありホームレスであり俺の奴隷になるしかないんだよ?元金持ちイケメン栗田くん?」

「レッド!てめえっ!」

僕は毆ろうとしたが部下たちに銃口を向けられ鳴島がを支えた。

「いけません!坊っちゃま!下手に抵抗したらお命が!こいつらは…鋭ですね…」

「流石爺さん、冷靜な判斷だよ、さぁ行こうか?あ、君の車は発しとこうね」

にこりと笑い、その顔がしだけ同じ筋を思わせて嫌だった。

白い車はどこかへ走り続けた。

その時にブブッとスマホが揺れて彼からだと判った。

「ああスマホ…それも渡して?壊しとかなきゃ」

「嫌だ…」

「悪いね…君が生きてるとまた叔父さんに命を狙われるよ?今死んだことにしとけよ」

こいつは何がしたいんだ?

部下がポケットからスマホを取り出してあっさり壊した。

くっ!こいつ!

僕と鳴島は鋼鉄の鎖で繋がれてさらに銃口を後ろから頭に當てられた狀態だ。

「それじゃ著くまで寢まーす♡」

とポフリと橫に乗っている人の膝を枕代わりに小高は寢た。

人は赤くなりながら頭をでている。時々僕の方も見て赤くなる。何なんだ気持ち悪い!

しばらく走り続け、ようやく車は止まり小高も起きた。

「ああ、著いたか、降りて」

と促され降りるとそこは山の中の切り開いた一角なのか妙に靜かだ。そして目の前に焼けた建が見えた。

もう何年も前に焼け焦げたようで匂いはないけど。

「どこだ?」

「知らないかい?俺のことしは調べてたんじゃないの?ここは元孤児院…養護施設だね」

「お前たちがいた所か…」

「そうだよ?俺や隆に蒼太郎にインドに桃華に昴がいた場所だよ…俺たちがヒーローにさせられた後にいらないからって燃やされたんだよ君の叔父さん…いや俺の本當の父親か…。そう呼びたくないけどな」

小高は憎々しい顔で建を見た。

「君もあの野郎に両親を殺されたんだろう?」

「だからなんだ?お前は僕を仲間にれて叔父さんに復讐でもする気か?あいつは隙なんてないよ?僕だって一筋縄ではいかない奴だ」

「そんなのわかってるよ…だから今が好機なんだよ!君と俺は似てる!俺だって本當の母親は殺されたし今の義理の親も人質に取られて仕方なくヒーローなんてだるいことやってんだ!隆たちだって似たようなもんだよ!隆はアホだから真面目に戦ったりしてるけどね。まぁ最終的には勝たなきゃだから日々頑張ってたよ」

「…まさか…そこまで叔父さんがしてるなんて…お前は叔父さんの人の子だから協力してるんだと思ってたな半分は」

「はっ…あれを親と思ったことはないね!向こうもだよ!俺のことなんて認知するわけないだろ?向こうにはちゃんとした跡取り息子もいて幸せに暮らしてる。正義の組織の支援もしてるしな」

「僕にどうしろって言うんだ…」

すると小高は焦げた建り床の一部を開いた。

「當分この地下にいてもらうよ、部屋を緒で作ったんだ。隠れ家だね!君はここで…新しい悪の組織を作るんだ、俺とね!」

「は?新しい悪の組織?」

何考えてんだこいつは…。

「俺が今度は総帥になろう…もちろん幹部は隆たちだよ。怪人は…最強のゴリラもいるし?島にいた奴等も引き取った」

そして床からぬっとゴリラが現れた。

「久しぶりだね!やっと會えたよ年!」

とちょっと顔を赤らめオシャレしたゴリラが出てきた。

……ゴリラが発期だ…ヤバイな。

「まぁ中にって話そうか?」

と小高は言い、僕と鳴島はそれに従うしかなかった。

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