《彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…》第49話 牛丼と鰻重とキナコ

僕は危うく振り返りそうなのを我慢してあの暗い地下へと帰る。

帰ったら時奈さんとライメも出來るし…後は計畫を待つだけだ。

地下へと戻ると神野さんが來ていた。こいつらは代で僕を監視しにくるな…。

しかも神野さんは痛い。この人と話すといろいろと痛い!

「よく逃げなかったな…さすが元総帥と言ったところか…まぁ逃げても俺のこの第3の目サーチアイで貴様の居場所などすぐに判る!」

と頭に包帯を巻いて誇らしげに言う。

「小高さんは…」

「この聖なる日にあの男がこんな閉ざされた世界にいるわけがないだろう?奴はの者で有り、同時に闇の者でもある為に神達を魅了しこの世を牛耳らんと行を開始している…」

「つまりの子とイチャイチャしに行ったと…」

「ふっ…笑わせるな…貴様も似たようなものだろう…ま、マシではあるな…あの男と同じ能力を持ちながらその力をただの人間の一人に使ったのだからな…」

うっ…こっ…こいつっ、痛いこと言いながら一応確信をついてくる…。

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と赤くなりながら僕は神野さんに言う。

「あのー…神野さんも彼とデートでもすれば良いのに…」

すると神野さんは頭を抱えて

「殘念ながら…俺にはそんな能力はない…隆は力を暴走して変な方向に行ってしまった…あいつはもう戻って來れない…唯一俺と同じ【テード】の使い手であると言うのに!!」

くっと苦い顔をしこちらをギロリと睨むと

ぜろ!印多き者よ!」

「はっ?印…?………うっ!」

と僕はばっと首筋を手で隠すと赤くなり俯いた。

「なんかすみません…」

ぜろおおおおお!!」

ちょっと泣きながらばれた。

言わんとすることは解るんだけどね…。めっちゃ疲れるな。

「ていうか普通に彼作ればいいでしょう?神野さんなら黙ってさえいればの子寄ってくるでしょ?」

「………俺は…お前たちとは違う孤獨の星の元に生まれ墮ちた…奴隷一人で充分だ」

「ああ、ペットのココアちゃん?」

「だが、俺の居ぬ間に外に出て魔王と出會ったらしくてな…魔王の子を…腹に宿した…運命は殘酷だ」

「つうか…手しておけよ」

「俺は魔王の子を更生させる義務がある!然るべき場所でまっとうな生き方ができるようにな」

「ああ、里親募集始めたんですねー…いい人に貰われるといいですね?」

と言うと

「お前も魔王育プロジェクトに參加すると言うのか?」

とゴソゴソと子貓を1匹取り出した。

「ええー…いや…ここで飼っていいならいいんじゃないですか?僕より小高さんに聞いてみたら?」

「…あれは確かに人を魅了する男だが心が腐敗した奴だからな…貴様の方が遙かにマシだと言ったろう」

と貓を渡される。うーん、僕もそんなに貓はったことないんだけどなぁ?可いのか?これ?

「そいつを手名付けるのを貴様の使命とする!戦闘員E!幹部の言うことは聞くものだろう?」

「はぁ…まぁわかりましたけど…ちゃんと餌とか運んでくれるなら結局の所神野さんが世話してることになるんじゃ…」

「こいつにはまだ名を與えていない。與えるのはお前だ!名を與えた者が次の親となる。親は責任を持つものだ…何、ゴリラをしつけれたんだから同じようなもんだろう?」

「いやあ、あれは特殊なゴリラじゃん?」

「今も気配は絶っているが貴様をどこかで狙っているような気がするな…」

「それ気配絶ってませんよね?ダダれですよね?」

と部屋のドアの隙間からる目玉がギラギラと僕を見ておりゾッとした。

「ところで鳴島は生きてる?」

「あの爺さんか…神と時の部屋で修行してるな。爺さんのくせに見上げた奴だ」

普通にトレーニングルームで鍛えてるだけな。

「だってここ暇だし…仕方ないですよ…そうだ、神野さんもカラオケでもしましょうよ?」

「ふ…俺は歌などに興味はない!レッドに急かされてCDなど出す羽目になったが!仕方なく嫌々だ!」

その數分後…貓を護衛に預けてカラオケルームで神野さんが聲で熱唱してるのを見て、何だこいつノリノリじゃないか…と鳴島と二人で手拍子する。

「坊っちゃま…雪見様とお會いできて良かったですね?ここに來て結構塞ぎ込んでましたからな…それに大人になられて爺は嬉しゅうございます!」

「……………」

父親代わりにそんなことを言われてどう返せってんだよ…。また赤くなり俯くと

「おい貴様ら!手が止まっているぞ!宇宙からのサインが聞こえないのか!?それに合わせろ!」

「はいはい…サインね…」

と手拍子を続けた。

部屋に帰り貓が膝によじ登ろうと爪を立ててきた。そう言えばこいつの面倒を押し付けられたのだ。餌と貓砂にトイレに貓じゃらしグッズ、空気清浄機など一通りのを置いていった神野さん。

「名前かあ…時奈…じゃあちょっと恥ずかしいな」

時奈…トキナ…キナ…キナコ…

「よしっ!君はキナコだ!!」

と貓に名付けた。早速寫真を撮ってライメに送る。するとすぐに既読がついた。

たぶん必死に打っててしばらく待つと返信が來る。

牛丼:(可い!どうしたの?この子!!)

鰻重:(うーん、知り合いに押し付けられて飼うことになった。名前はキナコだよ)

と偽名でやり取りを始めた。念のため後で文章は削除するけど…。それにしてもこの名前はないわと思ったけど彼からこれにしようと言われたのでそうした。本當に面白い。

牛丼:(鰻重くんに世話出來るの?)

鰻重:(うーん、飼ったこともったこともなかったから解んないけど…貓が可いと思ったこともあんまりないしよく解んないや?)

一般の人から見るとやっぱり可いと思うのだろうけど僕はちょっと変わってるしな…。時奈さん以上にを持ったことがほとんどない。両親が生きている時は小さくて當たり前にあるものだったのはわかる。それがいきなり消えて奪われた。その時からちょっと周りが見えなくなったのかな?

と接する機會もあまり無かったし。

牛丼:(私の友達も飼ってるよ!今度寫真撮ってくるね!)

鰻重:(楽しみにしてるよ…ちゃんと寫してね?ピントが合わないと困るから、子貓ならシーツにくるませると可いよ)

と打つ。

これはしメッセージを込めた。ちゃんと寫しては貓を寫す場所には気をつけてほしいこと。

うっかり背景に特定されるような変なものが寫ってしまわないように…。勘のいい彼なら察するだろうけど。そのことも一応は昨日寫メをライメに送る時のことを話し合っておいたから…。

牛丼:(わかってるよ。ちゃんと寫す!)

どうやら大丈夫みたいだな…。ほんとは時奈さんの寫真も見たいけど…流石に無理だしな。

鰻重:(何だか牛丼が食べたくなってきた…)

と打つとしばらくして

牛丼:(しゅき屋が今キャンペーン中だよ!私はやっぱりチーズ牛丼が好きなんだけど…ああ、貧乏くさくてごめんね?一応お持ち帰りもできるよ!)

うーん、そっちの意味ではないけどいいや。

鰻重:(またキナコの寫真送るね)

牛丼:(うん!待ってるね!)

とライメを終わらせて文章を削除するのに數分かかったけど何とか削除した…。

それでもいい。また話せるから。文章でも。

全部終わったら牛丼でも鰻重でもまた食べに行けるから…。

キナコがいつの間にか僕の膝に乗って寢ている。

…ソッとってみるとフワフワのが殘る。

「…これ…どうやってどかそう…」

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