《彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…》第60話 屋上の闘い
セントユニバースの屋上では激しい闘いが繰り広げられていた。
飛びう怒聲に銃撃戦・発・風で飛んできたコンクリートのかけらで撮影するカメラマンも死にそうになる。
そして我を忘れた怪人達は元ヒーローの桃華や昴、蒼太郎に襲いかかる。
いくらなんでも3人はないぞ!あんな數の怪人達相手に!あれ?元イエローいないな?どこだ?
見渡しても確かにいない。
しかし3人でも流石に強い青を中心に怪人達を蹴散らしていってる!まぁ武の威力が半端ないと言うか。もしかして改造でもしたのか?
屋上が吹っ飛ぶかビルが倒壊するかそして俺は逃げるべきなのか迷うカメラマン八代でした。
ネットでは
(カメラを止めんな!死んでも撮れよ!!)
(お前の骨は俺が拾ってやる!)
との書き込みにうんざりする。
*
そして小高暁雄は目の前のイケメン中年と対峙していた。
栗生院蔵馬の後ろに控えていた白服男の一人が日本刀を彼に渡した。スラリと抜き放たれる刀は不気味に輝いている。
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「さて、さっさと殺して燃やしてやるか」
蔵馬は鋭い目つきになると日本刀を構えている。暁雄はハンドガンと短刀を攜帯し腕の高速裝置で一瞬で移し蔵馬の真橫からハンドガンをぶっ放すが
「遅い!」
と言い弾を二つに斬られる。
そして蔵馬は鋭い刃をとんでもない速度で真橫に両斷し、またそれを華麗に飛び退け避ける暁雄だが、いつの間にかし腕を掠めたか服と共にその部分が切れてが滲んだ。
「反則級の裝置を使っていて遅いもクソもねぇな!」
と言うと蔵馬は
「うるさいゴミだ」
と今度は縦にビュッと風が吹いて危うく斬られそうになる。
…が短刀でそれを止め、空いてる手でハンドガンをぶっ放すが蔵馬はそれをあっさり避け腰からクナイのようなものを何本か高速で投げつけたが、それをまた銃で全て撃ち落とす暁雄。
お返しに腕に著けていたアミュレットから小型のボウガンがガシャリと飛び出してシュッと蔵馬へ向けて飛ぶ。
蔵馬はそれを避け壁にブスブスと矢が刺さる。それを1本壁から引き抜き暁雄に矢が放たれる。さらにそれを避ける為、空中で高くジャンプした暁雄は高速でハンドガンの弾をれ換えて上から蔵馬目掛けて撃つがそれも刀で全て弾かれてしまう。
この間に二人共互角かと思える腕前であった。
腕をし切られた暁雄がしだけ劣勢なのだろうか?
とそこでがくりと膝をつく暁雄。
「貴様…毒か…」
と腕の傷を見た暁雄。
まさかあの刀に毒まで仕込んでるとはな。
「言っただろ?お前のようなゴミはもういらんとな!ここで殺し、吉城も後でじっくり痛ぶって殺してくれる!正義に逆らった悪人ども!」
「毒とか使う正義なんてないんだけどなぁ…」
そして言い方ももう正義じゃないよ。ま、全に毒が回る前にこのクソ野郎を倒さなくてはな…。
「解毒剤は怪人達の中の1人に持たせた。今頃そいつはお前の仲間共に倒された中にいるかもな?解毒剤が無事だといいな」
と蔵馬がニヤリと笑う。
「なんて奴だ…おい、蒼くん聞いたか?怪人の中に解毒剤持ってる奴がいる」
と俺はハンドガンで応戦しながら手首の通信機に話しかけた。
「何だと?既に何匹かぶっ倒してしまったぞ!?おい桃、昴!ちょっと攻撃やめて持ってそうなの探せ!」
「えええ!!遅いよおおお!割れてても知らないよ!」
通信機を切り俺はまた蔵馬を睨む。
「余裕がなくなってきたか?暁雄」
ビュンビュン刀が暁雄を襲い、それを避けるが視界が霞む。…くっ!ついに持っていた短刀を弾かれてしまう。
ギラリと日本刀が自分を狙う。ハンドガンを撃つが弾切れだ。カチカチと虛しい音がする。
振り上げられた刀と共に
「死ね!ゴミ!」
とザクリと斬れる音がした。
しかしそれは痛くない。目を開けるとそこには怪人がいた。檻から出てきた奴等ではなくまだ下の階にいた仲間の怪人だ。
怪我をたくさんしている。
他にも下から上がってきた怪人達が現れて加勢した。
「へっ!俺たちはケルベロスの怪人だ!総帥さんよ!加勢に來たぜ!」
「爺さん達はちゃんと病院に運ばれていったぜ!だが俺たちはもう人には戻れねー!ならあんた達の駒にでもなんでもなってやらあ!」
「行くぞ!お前等!黒幕をぶっ倒せー!幹部を手助けしろー!!」
「うおおおおお!!」
と怪人達はゾロゾロと加勢する。
「ゴミが増えたか!一掃してくれる!」
と蔵馬は容赦なく懐からダイナマイトを放り投げる。俺は怪人達に風から守られる。
「くっ!お前等!すまない!」
銃を捨て俺は倒れた怪人達に禮を言い、蔵馬と向き合った。
折れていた怪人の長い剣のような爪を拾い上げて布で拳ごと巻いた。
「これで最後だ!」
「來い!生ゴミ!!」
お互い刃を合わせる度火花が舞う。毒でも熱い。だが、負けられない!
しかしぐらりとが傾いた一瞬
「バカめ!これで終い…」
俺はそれを投げた。一枚の…寫真だ。
栗生院綾乃…の若い頃の寫真だ。
蔵馬はそれを見た。そして俺は奴の目掛けて爪を突き刺した。
ドスッ!!
「あ…や…」
そして蔵馬は持っていた刀を落とした。
がくりと膝をつき倒れた。からはが流れ出す。
「暁雄!!解毒剤だ!!」
蒼太郎が瓶を投げそれをキャッチする。毒でグラグラし倒れかけたが怪人に支えられて俺はそれを飲む。
「こっちは片付いたぞ!」
ボロボロになりながらも蒼太郎は駆け寄り蔵馬を見た。
「……死んだか?」
「いや…僅かに急所はずらした。今すぐこいつを運ぶぞ!死なせるものか!一生償ってもらう!それが俺たちの番犬の役目だ!!」
「その前にお前も院だな…まだ解毒に時間はかかるだろうしな」
その時ガシャリと刀を握る音がした。
「ふはは…」
「!!こいつまだ!!」
蔵馬は起き上がり笑う。
口からはが溢れている。
「ごふっ!……だからゴミはゴミなんだ。……流石悪の組織だな…そして私は…まだ未練があったと言うのか……すまない綾乃さん…」
「待て!辭めろ!クソ野郎!!」
手をばすが間に合わない!
グサリと蔵馬は自分の腹を刀で刺しそれはを貫通した。真っ赤なが周りを染めた。
「…私は…お、俺…は…やはり兄さんには…勝てな…」
と蔵馬は倒れて事切れた。目には涙が一雫落ちていた。
暁雄はその最期を見ていた。
「はぁ…吉城に毆られるかな…」
「お前は一度ぐらいその顔を腫らした方がいいだろうな」
と蒼太郎は靜かに目を伏せた。
「……それは俺の子貓ちゃん達が悲しむから」
と暁雄は亡骸に背を向けた。
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