《彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…》第108話 全てが終わって

「うっ…」

ゆっくりと目蓋を開くとそこに心配そうな時奈ちゃんとイケメン彼氏の栗生院吉城がいた。

「……相馬くん…久しぶりだね…」

時奈ちゃんはそう言う。

「時奈ちゃん…ずっと…會いたかった…んだ…僕は…忘れたことなんてないよ…」

「…………」

時奈ちゃんは俯いた。

そして一言

「ごめんなさい…もし相馬くんが私の為に間違いを起こしたならきっと私のせいだね」

「違うよ…僕はただの人形で…言いなりだっただけだ…時奈ちゃんのせいじゃない…」

時奈ちゃんは首を振り、

「相馬くん…人形じゃないよ…人形は泣かない…」

僕は涙を流していた。時奈ちゃんとやっと會えたから?話せたから?あの頃みたいに…。

「相馬…僕は時奈さんが殺すなって言うから手を抜いた。彼は優しい。君は沢山の人に酷い実験をしたんだ。蔵馬の言いなり?それは言い訳だ。君は人形じゃない。生きているだろ。僕に毆られて痛かっただろ?本當はもっと毆って顔の原形無くなるくらいにしときたかったけどね」

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「吉城くんダメだよ!」

「はーい、時奈さん♡」

と栗生院は言い、僕の目の前で時奈ちゃんの頰にチュッとキスをした。

イラッとした。

「ちょっと吉城くん!なっ、何してんのっ!」

赤くなる時奈ちゃん…。

「言っとくけど時奈さんは渡さないよ?僕と彼は相思相だし、時奈さんのハジメテももう僕がいただいたし君に付ける隙はないよ」

と言って時奈ちゃんは俯いて真っ赤になった。

「……もう判ったよ…僕の負けだよ、そんなラブラブな2人を見せつけるなんて栗生院くんは意地悪だね。で?僕はこれからどうなるの?被害者を元に戻す薬を作った後、僕みたいなのは危険因子だから殺すかどこかに一生閉じ込めておく?」

と聞くと彼は

「いや、お前程の奴を國に渡すのは惜しいからケルベロスで働いてもらう。給料も出す。お前は世間知らずだし學校にも通ってもらう。人ともっとコミュニケーションしろ!引きこもり!」

と信じられないことを言った。

「馬鹿じゃないの?僕は…罪を犯し、時奈ちゃんを自分だけのものにしようとしたのに…がっ…學校って!?」

「何?君…學校行ったことないんだろ?なんなら小學校一年生からランドセル背負ってれてあげてもいいんだよ?」

と栗生院は凄い意地悪に笑った。何でこんな奴が好きなの?時奈ちゃん!!おかしいよっ!!毒されてるよ!!

「そっか、よかったね相馬くん!!學校行けるって!!吉城くんはね、時々ちょっとは意地悪だけど本當は凄く優しいんだよ?」

と惚気られた。

學校…僕が…。

「僕にも…友達ができたりするのかな…こんな…僕でも…」

一瞬だけ友達に囲まれた未來が見えた気がした。ああ、そうか僕は本當はちゃんと普通の子と同じように扱ってしかったんだって…。僕には父親も母親もいないくて時奈ちゃんしかいない狹い世界にいてそれが全てだった。その為にずっと生きてこれた。

「相馬くん…これから…たくさんもっと、私以外にも大切なものができていくよ…。もう閉じこもるのは終わりだから…」

と時奈ちゃんは僕の手を優しく包み込んでくれて涙が溢れた。暖かい…。

しかしそれはすぐに栗生院により奪われた。

「ちっ!」

と舌打ちしながら睨みつける栗生院。なんて嫉妬深い男だろう。ほんの數秒なのに!!

それでも僕はこれから訪れる未來が明るいに満ちて行くのをじた。

「ここ…?」

と相馬くんを私達の住んでいるマンションに連れてきた。彼は數ヶ月薬を作り続けて被害者達を元に戻した。それから正式に暁雄さんがケルベロスに迎えれることにした。未年だし一応顔がイケメンだと言うことでなんとメンバーに採用されていた。何でだ!!?

しかも暁雄さんが引き取ることにして一緒に住むことになったそうだ。

栗生院くんはギロリと二人を睨みつけ

「おい、相馬…言っとくけど…暁雄さんを手本にするのはやめろよ?こいつはとにかくだらしがない男だ!!今は一人だけど過去なんか何百人もと遊んでいた奴だ。後、部屋は汚い。お前は掃除させられるだろうけど頑張れよ」

と一応は睨みながらもこいつの影響だけはけるな!と忠告した。

「判ったよ栗生院くん…時奈ちゃんと同じマンションに住めるだけで幸せだよ」

と相馬くんはイケメンなスマイルを出した!!

「おい!僕の時奈さんをするな!!」

「はーい!!じゃあ、いきましょう総帥さん」

「……あーあ…俺も凜子さんと住みたいよ…なんでこんなケツの青いガキと一緒なんだよ…」

とガクリとした。

來週からは暁雄さんの弟と偽裝して學校に行くようだ。2年の男子が栗生院くんと相馬くんの2人に増え、イケメンハーレムは分割しそうだろうなと予想した。

マンションの部屋に帰ると吉城くんは珍しくイライラしていた。

「あいつが近くにいると思うと落ち著かない!時奈さんを取られたらどうしてやろう…暗殺計畫を練らないと…そうだやられる前にやろう」

騒なことを考えるイケメンサイコ。

私はお茶をれて

「そんなこと心配しなくても相馬くんとはもうお友達だよ…」

と言うと

「向こうはそう思っていないかもしれないよ?あれはまだ時奈さんに気があるよ!!くっ!!」

と焦るのを久々見た。いつも余裕たっぷりなのに。まぁ相馬くんは確かにイケメンだ。格も殘り二つの人格は除いて見るとかなり真面目で紳士だと思う。

そういうところはなんか似ているなぁ…と思う。

「時奈さん…まさか僕を捨てて相馬を選ばないよね?」

うおおおおおう!!イケメンの嫉妬が怖い!そしてされてるって罪!!

「何言ってるの…吉城くん。吉城くんが私を捨てても私はずっと想ってるよ…」

と言うと

「は?僕が時奈さんを捨てるわけないよ!!むしろ僕の方が捨てられるんじゃないかってビクビクしてるよ!!」

ふがーっっ!!!

ドカーーーン!!

ついに噴火した。

(住民の皆様落ち著いて避難経路を確認しましょう…イケメンの押し合いで押しつぶされないよう足元のイケメンにご注意ください)

(いやあああああ見て!!空からイケメンの隕石が降ってきたわ!!)

(ああっ!イケメンの川も氾濫したわ!!)

(こっちはイケメン土砂崩れが起きたわ!!)

(イケメンが地球侵略しにきたぞーーー!!)

ともはやイケメンによる終末が訪れようとしていた!

いやっ!終わらせないけどね!!

「時奈さん??」

はっ!!と我に返った。

「もう、何考えていたの?まさかあのくそ白髪頭じゃないよね?」

「え?それ相馬くんのこと?」

「あんな奴クソ白髪で充分だよ」

とクソイケメンサイコが言う。

「もう吉城くん…同級生になるんだから仲良くしてよ?本當なら彼は私と同い年くらいなのに繰り下げて吉城くんと同じ學年とかにするなんて」

と言うと吉城くんは

「當たり前だよ…時奈さんと同じ學年なんて僕が許すはずないでしょ?それに奴は僕が常に監視するからね…くくく…」

と変な真似したら相馬くんほんとに殺されそう!!頑張ってね!と相馬くんに同した。

「あーあ、とにかくひと段落はしたよね………」

「うん、お疲れ様吉城くん…」

すると吉城くんは私をいきなりお姫様抱っこして…微笑んだ。

「ふふ、ようやく獨り占めできるよ…」

とスタスタと寢室に運ばれる…。

えっ…えええ!?

「この頃はクソ白髪のことで忙しかったからね…。さっさと時奈さんの頭の中からあいつを追い出して僕でいっぱいにしないと気が済まないよ」

と言ってベッドに下ろされた!!

ええええー!!

そ、そんなこと言ったって…うわあああイケメンが來るよおおお!!

ダメえええ!イケメンに噛まれたら染しちゃううう!!

私の彼氏でイケメンでクソサイコで正は戦闘員E様はソッと私のメガネを外して熱っぽい視線を絡ませて

「時奈さんにこんなことできるの僕だけだからね…」

と彼は間近で見えるくらい近づいて沢山のキスの雨を降らして私を沢山した。

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