《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第3章 1983年 プラス20 – 始まりから20年後 〜 6 タイムマシンと者(2)

6 タイムマシンと者(2)

智子の話では、伊藤は智子を抱きかかえたまま乗り込んだという。搭乗者が一定の距離に近づくと、自り口が出現するようになっている。そうすれば、両手が塞がっていても乗り込めるだろうし、智子は実際、伊藤に続く、れっきとした搭乗者なのだ。

そして時間移が終わったら、黙っていても出口は開く。智子の話からすればそんなじが想像できるし、とりあえずこれで、中の様子を見ることはできるが……、

――記憶された人間以外が乗ると、発するなんてこと、ないだろうな……?

そんな恐怖をじながら、剛志は恐る恐る階段一つ目に足をかけた。

幸い、心配を裏切るしっかりした階段で、揺れもしなければりもしない。あっという間に天辺まで上がって、難なく不思議な空間にることができる。

すると智子が言っていたように、すぐに空間全が明るくなった。

しかしどこを見回しても照明らしいものはなく、どうやら壁そのものが優しいを放っているようだ。見事に殺風景な空間で、唯一その中央に椅子らしきものは確かにある。

ところが見たところ、どうにも座り心地は良さそうじゃない。階段に変化したやつとおんなじ質なのだろう。碁石を大きくしたようなのが銀って、なんの支えもなくポッカリ空間に浮かんでいる。

――こんなものに、本當に座れるのか?

そんなことを思っていると、不意に背後から聲が聞こえた。

「それ、座るときっと、形が変わるんだと思うわ」

外から顔だけを差しれ、智子が真顔でそう言ってくる。

正直、座るだけでも怖かった。それでもやるしかないと、意を決して浮かんでいるものにを載せる。するとそのに覚えた途端だ。予想を遙かに超える変化が起きる。

サラッとでられた気がして、頭から足裏まで何かが一気に纏わりついた。

言ってみれば、飛行機のファーストクラスにあるような座席を、左右からグッと細くしたってじか……にぴったり著している割に、フワッとしていて圧迫がまるでない。そんなのが後頭部から足先までを包み込み、なんともいいじで気持ちいいのだ。

もしもこんな狀況じゃなければ、さぞかし快適な気分でいられたろうと思う。

とにかくこれがタイムマシンなら、これこそが時間旅行のための座席で、その前方には縦桿やら計類があるはずだ。

ところが目の前には何もなかった。丸みを帯びた銀の壁がただあって、やはりうっすらを発しているだけだ。もし、テレパシーとかでくのであれば、なんであろうとここで完全にお手上げになる。ならば、伊藤にそんな力があったのか?

――いや、他に何かあるはずだ……。

百年先の未來だろうが、人間にテレパシーなんて力が備わるわけがない。

彼はそう確信し、上半し浮かして前方の壁に目を向けた。それからさらに、顔を前の方へ突き出したのだ。するとそのきに合わせるように、いきなり目の前にボードのようなものが現れた。見れば壁の一部がせり出して、手を出せばすぐ屆くくらいにまでびている。

――これだ……これがそうなんだ。

一目見てそうじられたのは、まさに思い當たる數字があったからだ。

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