《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第89話 桃山詩Ⅰ②

※無事第1部完結までPC力しました。書き溜めが80話(11/21時點)になってしまったので、投稿頻度上げます。

「ああ、いいよ。僕は浜さんにを張って助けてもらってるし、何かしたいなと思ってたトコだったし」

リズミカルにブラシの音が浴場に響いていた。その音がピタ、と止んで彼を起こす。

「あ。今『浜さん』って呼んだ」

「ああ、だって、恥ずかしいよ。桃山さんに『一華ちゃんは』っていうのは」

「ダメですよ~。徹底してくださいよ~」

「え? ダメなの? いや、どうしようかな? ‥‥勘弁してよ」

「もう‥‥!」

気がつくとふたりで笑いあっていた。桃山さんは、僕をぴしぴし叩きながら、ケラケラよく笑う。――僕もつられて笑ってしまうから、こんな風になる會話が多い。

この後僕もちょっと手伝って、お風呂掃除は完了する。

「‥‥本當に暖斗くんって変わってる。普通男子が手伝うなんてないよ?」

「うん。わかってる。でも悪い事してないし」

Advertisement

「あ~あ。結局競爭率高いんだよね。‥‥‥‥私が手伝えるのはここまでか」

「ん? 何か言った?」

「いえいえ。いちこの事で」

「‥‥‥‥」

ここで僕の悪い癖、というか。

に浮かんでた言葉を口に出してしまう。――きっと僕はいんだろう。

「桃山さんて、親友想いなんだね。‥‥‥‥っとその。僕が鈍くてもさすがにもう気づくというか。なんというか」

それでもギリギリ、核心をずらした様な言い方をする。

桃山さんはまた、目を閉じる様にして笑った。

「‥‥‥‥まあ、私もあからさまでしたしね。『親友のの応援団長』キャラに憧れてた自分を否定しませんよ。――あと、は、暖斗くんとの相が良すぎるってデータが、何か後ろめたくて」

「ああ、うん」

「こんな言い方ただの偽善なんですけど、いちこには幸せになってしいんです」

偽善、という言葉にちょっと引っ掛かりはするけれど、それを掘り下げるのは怖い気もする。

心の中でに手を當てる。

「‥‥‥‥僕はまだ中學生で、將來の事とかびっくりするくらい何も考えてなくて。浜さんも含めてだけど、僕が知ってる子みんな、幸せになってほしい。ただ、浜さんを僕が幸せにできるかは今のところ想像が浮かんでこない‥‥‥‥かな。今のところ」

「ふふ。とっても暖斗くんらしい答えだね」

「逆にだけど、桃山さんはどうするの? どんな風に幸せになりたいの?」

そう問うてみた僕。

にっこり笑いの彼の目が、唐突にパッと開いた。

「私? ‥‥‥‥私ですか?」

いつも微笑んでる彼が、その大きな瞳を見せると、大きく印象がかわる。

そうだ。あの店でピンクのリボンを買った時も、こんな瞳で僕を見ていた。

「私だって。幸せになりたいですよ。そりゃ」

はゆっくりと話しだした。大きな目で僕を見つめたまま。

「‥‥そうですね。取りあえずこの『ふれあい験乗艦』を無事終えて、高校試特別評価と大學の奨學金ゲットですね」

「え? 奨學金もらえるの?」

「いえいえ。借りるタイプのです。ラポルト特典で好條件を。で、やっぱり結婚ですよね。子はもう不安しかないですけど」

「ああ、さっき言ってた競爭率とか」

「あれは暖斗くんにいちこが、の話なんですが、う~ん。私もそうです。誰かを好きになっても、その人が私を選んでくれるか、――そもそもその人の視界にれるかってとこから」

は苦笑した。

「‥‥‥‥ごめん。僕は今まで子の大変さとか全然気にしてなくて。麻妃はなんか無敵っぽいし、依と話してやっと子の実に染みてきたよ」

「でしょ? みんな余裕ないんですよ。そんな焦ってるの男子に見かされたら恥ずかしいし、不利だし。表向きはいい子を演じて、なんとか結婚しないと」

「演じてるの?」

「ふふ。どうでしょう? 私も演じてるのかも。意外と學生で、できちゃった婚とかしちゃったりして? ふふ」

「‥‥‥‥!」

急にそんな事言われて、言葉が出ない。どんな顔したらいいのかも。

そして、こんな二人きりで、どうして桃山さんがそんな話題を口にしたのかも。

すべてが謎、びっくりした。

「ごめんなさい。引きました? でも『重婚制度』のおで、子界隈ではこれは『アリ』なのも現実なんですよ‥‥‥‥」

それは僕もちょっとわかる。「重婚制度」が無い僕のひいおじいさんの時代と違って、今は4人まで結婚できるんだ。そういう事で赤ちゃんができたら、男子を授かったかもしれないし、世論的にも清算するなんてダメだよって空気だ。重婚のひと枠は、その妊娠る事になる。なんたって4枠もあるんだから。

「桃山さんは、そういうのからは一番縁遠いと思ってたから‥‥‥‥々キッチリしてるし」

「そっか。私は縁遠いんだ。暖斗くんはそう思ってくれてるんだ。うれしい」

実際そう思う。このお風呂掃除だってそうだし。だいたいラポルトに乗ってる子はみんな自己管理がちゃんとできる子が選抜されてるワケで、そんな「できちゃった」とか、り行き任せの天然は。

‥‥‥‥あ!

「確かにみんなしっかり者よね。逆にしっかりしてないと子供だけの軍艦になんか乗せてもらえないもんね」

桃山さんはそう言っている。確かにそう。確かに。

でも僕はある疑念に思い當ってしまった。

「いやあ、桃山さん。ひとり心配な子がいるよ」

「え!? 誰? 折越さん?」

「いや、折越さんはあんなんで芯はしっかりしてるでしょ? それこそあのキャラを『演じてる』っていうか。それよりも、天然キャラの方が危ないと思うんだ」

「あ、もしかして」

「そう。依だよ」

は飛びのいて、口に手を當てる。

「逢初さん!? 醫療擔當で一番しっかりしてるよ?」

「いやいや。依は『醫療人モード』の時はそうだけど、『素の中2子』だと天然キャラなんだよ。それは醫務室でさんざんわかった。それに」

「それに?」

僕は桃山さんの方にを乗り出した。自然と熱がる。

「このラポルト子の中で、言い寄られて一番防力低そうなのは?」

「‥‥‥‥いや、でも逢初さんだって毅然と‥‥」

「強引に口説かれたら、押し切られそうなのは?」

「‥‥‥‥う~~ん」

「実際、敵兵とかに口説かれてるし。危ういんだよ。あの娘(こ)は」

「‥‥‥‥私からはちょっと‥‥」

も反論を止めた。それすなわち認めたって事。

桃山さん、黙ってからの苦笑い。

そして僕には、言ってしまった事の後悔と、ツン、とをつく甘く切ない覚が殘った。

※「依さんの防力の低さよ‥‥‥‥!」とお嘆きのそこのアナタ!

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

あなたのブックマーク登録、高評価が、私の創作の唯一のモチベです。

お願い致します!!

評価 ☆☆☆☆☆ を ★★★★★ に!!

↓ ↓ このCMの下です ↓↓

Twitterやってます。いぬうと @babyassault

    人が読んでいる<【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、女醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄光のラポルト16」と呼ばれるまで~>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください