《星の家族:シャルダンによるΩ點―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困する外科醫の愉快な日々ー》「神殺し」 Ⅲ

俺はルーとハーを呼び、指示を出した。

「蓮花とターナーに連絡し、「XXX(トリプルX)」の指示書を開けと言え」

「はい。それはどういうものなんですか?」

「俺の最後の命令を実行するためのものだ。コードが書かれている。俺が死んだ後でその指令書のコードを量子コンピューターにれれば、詳細な命令が分かるようになっている」

「タカさん……」

ルーとハーが涙を零しながら、俺の言葉を聞いていた。

最後の指示書を用意していたことは、蓮花にしか話していない。

蓮花はその必要を理解しながらも、最後まで俺に縋りついて泣いていた。

堂宛のメッセージもある。聖や早乙や他の人間宛にもな」

「「はい!」」

「それと、亜紀ちゃんと柳を呼んでくれ」

「「はい!」」

「なるべく早くな。お前たちには直接伝えたいことがあるんだ」

「「は、……」」

「おい、聞こえたか?」

「「はい! 聞こえましたぁー!」」

俺は痛みでし言葉が出なかった。

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痛みには慣れているはずの俺が、耐えがたい程の激痛だった。

かなくなった手足が最も酷いが、臓と思われる痛みと重苦しさも始まっていた。

進行している。

「亜紀ちゃんたちが來たら、聖と堂宛にも言葉がある。お前たちから伝えてくれ」

「「はい! 必ず!」」

俺は亜紀ちゃんたちの到著まで、し休むと言った。

実際には、悶え苦しむ姿をルーとハーに見せたくなかった。

二人が部屋を出ると、麗星と五平所がって來て、俺に鍼灸を施してくれた。

驚くことにし痛みが和らぎ、二人に禮を言った。

流石は道間家だ。

「ハイファにも頼んだのですが、手の施しようが無いと。むしろ「神殺し」の影響をける可能があると申していました。ですので天狼も特別な結界の中にいます」

「それでいい。ああ、楽になった、ありがとう」

「いいえ……こんなことしか出來ずに、本當に申し訳ありません」

そう言って麗星が俺を抱き締めて泣いた。

「おい、影響があるかもしれないんだろう」

「良いのです。あなたさまと一緒であれば、どのような場所にも」

俺は僅かにく右腕で麗星の頭をで、出て行くように言った。

二人は出て行った。

本當にしだが痛みが退いた。

で、子どもたちに最後まで言葉を伝えられそうだ。

有難い。

死ぬことへの恐怖は無かった。

これまで多くの人間や妖魔を殺して來た俺だ。

今更自分が死ぬ番になって、何も言うことはない。

最後に子どもたちに言葉までせそうだ。

それ以上、むことは無い。

俺は目を閉じ、激痛の中へって行った。

もう、それしか出來ることは無かった。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

私とハーは最初に、蓮花さんに連絡した。

明るく電話口に出た蓮花さんに話すのは辛かった。

「蓮花さん。タカさんが「XXX」の指令書を開くように言ってます」

「!」

蓮花さんが電話の向こうで大きく震えたのが分かった。

「蓮花さん! 大丈夫ですか!」

「……」

蓮花さんが言葉も出ない程に驚いていることは分かったが、は持っている。

私たちは、先日のシベリアの戦闘で《ティターン》という神をタカさんが殺したことを伝えた。

そのせいで、「神殺し」の呪いをけてしまったと。

「分かりました」

蓮花さんが、これまで聞いたことの無い冷たい聲で喋った。

「石神様の指示は分かっております。伝え下さい。蓮花は全ての武神を使って、この世界の「業」をすべて滅ぼし、世界も滅ぼしてからお傍に參ると」

「蓮花さん!」

「必ずや石神様の仇を討ちますので、ご安心下さるように」

「蓮花さん!」

「皆様は安全な場所に。石神様の最後の指示書に、それも綴られていることでしょう。短い間のご縁でございましたが、お付き合い下さったことへ最大の謝を。どうぞご壯健に」

唐突に電話が切られた。

恐ろしいことが起きるのが分かったが、とにかくタカさんの指示は伝わった。

同様にアラスカのターナー將にも連絡し、「XXX」の指示書を開くように伝えた。

ターナー將は、蓮花さんとは違って、指令書のことは知らないようだった。

ターナー將には、タカさんの容は伝えなかった。

きっと「XXX」の指示書で、そのことも伝わるのだろう。

私とハーは、相談した。

堂さんと聖のことだ。

でも、聖には今知らせても、と話し合った。

「悲しむだろうね」

「うん、辛いね」

どんなに聖が泣くのかと思った。

あいつはタカさんのために生きている。

でも、全部のことが終わってからの方がいいと思った。

飛んできて暴れるだろうけど、それは私たちが引きけよう。

タカさんの替わりに。

問題は堂さんだった。

「タカさんが死んだら自分も死ぬって言ってたよね」

「「XXX]での指示があるんだろうけど。でも教えてあげたいよね」

「うん。絶対に最期を看取りたいよ」

響子ちゃんや六花ちゃん、栞さんや鷹さんもそうだ。

他にももちろん大勢いる。

でも、タカさんはこの日を期して準備していた。

私たちの知らない所で。

それは悲しいことだったが、やっぱりタカさんの深いじた。

私たちはタカさんの意志に背くことになるが、堂さんには連絡することにした。

電話を掛ける。

堂さん!」

「違う。アザゼルだ」

「え!」

「用件は分かった。堂にはまだ伝えるな。石神様の意志のままにせよ」

「なんで!」

「石神様が死んだら、私はもう一度神と戦おう」

「え?」

「絶対に許さない。今度こそは全てが滅び去ろうと、神を滅ぼす」

「!」

電話が切れた。

いや、電話だったのか分からなくなった。

ハーと話し、やはりタカさんの言う通りにしようということになった。

タカさんに連絡が済んだ報告をしようと、部屋へ向かった。

その時、道間家の人たちが騒ぎ出した。

「襲撃?」

「いや、何も悪い波じないよ!」

私とハーは慌ててタカさんが寢ている部屋へ向かった。

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