《星の家族:シャルダンによるΩ點―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困する外科醫の愉快な日々ー》Harmagedōn 破滅世界幻想
俺は誰もいない都市にいた。
「鷹閃花」を使っていないにも関わらず、空中に浮いていた。
都市を見下ろしている。
人間の姿は見えない。
それもすぐに分かった。
破壊し盡くされているのだ。
高層ビルが倒壊し、多くのビルも崩れ道路はその瓦礫でほとんど埋まっている。
そして大部分が黒く焼け焦げていた。
その慘狀から、恐らくは高熱がこの都市だった場所を覆ったことが伺える。
人間は炭化して崩壊しているのだろう。
ビルの窓であったであろうガラスが溶けてあちこちで鈍くっていた。
「どこだ、ここは……」
俺は呟いた。
ビルが倒壊し、地平線が見えた。
その先も、同じように破壊されているのが分かった。
都市で大規模の破壊があり、その周辺も同じく破壊されたようだ。
俺は上空へ上がった。
「花岡」を使わずとも、俺の意志だけで上昇し、移出來るようだった。
上昇しながら、都市を移して行った。
一部に、破壊がそれほどでもない場所があった。
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近づくと、やはりそこも破壊されていた。
(ここは!)
崩れ切っていない建に覚えがあった。
デュール・ゲリエが多く倒れている。
「ロックハート家か!」
一部に迎撃用の防衛システムが見つかった。
すべて破壊されている。
俺は庭に降り、崩壊しかけた建へった。
「誰かいないのかぁー!」
返事は無かった。
焼け焦げていない部分も多かったが、も無い。
(避難したのだろうか……)
大勢の人間がここにはいたはずだ。
俺はしばらく探し回り、誰も見つけられなかった。
(何があったんだ……)
俺は聖のアパートメントへ向かった。
街は崩壊しているが、まだ道路は殘存しているものもある。
アパートメントはやはり崩壊していた。
セイントPMCへも向かったが、そこも瓦礫になっていた。
輸送機の殘骸が無かったことから、聖が移しただろうことを祈った。
ジャンニーニの家も、スラムも何もかもが無くなっていた。
(ミサイル攻撃ではない。核でもない。一何があった?)
俺は破壊し盡くされた街に立って考えた。
「誰かぁー! 誰かいないかぁー!」
力の限りんだが、返事は無かった。
俺は移しようと思った。
アラスカに行くつもりだった。
「移しない方がいい」
唐突に背後から聲を掛けられた。
俺が気配を察知出來ないはずがない。
「他の都市も同じだ。唯一、日本の一部とアラスカ、それにアフリカの半分が殘った」
振り向くと、そこにアザゼルがいた。
「アザゼルか」
アザゼルは返事をしなかった。
「武神がここに來た。主が「ルシフェル」と呼んでいる機だ。數分でこの都市は崩壊した」
「ロックハート家や聖はどうした!」
「事前に連絡をけていたので、アラスカへ移した」
「そうか」
一安心すると共に、俺は何が起きたのかを悟った。
「俺は死んだのだな」
「そうだ。そして主の命令通りに蓮花が武神を全て発進させた。「業」も死んだ。世界も滅びた」
「そうだったか」
「蓮花は自決した。最初に自分を攻撃させたのだ」
「蓮花が……」
「蓮花は地獄へ墮ちた。これだけのことをしたのだから、仕方が無いな」
「ダメだ! 俺が命じただけだ! 俺の罪だけだ!」
「主の子どもたちも全て死んだ。「業」と戦うために、最終奧義を全員が使った」
アザゼルは、六花が自決し、鷹や麗星が子どもたちと戦場に出て死に、「虎」の軍の多くの戦士が死んだことを告げた。
防衛システムがまだ萬全ではなかった日本も壊滅し、人類は僅かにアラスカへ逃れた人間たちだけが殘った。
ハルマゲドンが起きたのだ。
アザゼルが俺を見ていた。
表がかないアザゼルが、悲しそうな目をしているように見えた。
「また下級の神によって、このようなことが起きた。人間を嫌いな連中だ。過去にも何度もあった」
「なんだと?」
「そしてまたも、人間が自で滅びを招いたかのように見せかけている。どうしようもない連中だ」
「お前は前にも見ているのか」
「そうだ。何度も見た。だから神に戦いを挑んだ」
「……」
「我々は負けて神に命じられるまま、この世界を見ていた。だが、またもや破壊した。再び神に戦いを挑むつもりだった」
アザゼルの言葉に、俺も過去の破壊を知っていることに気付いた。
俺の記憶が何重にも重なった覚があった。
「だが、主はまだ死なない」
「なに?」
「真の奇跡が起きた。上位の神がいた。主のために」
「?」
俺の記憶が混した。
どこかの俺は納得しているようだが、人間の俺はさっぱり分からなかった。
そういう狀態が並行して存在していた。
「この景は、仮に描かれたエスキースのようなものだ。まだ確定はしていないが、在り得べき未來の一つだ。もしも主が確信してしまえば、この未來は本になる」
「なんだと!」
「これも下級神の罠だ。ここ以外の多くの破滅を見させて、主に起きてしまったことだと思わせようとしているのだ」
「俺は死んでいないのか!」
「そうだ。主、そろそろ戻ろう」
「あ、ああ」
アザゼルは俺を上空へった。
大地はどこも赤黒く汚れているのが見えた。
海洋がしく以前の青のままであることが悲しかった。
俺たちは尚も上昇し、やがて地球から遠く離れて行った。
周囲は暗く、星の輝きが増して行った。
もはや上昇している覚は喪われていった。
移しているのかも分からなくなった。
點になっていた地球が、反転して強烈なを放った。
「破滅の世界が消えた。戻るぞ」
アザゼルが言い、俺たちはの點に向かって行った。
に近づくにつれ、俺はが痛み出すのをじた。
耐え難い激痛になっていく。
「あ……ざぜ……る」
俺は必死での異常を訴えようとした。
手がかない。
アザゼルが俺のばし掛けた手を握り、尚も移した。
あまりの痛みに思考が白熱して行った。
俺は意識を喪った。
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