《星の家族:シャルダンによるΩ點―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困する外科醫の愉快な日々ー》blutschwert

9月第2週の金曜日の晩。

今週はオペが立て込んでいて、流石の俺も大分疲れていた。

最終日の金曜日は、一江が気を遣ってくれ、7時には家に帰れた。

亜紀ちゃんと柳が激勵してくれ、食事の用意をし、一緒に風呂にろうとって來た。

別に風呂は一人でいいのだが。

まあ、心配もしていたのだろう。

「オチンチンを診ればタカさんの調が分かりますから!」

「ワハハハハハハ!」

まじか。

俺が鯛のポワレとカニとジャコとナスのみそ炒め、雙子特製「黃金のスープ」(金の皿り)を食べ終え、コーヒーを飲んでいた時。

俺のスマホが鳴った。

相手は柿崎だった。

「どうした?」

「石神さん! すみません! 店で暴れている男たちがいまして」

「なんだ?」

柿崎に任せている歌舞伎町のキャバレーの方だった。

外國人の男二人が暴れ、ケツモチの千萬組の男たちも潰されたそうだ。

警察とも思ったが、長い刀を振るっていて、柿崎は警察でも対応が難しいのではないかと言っていた。

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柿崎も素人ではない。

相手の異常な力をじているのだろう。

「分かった、すぐに向かう」

「え! 石神さんご自ですか!」

「そうだよ。文句あるか?」

「い、いいえ! とんでもございません!」

俺は風呂を呼びに來た亜紀ちゃんと柳に、出掛けると話した。

「えー! 折角準備してましたのにー!」

「じゃあ、一緒に來るか?」

「はい!」

柳も同行すると言った。

ハマーに乗り込む。

走りながら、二人にキャバレーで客の外國人が暴れているのだと伝えた。

「刀を持っているらしい」

「へぇー」

千萬組の男たちがバウンサー(用心棒)を擔っており、実力はそこそこある。

但し、「花岡」の使用は厳にしているので、真の実力を発揮することはない。

命に関わる場合だけだ。

しかし、屈強な男たちに任せているので、それが潰されたとなると、相手は相當な実力者だ。

「刀を持って店したんですかね?」

「そうなんだろうよ。まあ、何かに偽裝してたんだろうな」

「はぁ」

ゴルフバッグか何かだろうと俺は予想していた。

しかし、偽裝してのことであれば、最初から店で暴れるつもりだったということだ。

10分で到著し、俺たちは近くの駐車場にハマーをれて店に向かった。

ドアボーイが俺を見つけて駆け寄って來た。

「狀況は?」

「はい! 今は店のの子を回りに置いて飲んでます」

「隨分と余裕だな。千萬組の連中は?」

「はい。みなさん運び出されて。ちょっと斬られてる方もいますが、みんな素手で気絶させられました」

「ほう」

襲撃とは々異なるようだった。

死人は出ていない。

俺たちは店の中へった。

柿崎や店のスタッフ、たちはり口に集まっていた。

客たちは全員逃がしたそうだ。

柿崎が來て詳しいことを話す。

「開店と同時にって來ました。最初は大人しく飲んでいたんですが、の子がられてんで。注意しに行った店員をぶっ飛ばして、それから大暴れで」

「そうか。千萬組の連中も歯が立たなかったんだな」

「はい。あっという間に。それにどこからか刀を抜き出しまして」

「荷は?」

「無かったはずです。手ぶらで來ましたから」

「おい、しっかりしろ」

「すみません!」

刀はどこから出した?

俺は店の奧にいる男たちの席に向かった。

「お、またバウンサーが來たぞ」

「いや、今度は連れだ! どっちもカワイイぜ!」

ドイツ語のようだった。

一人は長い金髪を後ろで縛っている。

目は青く、典型的なゲルマン系だ。

長は座っているが、恐らく俺と同じくらいある。

痩せている。

もう一人は茶髪で、こっちは脇を剃り上げた短髪。

瞳は緑で顎髭を生やしている。

長は170センチほどだが、橫幅が凄い。

店のが3人、全にされていた。

男たちはりまくっている。

周辺のテーブルとソファが倒され、幾つかのテーブルやソファは斬り裂かれていた。

刀は見えない。

「お前ら、隨分なことをしてくれたな」

俺もドイツ語で話した。

「お前がイシガミか」

「!」

俺の名前を知っている。

「何者だ」

二人の男が立ち上がり、瞬時に刀を手にしていた。

赤黒く輝く刀

今、こいつらはどこから刀を出した?

「「花岡」を使え!」

俺がぶと同時に亜紀ちゃんが飛び出した。

金髪の男を襲う。

俺は茶髪の方を相手にした。

凄まじい剣技だった。

ただ、「虎地獄」を経験した俺には通じない。

石神家の剣士の方が上だ。

俺は斬り掛かる刀に「螺旋花」を撃った。

刀をへし折るつもりだったが、刀が霧散した。

茶髪も驚いている。

俺はそのまま迫って茶髪に「龍牙」をぶち込んだ。

右手の五指から波が放たれ、茶髪のを突き抜けて行く。

が背中にびて行った。

急所はかわした。

亜紀ちゃんは凄まじい金髪の剣を避けながら、「金剛花」を使って捌いて行く。

僅かな隙を衝いて、柳が金髪の橫腹に蹴りをれた。

金髪がぶっ飛ぶ。

柳の蹴りを喰らったからには無事では済まない。

しかし、金髪は苦しそうな顔をしながらも立ち上がった。

亜紀ちゃんと柳が驚いている。

俺の目の前で、茶髪も起き上がる。

口からを流しているのは、肺が何カ所か貫かれたためだ。

形相が変わった。

顔中に皺が寄り、醜悪なものになっていく。

「エリアス!」

金髪がんだ。

エリアスと呼ばれた茶髪が金髪を見る。

「やめろ! 撤退だ!」

「ハインリヒ!」

「お前ら、逃げられると思うのか?」

「イシガミ、やはり強いな。今日はここまでだ」

ハインリヒと呼ばれた金髪が言った瞬間、周囲が真っ暗になった。

電燈が消えた闇ではない。

な、完全な暗黒が突如現われた。

「「「!」」」

気配が遠ざかって行くのが分かった。

俺は闇の中でも戦える。

しかし、ハインリヒとエリアスは逃げて行った。

すぐに元の店に戻り、二人の男は消えていた。

亜紀ちゃんが寄って來た。

「タカさん、なんだったんですかね?」

「さあな」

分かるわけが無い。

「あいつら、許さん」

「はい!」

「俺の店で無銭飲食をしやがった」

「はい?」

俺は柿崎を呼んで、あいつらが飲み食いした分を計算させた。

高い酒は置いていないが、正規の金額で8萬円。

5時開店で「2000円ポッキリ」コースを頼み、テーブルチャージ2萬円との子のサービス料3萬円、コース外の注文(の子のドリンク)が各1萬円の合計3萬円。

その他、テーブルやソファの弁償で20萬円。

の子のおりは?」

「罰金100萬円です」

「3人分だよな?」

「はい! 300萬円です!」

にしたろう」

「その分は規定にありませんが」

「すぐ作れ! 1回1000萬円だぁ!」

「はい!」

33,282,000円

「無銭飲食は一人1億円だったな」

「すぐ作ります!」

2億円追加。

柿崎が事務所ですぐに請求書を作って來た。

絶対に支払わせてやる。

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