《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第90話 演習Ⅱ

ちょっと改稿をしていて、投稿が滯りました。

「狙うの? 本當に?」

僕は艦のシミュレーター室の筐の中にいる。新裝備の実裝に備えて、その設定での実踐演習だ。ノルマは10時間。

「アンタの劒(つるぎ)は強力すぎんのよ? 実戦で背後から斬られるアタシらのにもなってよ!?」

「いえいえ暖斗さん。最初から上手くいく人なんていないし、そのためのシミュですから」

「はあ? ソーラ! またイイ子ぶってからに!」

「ちょっと待って。僕との連攜の前にふたりの連攜が怪しいよ?」

シミュの畫面には僕とコーラ、そしてソーラさんもログインしていた。アマリア港解放戦でのトリオでの戦を本格的にやるための練習だけど、このふたり、ずっとこんな調子だ。

はあ‥‥‥‥。さっきまで風呂場で話していた桃山さんとの練習が懐かしい。彼とは息が合いすぎて怖いくらいだった。

シミュがスタートした。大小の敵Botや他國のDMTが襲いかかってくる。

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前衛のふたりがそれをせき止め、僕が仕留める算段だ。――ただし、雲(ビーム)や回転槍(サリッサ)ではなく、劒(つるぎ)、太くて長い片刃剣でだよ。

ガキィン!

厚で幅広の刀が深い切れ込みを作る。小型Botなんかは一発で撃破判定だ。

ガリガリと削っていくサリッサに慣れていたから、こんな本の剣(あくまでシミュだけど)で戦うのはなかなか慣れない。

「あ~~! 甘いんだっての。キミ、戦場で死にたいの!」

僕を怒鳴ったのはコーラだ。劒での振りぬきが中途半端だった。

「暖斗さん。隔壁縦席(ヒステリコス)は剣一撃では割れません。安心して狙ってください」

ソーラさんがフォローしてくれたけど、どうしても気持ちがらなかった。

だって、有人機、敵DMTと近接した時に、初手、初撃で狙うのは、人間が乗っている縦席なのだから。

そう言えば、今まで戦ったDMTも、アマリアでも、みんなフェイントを織りぜて縦席や、裝甲の無い関節部分とかを狙っていたなあ。大抵盾で防いだけど、そうだった。

そして、DMTを降りた後の僕の剣の師匠は、なんと折越さんだった。構えとか剣の振り方握り方。基礎からを習う。

は古流武と特殊武の使い手。相手の武が剣である事がほとんどなんで、それを想定して稽古しているそう。

「相手のキモチを知りたいの~。だからちなみは剣も修めちゃったぁ」

とは彼の弁。あ、元のボタンわざと外して正対するの、やめてくれ。

ああ、折越さんの回想シーン終わり! 彼はずっと僕に対してこんなスタンスだったけど、毎度毎度だからみんなもういちいちツッコまなくなってた。僕もそう。

「もともとの格的に無理なんじゃないかな~。いきなり民間人に縦席狙えってもできないよ」

「暖斗さん。ヒステリコスは非常に堅牢です。他國のDMTでも絋國の8割くらいの強度は最低あります。だからその「劒」をもってしてもまず割れないんです。そこを狙う事の意味は、『こちらも本気だ』っていう意思表示と、S-HC(シュクルン)R-N以外にもダメージを加えたい、この2點です」

熱心に教えてくれるソーラさんと、生真面目に頷く僕。それを見ていたコーラに、インカムから通信がったようだ。

「コーラさん」

「ん? 子さん? アタシだけの個人通話?」

「そうよ。暖斗くんの事心配してくれてるんでしょ? でも大丈夫。一応私に『策』があるから」

「子さんの『策』かあ。アタシじゃ見當もつかん」

「まあ緩い手なんだけど。暖斗くんは割と低めの條件でバーサーカー化発するから大丈夫よ。當日は必然的に『そういう配置』になるし。今そうやって対人戦の経験値を積んどいてくれれば、ありがたいわ」

「わかった。あの赤ちゃんの稽古はつけとくよ。‥‥‥‥子さんが何言ってんのか全然意味わかんないけど。‥‥‥‥でも子さんが『敵に回しちゃイケナイ系の人』だってのは、覚でわかったよ」

*****

「よっし。子さんの指示通り、アタシと模擬戦やろうぜ」

ひと通り「劒」での練習を終え小休止した後、次のメニューに移った。

シミュの兵裝をサリッサに持ち替え、コーラのテオブロマと対戦する。

「ひめちゃんの機に槍向けるのイヤだなあ」

「ゲームなんだから気にしないの。有人機と戦う練習なんだからね」

コーラが言う通り、僕の対人戦はない。基本無人機の小型Botと戦う事しか想定してなかったし、その訓練しかけていないし。

アマリア港奪還戦の時には僕は砲臺役、3線突撃も対ツヌ前線戦も砲のパワーとサリッサで押し込んだだけだ。

対英雄さん戦と、対ゼノス戦。

強い相手と剣技メインで戦ったのはこのふたりのみ。しかもその剣技ではまったく歯が立たず、「度肝を抜くマジカルカレントの変態技による初見殺し」で辛うじて勝っただけだ。

「悪く思うなよ? 暖斗くん。附屬中3人娘からキミの攻略法教わってるからね。弱點しか攻めないよ?」

「むしろその為のシミュだろ? いいよ。ぶっつけ本番でやられるよりマシだから」

モニタ―に、テオブロマ。コーラ機が映る。丸盾(ホプロン)と長巻裝備だ。

「カウントします。ふたりともいい? 3,2、1‥‥」

審判役のソーラさんが呼びかけて、模擬戦が始まる。

「ふっ!」

(フラッシュ)起(ブート)!

僕の初手は、急速回転させた槍先での刺突だ。「突撃(アサルト)」で180m――1戦闘距離(スタディオン)――を一気にめてサリッサを繰り出す。大型骨格だから、中型の時より倍の距離を跳べる!

コーラ機は長巻を既に抜刀していた。盾を左手甲のハードポイントに移して両手持ちの中段構え。――だけど、持ち方が獨特だ。その長い柄の一番上を右手、一番下を左手で持ってる。

あれで刀が振れるのか?

「長巻 対 サリッサって、こうなんだよ!?」

コーラ機も突撃してきた。両手の間にある特別長い柄の部分で、サリッサ刃部を弾くと槍の柄を長巻の柄で押し上げた。 あ、これって!?

そのまま柄をらせながら迫してくる! ホーカさんと同じ戦法だ!

「ぐッ!」

僕はサリッサに力を込めるけど、時すでに遅し。長巻の柄でサリッサを持ち上げられて何もできない。

「実戦でコレやると長巻一本オシャカだけど! シミュだし!」

長巻は超・長刀。そのまま橫薙ぎの作にられた。

ガギ! バシン!

僕とコーラの機差した。

「やるじゃん?」

長巻が、くるくると回りながら落ちてくる。

僕はサリッサを手放して抜刀。劒でコーラの一撃を太刀して、返す刀でテオブロマの肩裝甲を砕いていた。

‥‥‥‥無意識だった。

「いいきでしたよ。暖斗さん。そうです。『劒』が狙うのは縦席だけじゃなく、弱裝甲にも有用なんです。サリッサと対峙した敵は回転槍の外に間合いを取るか、一気に近接するかの2択です。咄嗟にそれだけけたならスゴイです」

ソーラさんが、懇切丁寧に解説してくれた。

※「剣も出てくるのか。もう最終決戦だけど、遅くね?」と思ったそこのアナタ!!

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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