《星の家族:シャルダンによるΩ點―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困する外科醫の愉快な日々ー》蓮花研究所 安旅行 Ⅱ

「蓮花さん! ちょっとはしゃぎ過ぎですよ!」

出発して間もなく、全員におにぎりが配られた。

蓮花と研究所員たちで作ったものだ。

各バスに積み込まれ、全員が食べる。

蓮花は嬉しそうに頬張り、後部座席の並びに座っていた後鬼に「これは味しいから」と差し出した。

後鬼は禮を言ってけ取り食べた。

悲鳴を上げて涙を零した。

「ね! 味しいでしょう?」

「ワサビじゃないですか!」

「アハハハハハハ!」

ミユキに食べさせてあげると言い、鼻に押し付けたり、前鬼にはオチンチン・ウインナーを口から付き出して食べろと言った。

呆れながらも、嬉しそうな蓮花に、みんなが笑った。

バスガイドがいないと言って、蓮花が自分で前に行ってマイクを持った。

「みなさま! 右をご覧ください。山でございます。左も山でございます! 群馬は山だらけでございます!」

歌を歌い出した。

『銀座の語』だった。

前鬼が呼ばれ、無理矢理デュエットをさせられた。

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歌い終わって、前鬼が頬にキスをされた。

「もう! 著く前に疲れてしまわれますよ!」

「大丈夫! ちゃんと「Ω」の末を持って來ています」

「それは遊びで使うものではありません!」

「オホホホホホホ!」

ジェシカとミユキの二人で何とか宥め、蓮花は後ろのシートで眠った。

「隨分と楽しそうですね」

蓮花の前で二人席を獨占しているシャドウが嬉しそうに笑った。

「でも、ほら。やっぱりお疲れなんですよ。もうグッスリです」

「はい」

蓮花の微笑んでいる寢顔に、みんなが優しい気持ちになった。

バスがDランドの駐車場に著くと、既に石神の子どもたちと六花たちが到著していた。

蓮花が真っ先にバスを降り、丁寧に今日の案を頼んだ。

「大丈夫ですよ。Dランドのスタッフの方々がちゃんと案してくれますから」

「さようでございますか!」

「今日は貸切ですから、みなさんゆっくりと好きなアトラクションを楽しんで下さい」

「はい! それはもう!」

ゲートが開放され、全員が中へって行く。

今日はチケットも何もない。

全員、好きなだけアトラクションを楽しみ、好きなだけ飲食し、好きなだけお土産を持って帰れる。

Dランドのキャラクターたちが出迎えて歓迎してくれた。

こんなサービスはいつもは無い。

「さーて! 何から乗りましょうか!」

蓮花が嬉しそうに笑い、シャドウやミユキたちを連れて移した。

シャドウの姿にキャラクターたちが驚いていた。

「シャドウさん、ダンスも上手いのですよ?」

蓮花が言うと、シャドウが踴る。

軽快なステップに、キャラクターたちが笑った。

「ああ、來ましたね!」

上空から5000のデュール・ゲリエが降下してきた。

いずれも殲滅戦裝備だ。

蓮花の前に整列し、敬禮する。

「それではみなさん! 今日は宜しくお願いします!」

デュール・ゲリエは予め決められている持ち場に散開した。

呆然としているキャラクターたちに、蓮花が投げキッスを送る。

ジェシカやミユキたちは、もう仕方ないと諦めた。

ブランと研究所員の混グループ単位で行する。

それだけが決められたことだった。

あとはアトラクションの順番や飲食、休憩も自由だった。

事前にDランドのアトラクションは研究され、みんなどれがどのようなものなのか知っている。

パレードの時間も知らされ、飲食の容まで全員が把握していた。

蓮花はジェシカ、シャドウ、ミユキ、前鬼、後鬼、そして羅剎が一緒にいる。

「羅剎! 後で勝負しますよ!」

「蓮花さん!」

ジェシカが咎め、みんなで笑った。

「わたくしが新技を教えて差し上げます」

「宜しくお願いします!」

羅剎も嬉しそうに笑った。

他のグループも、楽しそうにアトラクションを選んで進んで行った。

「蓮花さん、最初は何に行きましょうか?」

「スプラッシュ・マウンテン!」

「え! 大丈夫ですか?」

「よゆーです」

「はぁ」

青白い顔になった。

「みなさんで、こういうのは楽しんで來て下さい。私は待ってます」

「蓮花さん!」

とにかく一度休もうと、センターストリート・コーヒーハウスへ行った。

「大丈夫ですか?」

「よゆーです!」

「ウソですよ!」

「オホホホホ」

時間はたっぷりあるので、ゆっくり回ろうとみんなで言った。

「わたくしも、明日から訓練に參加いたします」

「やめてください!」

みんなで笑った。

「前鬼、楽しいですか?」

「はい! とても!」

「ダメです!」

「はい?」

「もっと楽しみなさい!」

「は?」

みんなが笑った。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

「斬よ、もうそろそろ晝飯にしようぜ」

「ふん!」

朝からずっと組み手をやっている。

疲れはそれほどでもないが、流石に5時間もやっていると嫌になる。

石神家も呼んでおけば良かった。

あの人らなら、幾らでも付き合うだろう。

俺は無理矢理終わらせ、中にってシャワーを浴びた。

斬も一緒にって來る。

「お前、著替えは持って來てるのか?」

「ない」

「汗臭いままでいるのかよ!」

「戦場はどこでもそうだ」

「ここは戦場じゃねぇ!」

「ふん!」

「ふんじゃねぇ!」

仕方が無いので先に出て、替えの下著とコンバットスーツを貸した。

皇紀用のが丁度いい。

「これに著替えろ!」

「ふん!」

俺は食堂で待つように言って、手早く晝食を作った。

天ぷらウドンに卵を落とした。

「よう、お待たせ!」

二人で食べ、俺はフルーツを適當にカットして出した。

斬には日本茶を、俺はコーヒーだ。

「お前、用だな」

「ふん! 戦場はどこでもそうだ!」

「ふん!」

斬が味かったと言った。

「お前、脳腫瘍だっけか?」

「違うわ!」

俺は大笑いした。

「なんかよ、士王が生まれてからお前じゃなくなった気がしてよ」

「士王はカワイイな」

「それだよ!」

「なんじゃ!」

「お前、人間のが流れてねぇ奴だったじゃん!」

「何を言う!」

桃が味いと言った。

もうからかうのはやめた。

「お前、これまで何人殺した?」

「覚えておらん」

「そうか、俺もだよ」

「ふん!」

「數は覚えてねぇが、忘れられない奴がいる」

「……」

「俺たちは人殺しのろくでなしだけどよ。大事な人間のことだけ考えてりゃいいんだろうな」

「……」

斬が桃ばかり喰うので、俺に一切れ殘せと言った。

最後の一切れを殘した。

「まあ、お前はそんなに多くは無いだろうけどな」

「そうじゃな」

「栞と士王か」

「そうじゃ」

ねぇな!」

「あとはお前とお前の子どもたちは守ってやろう」

「あ?」

「それだけじゃ」

「ワハハハハハハ!」

晝を食べ終え、斬に「演習ポッド」を案した。

「なんじゃ、これは」

「ブランたちが訓練で使っているものだ。仮想現実で様々な戦いが出來る」

「そんなもの」

「いいから使ってみろよ。俺がセッティングしてやる」

無理矢理服をがせて斬をポッドにれた。

ヘッドマウントディスプレイを裝著する。

「じゃあ、楽しめ。最後はボスキャラだ」

「ふん!」

俺はポッドの蓋を閉じた。

これで3時間のんびり出來る。

俺はいつも蓮花が使っていたであろう、簡易ベッドに橫になった。

まったく疲れるジジィだ。

まあ、斬のための遊園地だ。

楽しんでしい。

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