《星の家族:シャルダンによるΩ點―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困する外科醫の愉快な日々ー》蓮花研究所 安旅行 Ⅳ
晝食を食べてから、蓮花さんたちと六花さんたちと一緒に行した。
蓮花さんと響子ちゃんは休みながら、一緒に私たちがアトラクションを楽しむのを待っていた。
シャドウさんが毎回一緒にいた。
響子ちゃんは蓮花さんとシャドウさんと仲良くなっていた。
シャドウさんの背中に乗ったりして、喜んでいた。
「シャドウさんは、タカトラので大きくなったんだ!」
「そうなのです。幾ら謝しても足りません」
「そっかー!」
シャドウさんのモフモフのお腹が気持ちいのだと、蓮花さんが言った。
響子ちゃんも喜んでお腹にを預けていた。
「レイもモフモフなんだよ?」
「そうなのですか」
「レイ!」
響子ちゃんが何もない空間を呼んだ。
「おお! 大きな虎ですな!」
『!』
みんなで驚いた。
誰にも何も見えない。
シャドウさんに、レイが虎なのだと話していない。
「これは立派な! ああ、そうなのですか! 石神様に縁がある方でしたか!」
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話しているようだった。
「そうなのです! あの方は優しいのですよね!」
「シャドウさんにはレイさんが見えるのですか?」
蓮花さんが聞いた。
「はい。ああ、皆様はこういう存在は見えないのですね?」
「はい」
「なるほど。この方は響子さんを護るために遣わされたそうです。お強い方ですよ。それにお優しい」
「そうですか」
凄い発見だった。
シャドウさんには、私たちが見えないものが見えるようだ。
タカさんののせいなのだろう。
休憩をれながら、夕方まで楽しく回った。
最後の方は、蓮花さんと響子ちゃんはほとんど休んでいた。
六花さんが時々響子ちゃんの様子を見て、熱を測ったりしていた。
「じゃあ、またあの船に乗りましょうか!」
丁度夕暮れになって、船には幻想的な燈が點いていた。
ゆっくりと進む船の中で、みんなで雰囲気を楽しんだ。
6時を回り、そろそろ終わりだ。
しい電飾を施したパレードがあり、みんなが集まって楽しんだ。
最後にみんなで集まって、記念寫真を撮った。
研究所のみなさんがバスに乗り込んで行く。
連関さんはそれを眺めていた。
「前鬼」
「はい!」
「今日は楽しかったですか?」
「はい! とても!」
「それは良かった。石神様に、あなたがここの映像を観て懐かしそうな顔をしていたと伝えしたのです」
「はい?」
「『アナと雪の王』をみんなで観た時ですよ」
「!」
「それを聞いて、石神様が即座に今日の手配をして下さったのです。申し訳なかったと仰りながら」
「なんですと!」
「自分はあなたたちに、何の楽しい思いもさせてやらなかった、済まないことをしていたと」
「石神様!」
「あなたたちはされているのです、あの方に」
「はい!」
傍で聴いていたミユキさんや後鬼さんも驚いていた。
「自分が研究所を守っているから、楽しんで來てしいと。そう仰っていました」
「そうだったんですか……」
蓮花さんが泣き出しそうな前鬼さんの背中をでていた。
「さあ、帰りましょう! 家に帰るまでが遠足ですよ!」
「はい!」
私たちも帰った。
六花さんも響子ちゃんを後ろのシートに寢かせて帰った。
響子ちゃんも今日は楽しかっただろう。
「さーて! 夕飯はどうすっかな!」
みんなで笑って帰った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
また散々、斬に相手をさせられた。
組み手は飽きたので木刀で遣り合ったが、もう斬の剣技はまるで俺に通用しなかった。
仕方が無いので、また組み手に戻った。
「おい、俺はもう両手は使わない。足だけで相手してやる」
「ふん!」
迫って來た斬の顔面にストレートを放つ。
斬がぶっ飛んで、鼻を出した。
「お前ぇ!」
「ふん! 「狩人の言葉を獲が信じるんじゃない」!」
「なんじゃと!」
「『チェーンソーマン』くらい読んどけ!」
「なんじゃぁ!」
6時まで付き合わされた。
本當に、他にやることがねぇのか、このジジィは。
また俺が夕飯を作った。
さっき斬がポッドにっている間にし仕込みをしたので、多はマシな飯になった。
鯛の煮付け。
シソご飯。
ステーキにエリンギとメイクイーンの付け合わせ。
カリフラワーとベーコンのバター炒め。
ほうれん草のおひたし。
アサリの味噌。
90歳の年寄りには重いものだが、斬は別だ。
多分、的には40歳そこそこに戻っている。
顔の皺はどうしようもないが。
そこは自分で化粧水でも付けろ。
食事を終えて、一緒に風呂にった。
「おい、今日は楽しかったか?」
「ふん!」
楽しかったようだ。
顔が笑っている。
言うと怒るので黙っていた。
まったくめんどくさいジジィだ。
9時になり、二人で庭に出て、冷やした紅茶を飲んでいた。
デュール・ゲリエが大勢で戻って來た。
俺の前で整列し、一禮して自分でハンガーに戻って行った。
直掩機以外が先に戻ったらしい。
Dランドの連中はびっくりしただろう。
まあ、その記憶もタマが消しているはずだ。
9時半頃、バスが戻って來た。
正門が開き、次々に敷地にって來る。
先頭のバスから蓮花が降りて來た。
俺に駆け寄って來る。
「おい! 転ぶからゆっくり來い!」
ミユキが笑って並走し、よろけた蓮花を助けた。
「石神様!」
「おう!」
「楽しゅうございました!」
「そうか!」
全員が降りて來て、俺と斬の前に並んだ。
一斉に禮を言い、頭を下げた。
「よし! じゃあ、俺たちは帰るからな!」
「あの、今日はどうぞお泊り下さい」
「いいよ。また來るからな!」
楽しい話があるのだろうが、まあ今日はみんなで話してしい。
斬と研究所を出た。
「おい、今晩はうちへ泊れ」
「冗談じゃねぇ! また早朝からお前の相手をさせられるだろう!」
「ふん!」
斬はそうしてしいようだったが。
「また機會を見て相手をしてやるよ」
「そうか」
「ああ、うちの本家とやるか? あの人たちも鍛錬マニアだからよ」
「いつもで良いぞ」
面白そうだが、きっと俺も巻き込まれそうだと思った。
「まあ、そのうちにな!」
斬が手をばして來た。
「なんだよ?」
握手をしたがるなど、こいつらしくもない。
俺は笑って斬の手を握った。
右の腹に強烈なフックをぶち込まれた。
「ふん! 狩人の言葉を信用するな!」
「このやろう!」
俺は笑って手を離し、上昇した。
「今日は楽しかったぞ!」
「ああ、わしもじゃ!」
大笑いしながら、俺は家へ帰った。
ニジノタビビト ―虹をつくる記憶喪失の旅人と翡翠の渦に巻き込まれた青年―
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