《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第3章 1983年 プラス20 – 始まりから20年後 〜 6 タイムマシンと者(7)

6 タイムマシンと者(7)

――あれ? こんなの……昨日もあったかな?

足元に何か落ちている。見れば革製であろう巾著袋だ。手をばし、真新しい茶い袋を拾い上げる。そして中を覗いて、中を目にした途端だった。

「おーい、どこにいるんだあ~」

突然、そんな聲が聞こえた。もちろん智子のものではまったくない。

――智子に、何かあったのか?

彼は慌てて立ち上がり、マシンから出て階段上から外を眺めた。

「お、こんなところにいやがった。しかしこりゃあいったい、どうなってるんだ?」

聲の主は階段にいて、すでに真ん中辺りに立っていた。剛志との距離も二メートルと離れていない。どちらかが一歩踏み出せば、お互いの拳だって屆くくらいの距離なのだ。

――どうして? あいつがここにいるんだ!?

剛志の腹に乗っていた男……昨日四発も毆ってきたヤツが、再び剛志の目の前に現れていた。

階段下にはあの二人もちゃんといて、昨日のように彼を見上げてニヤニヤ顔を見せている。

そんな認知とほぼ同時、視界の隅に智子の姿が見えたのだ。

まずい! とじた次の瞬間、男が一気に剛志に迫った。足を一歩大きく踏み出し、その勢いのまま両手で剛志を突き飛ばす。不意を突かれて、彼はいとも簡単にマシンの中に吹っ飛んだ。

一瞬、意識が遠のきかける。

頭がガンガン割れるように痛かった。

それでもすぐに、智子を助けなきゃ! そう思ってフラフラしながら立ち上がり、

――うそ、だろ……?

剛志は慌てて振り返るのだ。

――やめてくれ……頼む。勘弁してくれよ……。

誰に言っているのかわからないまま、

――どうして……?

そんな疑問を思うと同時に、

「その後すぐに、キーンって耳鳴りがして、急に気持ちが悪くなったんです……」

そんな智子の言葉を、頭の片隅で思い出していた。

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