《星の家族:シャルダンによるΩ點―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困する外科醫の愉快な日々ー》ロボ集會 その熱い思いを!
しばらく前の集會で決まった。
切っ掛けは、ニャ次郎たち野良の連中から頼まれたことだ。
「にゃー(ロボさん! 自分らを鍛えてもらえませんか?)」
「にゃ(なーに?)」
「にゃにゃう(自分ら、ちょっと弱くて。犬とか悪い人間に負けちゃうし)」
「にゃ(あー)」
「にゃにゃ(それに最近はアイツらも多くなって來たじゃないですか)」
「にゃ(そうだね)」
「にゃにゃー(自分らも、ちょっとはタカトラさんのお役にも立ちたいし)」
「にゃ!(お前! よく言ったぁー!)」
その熱い思いに応え、鍛えることにした。
家ネコの連中もやる気になっている。
外に出れば、ニャ次郎たちと同じ危険があるからだ。
みんな、アイツらを見つけて知らせに來てくれることもある。
でも、私もいつでも出れるわけじゃないし、見張ってる間も危険だ。
それに、しのタカトラのためにって言ってる。
よーし。
次の集會から鍛えることになった。
「にゃー(じゃあ、基本ね。尾を割って)」
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尾を割って見せた。
みんなもやろうとする。
「にゃー(すいません、出來ません!)」
「にゃ?(え?)」
みんな頑張ってる。
でも出來ない。
よく見ると、丸いのがちょこんと乗ってるだけの奴もいる。
しばらくみんなで頑張った。
「にゃぁー(無理かー)」
「にゃう(すみません)」
中野の壊滅が免れたことには、誰も気付いていない。
やる気のある連中は、しでも強くなろうと組み手を始めた。
ネコキックとネコパンチだ。
あれでは柳も吹っ飛ばない。
しばらくは、それでもみんな頑張って「尾割り」をやろうとしていた。
でも、誰も習得出來なかった。
「にゃにゃ(膝丸燈も、最初は「尾割り」だって言ってたんだよなー)」(注:「割り」です)
仕方なく、並行して石神家でやっている「花岡」のきを教えた。
「にゃー!(あー! それ! 時々タカトラさんが庭でやってますよね!)」
「にゃう(そうだよ。石神家ではみんな出來るんだよ)」
「にゃー(へー、そうなんすか)」
「にゃ(ほら、前にニャ次郎がやられた、スーの一族もちょっと出來るんだ)」
「にゃう!(なるほど! だからスズメのくせに強いんですね!)」
それからみんな、一生懸命に覚えようとした。
集會以外でも、毎日練習するようになった。
「きゃー! あのネコ、カワイイきしてるよ!」
「ミミちゃん、最近面白いきするね」
「ニャーコだけがわしの友達じゃ」
石神の近所で、ネコたちがカワイイきをすることが話題になっていった。
テレビ局の取材も來た。
「亜紀ちゃん! これ、うちの近所だぞ!」
「あー! 私も見たことありますよ! こないだうちの庭でヤマトもやってました!」
「ほんとかよ! 俺も見たいなー」
「カワイイんですよ!」
しのタカトラと亜紀が喜んでテレビを観ていた。
でも、誰も「花岡」を習得出來なかった。
あれだけみんな頑張っていたのに。
しのタカトラの雙子の子から手ほどきをけなければならないことを知るのは、ずっと後だ。
他の方法を考えた。
しのタカトラの子、皇紀に頼もう。
ニャ次郎たちの最大の武は牙と爪だ。
だから、強化武を作ってもらおうと思った。
《コンコン》
皇紀の部屋は、必ずノックしなければいけない。
「はーい。ちょっと待っててね」
テレビのスイッチを切る音と、パンツを履く音が聞こえた。
私たちは耳がいい。
「はい、あ、なんだロボ」
「にゃー」
「うん、って」
ちょっとヘンな臭いがした。
私たちは鼻がいい。
「僕に何か用かな?」
勘のいい皇紀がすぐに目的を察してくれた。
右手を出した。
「にゃ(爪の強化武をつくって)」
皇紀がニコニコして私の手を取った。
「アハハハハ! カワイイ!」
「にゃー(そうじゃなくって!)」
もう片方の手もばした。
「アハハハハ!」
皇紀が私の両手を持って立ち上がらせた。
二人で楽しく踴った。
「じゃあまた遊びに來てねー」
「にゃ(楽しかったよー)」
皇紀の部屋を出た。
テッテッテッテ。
しょっちゅうろくでもないものを作っている雙子の部屋へ行った。
いつものように二人とも全だった。
「ロボだー!」
「來い來い!」
「にゃー(ネコ用のモビルスーツつくって)」
「「カワイイー!」」
一杯もみくちゃにされ、でられた。
気持ち良かった。
「じゃーねー」
「またねー」
「にゃ(うん!)」
こうなったら最後の手段だ。
安易な真似はしたくはなかったが、ニャ次郎たちは本気でしのタカトラの役に立ちたいと思っている。
その熱い気持ちに応えたかった。
次の集會で私が言った。
「にゃ(お前たちが本気で強くなろうと思っているのはよく分かった)」
みんな一斉に鳴く。
やっぱりそうなのだ。
「にゃー(強くなれる方法はある)」
「にゃ!(それは何ですか!)」
「にゃう(知りたいか)」
「にゃ!(もちろんです!)」
近くに來たニャ次郎の頭をでた。
「にゃー(でもな、それはお前がお前でなくなってしまうということなんだよ)」
「にゃ!(構いません! タカトラさんのために戦えるのなら!)」
「にゃ(そこまで言ってくれるか)」
「にゃ!(はい! お願いします!)」
ニャ次郎を伏せさせた。
「にゃー(本當にいいんだな?)」
「にゃ!(はい!)」
《ぷす》
爪をニャ次郎の頭に刺した。
「にゃー!(ああ!)」
ニャ次郎にボウノウの髭が生えた。
「にゃ?(あれ?)」
「にゃー!(ロボさん!)」
「にゃ!(ちょっと待って!)」
慌ててやり直した。
角が生えたり、目が三つになったりした。
2時間後、ようやく元に戻った。
「にゃー(ふー)」
他のネコたちを見た。
「他に強くなりたい奴はいるか?」
『……』
いなかった。
ニャ次郎は時速30キロで走れるようになった。
結構速いよ?
【完結】処刑された聖女は死霊となって舞い戻る【書籍化】
完結!!『一言あらすじ』王子に処刑された聖女は気づいたら霊魂になっていたので、聖女の力も使って進化しながら死霊生活を満喫します!まずは人型になって喋りたい。 『ちゃんとしたあらすじ』 「聖女を詐稱し王子を誑かした偽聖女を死刑に処する!!」 元孤児でありながら聖女として王宮で暮らす主人公を疎ましく思った、王子とその愛人の子爵令嬢。 彼らは聖女の立場を奪い、罪をでっち上げて主人公を処刑してしまった。 聖女の結界がなくなり、魔物の侵攻を防ぐ術を失うとは知らずに……。 一方、処刑された聖女は、気が付いたら薄暗い洞窟にいた。 しかし、身體の感覚がない。そう、彼女は淡く光る半透明の球體――ヒトダマになっていた! 魔物の一種であり、霊魂だけの存在になった彼女は、持ち前の能天気さで生き抜いていく。 魔物はレベルを上げ進化條件を満たすと違う種族に進化することができる。 「とりあえず人型になって喋れるようになりたい!」 聖女は生まれ育った孤児院に戻るため、人型を目指すことを決意。 このままでは國が魔物に滅ぼされてしまう。王子や貴族はどうでもいいけど、家族は助けたい。 自分を処刑した王子には報いを、孤児院の家族には救いを與えるため、死霊となった聖女は舞い戻る! 一二三書房サーガフォレストより一、二巻。 コミックは一巻が発売中!
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