《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第91話 発見Ⅰ②
※無事第1部完結までPC力しました。書き溜めが80話(11/21時點)になってしまったので、投稿頻度上げます。
「ドローンじゃなくて、縦技だろ? そういうの聞くとムカつくんだよ」
2人組の男子。たぶんいっこ上の6年生だ。
「お前がライン取りミスっただけじゃね~かよ」
咄嗟にひめちゃんが僕と6年生の間にる。――男子に言い返す事まではできないけど。
「なんだオマエ。文句あんのかよ。コイツの姉ちゃんとかか?」
「‥‥‥‥違います」
「おい、コイツ『咲見ひめ』だよ」
「え? マジ? ‥‥ホントだ。よくSNSで見かけるヤツ」
ひめちゃんの長は6年生よりもまだし高い。ふたりは彼を見上げながらコソコソ話す。ひめちゃんはこの頃、もう地元では名の売れたモデルだったから、SNSに挾み込まれる商店街のCMとかでよく見かける存在だった。ちなみに「咲見ひめ」は、ひめちゃんの本名「姫の沢ゆめ」の蕓名だ。
なんでかわかんないけど、ウチの父親にひめちゃんが直訴して「咲見」の苗字を使う許可をもらってる。
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「‥‥‥‥なんだ。連れで來てんのかよ。うっわ。キモ」
「それであの結果って。ダサすぎんだろ」
ふたりはまだディスりを止めない。
「同級生です。クラスメイトの応援したって‥‥‥‥いいじゃないですか」
たまらずひめちゃんが反論した。いけない。
男子達は、待ってましたと言わんばかりに、矛先をひめちゃんに向けた。「何だよ。のクセに口ごたえすんのかよ?」 「のクセに‥‥」 「のクセに‥‥」
それでも彼は退かなかった。僕を守るように、その場でじっと耐えていて。僕がたまらず前へ出ようとすると、彼の背中とぶつかった。え? ひめちゃん、僕のき見えてるの?
「ハイハイ。何? ケンカはいかんよ」
誰が呼んだのか、係の男の人が來てくれて。小6のふたりは去っていった。
ひめちゃんはうつむいていた。目が真っ赤だ。
「ふ~ん。家でのタイムと全然違うと。このドローン新品だ。‥‥初期不良かも知れない。僕はメーカーの者なんだ。簡易で調べてみるか」
言い訳がましいのはわかってたよ。でも、レースの結果も散々だったし、何よりひめちゃんが絡まれたのに、何も出來なかった僕、自分自に腹が立っていた。
「‥‥そうなんです。‥‥家だともっとパワーがあって。こうやって、『頼むぞ』って、ドローンに僕のキモチを込めるんです。‥‥‥‥こうやって!」
うなだれるひめちゃんを目の隅にれながら、自分の不甲斐なさを思いっきり「右手」に乗っける。
バチン!
一瞬目の前が真っ白になった。――――何? 今の。カメラのストロボみたいな閃は?
「‥‥‥‥君、これ」
係りのオジサンが固まってる。僕のドローンの重力子エンジン出力を測定しながら。
ギイイイイィィィィン!!
思わず耳を塞ぐ。誰も聞いた事も無いような甲高い金屬音が、會場中に響いていた。重力子エンジンの駆音じゃ、ない?
「なんの音?」「聞いた事ないぞ」
周りの人が一斉にこっちを向く。
「まさか! この能力‥‥‥‥ええと。キミ、名前は?」
「咲見、暖斗(はると)です」
「‥‥咲見って、ああ、梅園先生の息子さんじゃあないか」
もうひとり、係のオジサンがそう言いながら現れた。軍服を著ている。
「そうです。父親姓は梅園です」
「私は海軍の者だ。大會は殘念だったね。でもそれは、君に眠る素晴らしい才能の所為かもしれないよ。家で練習すればするほど、この大會では覚が狂うだろうね」
「そう、そうなんです。大會に來たら急にパワーが落ちちゃって。曲がるにも今までのコツが全部使えなくなって‥‥‥‥」
「恐らくそれは、君に與えられた『特別』だ。家に帰って、お父さんとよくお話してほしい」
不思議な覚だった。今まで僕が「當たり前」にやってた事が、他の人にはどうやら不可能らしい。それは思いかけない「発見」だった。
大人ふたりは、出力計を見ながら、しきりに何かしゃべっていて。
そして。
「やはり。稀有な才能。――――発見だ!」
そう言って大人達は去っていった。
*****
ドローンレース會場を、先ほどの小學6年生が歩いている。
「なんだよアイツ。咲見ひめの事、ひめちゃんとか呼びやがって」
「でも本だよ。可かったな」
「‥‥‥‥泣きべそかいても可いとか‥‥‥‥」
先ほど、暖斗とゆめに絡んだふたりだ。「ドローンレース準決勝」の待機ブースにっていく。
「そうだな。アイツ泣き出す直前だったな」
「今度會ったらまた泣かしてやろ~ぜ」
「でも咲見ゆめって、レースに興味あんのかな?」
「レースで勝ったらもっかい顔見にいくか。あの予選落ちよりは俺達の方が」
そんな事を言い始めた。
「ちょっと~。お兄さん方」
そのふたり組の前に、ひとりのが現れる。
「んん? なんだお前」
「‥‥‥‥待て。この子もまあまあカワイイぞ。ボーイッシュだけど」
の出で立ちは、赤い野球帽、Tシャツにジーンズ生地のショートパンツだ。
「‥‥‥‥さっきのふたりはウチのツレなんだよね。お兄さん方も準決勝出るんでしょ? このオトシマエはそこで取らしてもらうからね」
年ふたりはの持つドローンに驚く。
「は? 何言ってんの? 準決勝出んのかよ」
「いやコイツのドローン。舊式だぜ」
の持つドローンには、流線形の重力子エンジン蔵型にはない大きな特徴があった。長さは15センチ程の蛍燈くらいの太さの充電池が4本、本から突き出ている。2本ずつ束になって、灰のビニールテープで雑にグルグル巻きにされてあった。
「レースで今どき外部充電式はね~だろ!? 舐めてんのか」
「重さは? 空力は? さっきのヤツのよりヒデ~ぜ。よく予選通ったな‥‥」
は男子に一切怯まない。
「あはは。お兄さん方。市の大會程度ならこれで十分なんだよね。優勝するとスポンサー様がついて、ウチに最新機種をくれるそうだから。ノープロブレム!」
「は? ‥‥‥‥噓だろ。あんな機に周回遅れって」
「‥‥‥‥舐めプかよ‥‥‥‥弾かれてコースアウトされた」
大會はそのの圧勝で終わった。主催者様のひと言。
「この、新たな才能。――――発見だ」
*****
僕とひめちゃんはさっきの公園に戻っていた。
「うっ うっ うぇっ ひっく」
人気が無くなった所で、彼は泣き出した。すすり泣きだ。
僕は、今日、何もできなかった。思わず肩と肘にれた。
「‥‥‥‥ごめん。ひめちゃん」
「‥‥‥‥あ゛、あ゛やまら‥‥‥‥だいで」
ひめちゃんのは僕の手の中で赤ちゃんのように、押しても引いても無抵抗だった。
「‥‥‥‥いや、ごめん。‥‥‥‥次、そう次だ。もしこんな事があったら、の子泣かすヤツがいたら、必ず僕も參戦する。相手が誰でも、だ」
「む、無理しちゃダメよ‥‥‥‥」
泣いてるひめちゃんが僕より小さくじられた。
それも「発見」だった。
※ スミマセン。最終決戦はもうすぐなんですが‥‥汗
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