《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第2部 第15話 発見Ⅱ さっき見た懐かしい夢の続きだよ①

「けろけろ。んぐまもねね」

ケラケラ笑いながらぬっくんもやり返してきた。周りの生暖かい視線も気にならないくらい、私も笑った。

「あ~。コレ解説したほうがいいか。姫様と春(やよい)さんに」

と、まきっちが、固まるふたりを見ながら気を使ってくれた。

「えっとぬっくんがね。ハマったお笑いコンビがいたんだよ。小4? 小5かな。その時の一発ギャグがこれ。――で、ぬっくんと仲良くなりたいひめっちが死に狂いでこのギャグを完コピして、鋼の意思で毎朝の挨拶でぬっくんに繰り出していたんだよ。當時」

「‥‥ちょっと! 言い方に悪意!」

「ぬっくんにだけは。そう。世界でただひとりぬっくんにだけは、このギャグはツボだったんで、ひめっちはやり続けた。同級生の前でも、校長先生の前でも。毎日だゼ☆」

ああやっぱり。姫様と春さんにドン引きされた。「ま、まあ、あちらの世界の事はよく存じないので」「‥‥そうですね。姫様」だって。

そうしたらぬっくんから質問。「涙のあとがあるけどどうしたの?」って。

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うぎゃ! 鏡でチェックしたのに見落としてた!? うそ!

私は「ドローンレース大會」の思い出話を夢で見た事をみんなに話した。

「そういえば僕も、『ふれあい験乗艦』の時にその時の夢を見たよ。確か、ガンジス島の最終決戦の‥‥‥‥ちょっと前くらいだったかなあ」

う~ん。「ふれあい験乗艦」。その単語を聞くと私のトラウマがよみがえる。どうしてもね‥‥‥‥。

「ああ、言わないで。事務所が回しまでしておいて『特別枠』で落ちたんだから!」

頭を抱える私。

「春(やよい)。その件。ちゃんと姫の沢さんにお詫びしたかしら?」

突然、食を置いて居住まいを正したエイリア姫様から厳しい口調。咄嗟に春さんは跪ずく。

「は。一応事実関係は‥‥‥‥」

「十分な謝罪はまだのようですね。彼の様子を見ればわかります」

「は。申し訳‥‥」

謝る春さんを手で制してちゃぶ臺から離れて、姫様が私の前に來て正座する。

「申し訳ございませんでした。姫の沢ゆめさん」

指先の揃った手を丁寧について、頭を下げられた。――とっても優雅な所作に、私は見とれてしまった。

「え、いえ。‥‥‥‥もう過ぎた事ですし。春さんに大の事は聞きましたし」

「いいえ。ちゃんとしたご説明もまだでしょう。わたしは、この國の王族なのですが、敵に追われ、やむなく神のみをあなた達の世界、わたしと伝子的に同一人である逢初依さんのに飛ばしました。折しも依さんは、『ふれあい験乗艦』というイベントに參加すべく、日々研鑽をしているところでした」

「あ、ウチは初耳」

「僕もだよ。ひめちゃんがどうしたの?」

ぬっくんと、まきっちも、初めて聞くリアクションだ。

「そこで、わたしの腹心であるこの春が、わたしの護衛をすべく、あちらの世界へと渡っていったのです。春の固有スキルは【催眠】。その能力でゼノス王子に制約をかける事ができました。今後、因果律が変わって、わたし達を取り巻く狀況も変わっていく事でしょう。その點は僥倖でした」

私も見た。【催眠】。魔法の攻防に隙があると、相手にかけられるんだよね。一撃必殺、一発逆転、主人公的なスキルだよ。

「ですが、‥‥大変勝手な言説なのですが、‥‥依さんが『ふれあい験乗艦』に選抜される事が確定していて、その旅先でのわたし、つまり依さんの警護に空白が生まれる事が判明しました。‥‥當時、この春もあちらに転移したばかりで‥‥選択肢も時間もありませんでした。その、【催眠】をもって、周防中學への転、唯一の乗艦手段だった『推薦枠』の乗っ取りを行いました」

エイリア姫は、もう一回改めて、私に深々と謝罪をした。

私も、もちろん平気じゃあないよ。あんなに長くぬっくんと旅ができたら、んな思い出が作れたし、ラポルト16のみんなが羨ましく見える時もあったよ。

でも、春さんと旅をして、このエイリア姫の置かれてる狀況とかを聞いたら、ああ、この人達も必死なんだなあって思えてきてしまった。

ぬっくんと依さんとの事も、もうしょうがないと割り切ってる。あの『験乗艦』の日々が無かったとしても、ふたりはクラスメイトだったんだから、いずれくっついたんじゃないかな。

それを言うなら、1年以上ぬっくんから逃げていた私が、どれだけぬっくんと仲良くなるチャンスを逃していたことか。

依さん、暖斗さん、麻妃さんにも。この通り、お詫び申し上げます」

「いえいえ。僕らは」

「まあ、過ぎた事だしねえ。ウチは気にしてないよ。依を守ってくれた的な部分もあったし」

エイリア姫も春さんも申し訳なさそうだ。

「先ほど因果律、と申し上げましたが、ゼノス王子との因縁。あのハシリュー村で、依さんがゼノス王子、――あちらではツヌ國の報將校でしたね。彼と出逢ってしまったのはエンカウントです。わたしの因果です。依さんの中に、わたしの神があったから、応してゼノス王子のいるあの家に近づいてしまいました」

まきっちから聞いた、依さんの「難」。

カラダの相ピッタシの細マッチョ長イケメン軍人に捕まって、神的にいじめられて、防力の低いキャミだったのもさんざんいじられたとか、々危なかった件。

「今度、依さんが『浮上』してきたら、ご本人に聞いてみて下さい。彼なら今でも詳細に憶えていますよね? 『超記憶』ですから。『何かに突きかされたように』家にってしまった筈、彼の意思では無かった筈です」

そこへ春さんが。

「でも誤解はしないでください。私達は、依さんの無事な未來を把握していました。ゼノス王子に捕まった時のフォロー、彼への援護も含めて。その邂逅から結末までがワンセットで起こった事、そういう事例とお考えいただければ。それにあの紘國という國自に起こった難。私と姫様が、あの期間、あの艦に乗っていた事で、好転した未來も幾ばくかはあるのです。病院の‥‥‥‥」

それまでを伏せていた彼が、堪らず、というじで會話にってきた。姫様が一方的に悪になるのを心配してるみたい。「あ~そういえば、だったねえ」とぬっくんが呑気な聲を出す。

でも、エイリア姫はまた手で春さんを制した。この辺は本當に主従関係なんだなあ、ってじよね。

「春。止めなさい。過ぎ去った選択肢と未來の事は、この方々からしたら、存知しえない事、いわゆる『たられば』の世界のお話です。――わたしが部にいた事で、依さんのと心が窮地になったのは事実。許すかどうかはこの方々次第。――いえ。わたしは元々許されようなどとは考えておりません。私達が姫の沢さんにした事に関してもです」

エイリア姫は、本當に申し訳なさそうだった。でも安心して。私も、私の馴染達も、「小屋敷小トリオ」はちゃんとわかってるよ。あなた達も大変で、止むをえない狀況で最善を盡くしてくれていたって。

「その辺は『アイゾメ・レポート』にも書いてあったよな」

「‥‥‥‥でも結局無事だったし、何かあっても僕が助けていくから、まあ結果オーライ、という事に」

ほらね! さすがにぬっくんはちょっと複雑な表だったけど、何か頼もしいけ答えだったよ。特に、『依に何かあっても僕が助ける』が現在進行形なのが。

「‥‥‥‥暖かいお言葉、痛みります。今後、わたしのが見つかり次第、依さんのこのはお返しします。それまでは、わたしが依さんの神を保護する形になりますが、それでしでも恩返しになればと思います」

エイリア姫と春さんは、私達に再度頭を下げていた。

※「ふ~ん。まあ姫様がそんなじだろうとは想像してたけどな」というそこのアナタ!!

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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