《【書籍化】男不信の元令嬢は、好殿下を助けることにした。(本編完結・番外編更新中)》〈番外編〉騎士カーティスの波萬丈な二日間⑨
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします。(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)ペコリ♡...*゜
屋敷に到著してから數十分後。
ノアとカーティスは、再び馬に乗って屋敷の外門の前に立っていた。
「気を付けてね。ノアちゃん。クレアさんに會ったらよろしく伝えてね」
「ん。任せて。行ってくる」
見送りに出てきてくれたコンスタンスとフィリップに、馬上から、ひらひらと手を振るノア。
笑顔で手を振る二人に黙禮し、馬を走らせ始めるカーティス。
そして、思った。とてもじの良い二人だったな。と。
コンスタンスのフィリップに対する信頼合と、互いに向ける優しい目から察するに、二人は人同士なのだろう。
あの二人が継ぐのであれば、あの家は安泰に違いない。
(仲の良い領主夫婦ほど土地を発展させるものはないからな。今でもかだが、今後あの地はもっともっと発展するのだろうな)
なんだかいいを見た気がするな。と暖かい気持ちになるカーティス。
と、その時。
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ぐううう。と、背後で小さな音が鳴った。
(あれ? これってもしかしてノアちゃんのお腹の音?)
カーティスが控えめに尋ねた。
「ノアさん。もしかしてお腹空きましたか?」
「ん……。お茶飲んだら、お腹空いた」
切なそうな聲を出すノア。
カーティスは頬を緩めた。素直にお腹が鳴るところも可らしい。
ちょうどもらったばかりの味しそうなお菓子がある。
出発したばかりではあるが、休憩がてらお茶にしよう。
「何か食べた方が良さそうですね。先ほど頂いたお菓子を出しましょうか」
「頂いたお菓子って?」
「コンスタンス様から頂いた、お屋敷の料理長が作ってくれたお菓子です」
はて。と、首を傾げるノア。
「カーチンが持ってきているのは?」
「え?」
「カーチン、甘いもの好きじゃないけど、甘い匂いがする」
カーティスは軽く目を見開いた。
(もしかして、サンドイッチに気が付いてたのか?)
だが、殘念ながらサンドイッチはお菓子には及ばない。
ノアにはより味しいを食べてもらいたい。
「はい。実はサンドイッチを持ってきてはおりますが、これは騎士団の食堂で作ってもらったもので、頂いたお菓子には敵わないかと……」
カーティスの言葉に、ノアがきっぱりと言い切った。
「師匠が言ってた。こういうのは気持ちって。甘いが嫌いなカーチンが甘い匂いがするってことは、それは私のため。私はそれを食べる」
カーティスはに打ち震えた。
(俺が持ってきたの、食べてくれるの⁉ めちゃくちゃ嬉しい!)
いそいそと荷の中からサンドイッチの包みを取り出し、これです。と、肩先に持ち上げると、ノアがクンクンと匂いをかいだ。
「ん。木苺のにおい。好き」
「それは良かったです。馬上では食べにくいでしょうから、一旦馬を降りましょう」
「ん。それには及ばない」
カーティスの肩に置いた手に力を込めるノア。
次の瞬間、彼はその肩を軸に前転。スポッと手綱を持つ彼の腕の中に収まった。
(……!)
思わず息を飲むカーティス。まさかの狀況にがこわばる。
ノアは差し出されたように直した彼の手からサンドイッチの包みを取った。
「ここなら揺れても大丈夫。ここで食べる」
石像のように固まっているカーティスの腕の中で、包みを開けて一口食べるノア。
もぐもぐと味わうように咀嚼した後、カーティスを見上げた。
「ありがと。おいしい」
くうう。と、天を仰ぐカーティス。
ノアが不思議そうな顔をした。
「ん? どうしたの?」
「い、いえ。その。したと申しますか。々と慨深いと申しますか」
ふうん。と、首を傾げると、サンドイッチをもぐもぐ食べるノア。
その可らしい様を見ながら、カーティスが思い出すのは昔のこと。
會ったばかりの頃は、挨拶してもギロリと睨まれ、話しかけても無視される勢いだった。
ずっと片思いで、でも諦めずに挨拶を続け。
今はこうやって自分を気遣い、あまつさえ腕の中でサンドイッチまで食べてくれる。
なんという進歩。何という幸福!
この日。
カーティスがずっと幸福そうな顔をしていたのは言うまでもない。
*
馬で走ること數時間。
空が薔薇に染まり始めた夕方。
カーティスとノアは、丘の上から城壁に囲まれたリリムの街をながめていた。
「あれがリリムの街です」
「ん。やっと到著」
ホッとしたように頷く、今やすっかりカーティスの腕の間がお気にりポジションになったノアが、カーティスを見上げた。
「疲れた?」
自分も疲れているだろうに、ノアちゃんは優しいなあ。と思いながら、カーティスは微笑んだ。
「いえ。私は大丈夫です。騎士は遠征が多いですから、旅には慣れております」
ノアが「ふうん」という顔をする。
二人は、クレアを探すべくリリムの街へと向かった。
昨日し告知させて頂きましたが、
本作の書籍版がとうとうAmazonで予約開始されました!
全の1/4にあたる3萬字ほどの加筆を加えておりまして、書籍限定書き下ろしに加えて、下記容が追加されています。
・ラームの過去
・ジルベルトの暗躍
・ジュレミの魔の店と、ノアとジュレミのおしごと
・追い詰められる王妃
・実は意外と腹黒い、ジルベルトの妹ローズ
などなど
辺境伯領に向かうクレアとジルベルトの旅の様子の書き下ろしも含め、クレアとジルベルトのシーンはかなり加筆しております♡
加えて、鳥飼やすゆき様のイラストが! 素晴らしい! 出來でして!
出來上がった絵を見て、しばらく呆けてしまいました。
もともと「指が選んだ婚約者」のイラストを見て「いいな」と思ってお願いさせて頂いたのですが、想像以上のすばらしさに憤死寸前です。
特に、ジルベルトが超かっこいい!
そして、ノアが超絶可い……。
もう、この二人だけでご飯10杯はいけそうな勢いです。
是非お手にとって頂けると嬉しいです! (♡ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~
舊タイトル:「え? 僕の部下がなにかやっちゃいました?」ハズレギフトだと実家を追放されたので、自由に辺境開拓していたら……伝説の村が出來ていた~父上、あなたが尻尾を巻いて逃げ帰った“剣聖”はただの村人ですよ? 【簡単なあらすじ】『ハズレギフト持ちと追放された少年が、”これは修行なんだ!”と勘違いして、最強ギフトで父の妨害を返り討ちにしながら領地を発展させていくお話』 【丁寧なあらすじ】 「メルキス、お前のようなハズレギフト持ちは我が一族に不要だ!」 15歳になると誰もが”ギフト”を授かる世界。 ロードベルグ伯爵家の長男であるメルキスは、神童と呼ばれていた。 しかし、メルキスが授かったのは【根源魔法】という誰も聞いたことのないギフト。 「よくもハズレギフトを授かりよって! お前は追放だ! 辺境の村の領地をくれてやるから、そこに引きこもっておれ」 こうしてメルキスは辺境の村へと追放された。 そして、そこで國の第4王女が強力なモンスターに襲われている場面に遭遇。 覚悟を決めてモンスターに立ち向かったとき、メルキスは【根源魔法】の真の力に覚醒する。【根源魔法】は、見たことのある魔法を、威力を爆発的に上げつつコピーすることができる最強のギフトだった。 【根源魔法】の力で、メルキスはモンスターを跡形もなく消し飛ばす。 「偉大な父上が、僕の【根源魔法】の力を見抜けなかったのはおかしい……そうか、父上は僕を1人前にするために僕を追放したんだ。これは試練なんだ!」 こうしてメルキスの勘違い領地経営が始まった。 一方、ロードベルグ伯爵家では「伯爵家が王家に気に入られていたのは、第四王女がメルキスに惚れていたから」という衝撃の事実が明らかになる。 「メルキスを連れ戻せなければ取りつぶす」と宣告された伯爵家は、メルキスの村を潰してメルキスを連れ戻そうと、様々な魔法を扱う刺客や超強力なモンスターを送り込む。 だが、「これも父上からの試練なんだな」と勘違いしたメルキスは片っ端から刺客を返り討ちにし、魔法をコピー。そして、その力で村をさらに発展させていくのだった。 こうしてロードベルグ伯爵家は破滅の道を、メルキスは栄光の道を歩んでいく……。 ※この作品は他サイト様でも掲載しております
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