《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》364話
気を利かせてくれた食事係が急いで片付けてくれているテーブルのところに座ると、アリアたちも順に席についていった。
イーラは訓練にはほとんど參加していなかったから、飯が終わったところで膝の上から一度降ろしたんだが、またオギャオギャ泣き始めて鬱陶しかったから、諦めて今も膝の上に乗せている。
テンコも食堂に殘りはしたが會議に參加する気はないらしく、狐形態で俺の膝の上のイーラの膝の上に乗って丸まった。
さすがに食事係が片付け終わる前に話し始めたら片付けづらいだろうからと暇つぶしにテンコの背中をでていたら、なぜかイーラがテンコの尾を摑んで引っ張りながら顔を上げて俺を見上げてきた。
…………。
……なんだよ。
無言で見上げ続ける意味もわからんし、その間ずっとテンコの尾をみょんみょんと引っ張っているのもわけわからん。いや、尾を引っ張りたくなる気持ちはわからなくはないか。
前に獣人の尾にることについて聞いたときにをられるじといわれてからは諦めていたんだが、イーラに尾を引っ張られているテンコは気にしていなさそうだから、4本あるのイーラが握っていない尾を摑んでみた。
見た目通りふわふわとしたの塊のような尾はり心地がかなり良く、ただ握るだけでも癒される。
し手をらせればらかいがサラサラと手のひらをでる。
もう一度尾を握り、引きちぎらないように気をつけながらかるく引っ張ってみた。だが、実際に尾がびるわけではないからか、これは思ったほど楽しくはなかった。
まぁ興味は満たされたからいいけど。
テーブルの上の食類が全て片付けられ、食事係がテーブルを拭きに來たから邪魔しないように椅子ごとし下がったところで、イーラが俺の目の前にいる食事係をガン見していることに気づいた。
もしかしてこの子が無言の圧力で俺を退かしたように見えて怒ってんのか?いや、さすがにねぇか。たぶん獣人族が食事係をやってるのが珍しいからなんとなく見ているとかだろう。
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獣人族はほとんどが門番とか村の周囲の見回りとかをやってるイメージだからな。
それにしてもすごいボリュームの髪のだな。よく見ると頭に巻きツノっぽいのがあるし、羊タイプの獣人か?というか、獣人にもツノを持ってる種族もいるんだな。
ふと視線をじて下を見ると、イーラがまた見上げていた。どうやらイーラは獣人族の子を睨んでいたわけではなかったみたいだな。
「ねぇリキ様。やっぱりリキ様もり心地がいい方がいいの?」
いきなりなんだ?
というか、もう赤ちゃんごっこはやめたのか?
「何についていってんのかはわからんが、そりゃあるならり心地がいい方がいいんじゃねぇか?」
「わかった。」
何がわかったんだ?と思ったら、イーラがサイズはそのままで目の前の獣人の子のような髪型になった。髪のボリュームがありすぎて真上からじゃほとんど髪しかわからんが、巻きツノまで再現してるし、このじだと全的にこの子に似せたんだろう。まぁ巻きツノの形が微妙に違うっぽいし、髪の質も目の前の子よりさらに羊っぽくなってるから完全一致ではないみたいだが。
でもなんでこの子に似せたんだ?
たしかにちょっとり心地が気になる質ではあるが、俺は一度も羊タイプのに興味を示した姿を見せたことはないと思うんだが。
「何してんだ?」
「バブー!!」
今日のイーラは本當に何がしたいんだよ。
まぁ今の話の流れと後頭部を俺の腹に押しつけてくる行からでろって意味なのはなんとなくわかるが、普通にいえばいいだろうがよ。面倒くせぇな。
というかツノがあるんだから首を振りながらグリグリと押しつけてくんじゃねぇよ。イーラのパワーだと地味に痛い。
仕方なしにイーラの頭に手を置いたんだが、なんだこれ!?
すっごいモフモフしていて溫かい。
テンコののり心地とは違うし、昔著たことのあるウールとも違う。ただボサボサなだけかと思った髪のの異様な膨らみは程よく空気を含んでいるだけのようで、手りはらかくらかだ。
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夏とかだと暑苦しいかもしれないが、今みたいな寒い時期だと悪くないな。ケモナーとかいう異常癖者の気持ちが一部わからなくもないかもしれん。
しばらくイーラの髪のをでていたんだが、いつになったらテーブルを拭き終えるんだ?と目の前の獣人の子を見たら目が合った。
……なんで顔を赤らめてこっちを見てるんだ?0歳児の頭をでてるだけで変なことをしてはいないと思うんだが。まぁ、イーラが0歳児のサイズになってること自が変なことではあるけども。
「あ、あの!きょ、興味があるのでしたらどうぞ!」
獣人の子がさらに顔を赤くして頭を突き出してきた。
……は?意味がわからん。
こいつは何を思ってそんなことをいったのかがわからなくて周りを見てみたら、既に他の食事係がお茶の用意まで終わらせているようだ。つまりこいつがずっと俺の前にいたせいで話し合いが始められない狀態だったわけか。まぁ俺がイーラの髪のを堪能していたせいもあるにはあるだろうが、この空気は俺のせいではないだろう。
俺がマイペースなのはいつものことだから、俺のせいで予定が遅れるのは周りも慣れているし、そもそも話し合いは急ぐ必要もないからな。
だが、俺以外のやつにわけわからないことで待たされてるのは気に食わないのか、アリアたちの一部が不機嫌な空気を発しているんだが、こいつはこの空気がわからないのか?それともわかっててやってるのか?
「か、髪は毎日洗って、手れも出來るだけしているので、汚くないです!」
……ん?
もしかしてイーラが勝手に変したのを俺が命令して変させたと思ってるのか?そんで本人の代わりをさせて我慢してるとでも思ったのか?だからこの空気でも俺が求めているなら応えなきゃならないと思って勇気を振り絞ったとか?
いや、俺をなんだと思ってるんだよ。そこまで羊に飢えてねぇし、そもそも本當にりたかったらそんな遠回りな要求をしないで直接いうわ。
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だが、これでお前の勘違いだっていったらこの空気の責任が全部こいつに向かうんだろうな。まぁ間違ってはいないが、さすがに可哀想か。もしかしたら前の主人がそういうやつだったから俺の行がそうとしか思えなかったって可能もあるからな。こいつがもともと奴隷だったのかは知らんけど。
突き出された頭を軽くでながら持ち上げ、目線を合わせた。
數回でたはイーラの髪のとはだいぶ違うだった。
イーラのより細いのか、それともクセが弱いのか、見た目のボリュームほどのモフモフはなく、意外とサラッとした手りで、手が髪のに抵抗なく沈み込んだ。
イーラが羊系の獣人を食べた記憶はないし、吸収したことある魔で代用したからし違うとかなのかもな。
「ありがとな。たしかにり心地の気になる髪のだとは思ったが、イーラが真似したのは俺の命令じゃねぇから気にすんな。気を使わせちまってすまん。気持ちだけもらっておくから、仕事に戻っていいぞ。」
「あ、はい!ごめんなさい!失禮します!」
獣人の子が慌ててその場を去ったことで空気が和らいだから、やっぱりこのせいだったのだろう。実際はイーラが余計なことをしたせいだが、まぁいい。
話し合いを始めるために椅子を定位置に戻し、目の前のアリアに目を向けた。
「それじゃあ午前中の訓練についてみんなの意見を聞かせてくれ。今回は1人ずつけ持ってもらったから、擔當したやつがどんなじだったかを聞かせてほしい。まずはアリアからいいか?」
「…はい。ヨコヤマカナデさんですが、理で攻撃を加えることにもけることにも忌避があるように思いました。そのため、今の狀態が続く場合は前衛や中衛は難しいかもしれません。魔法であれば攻撃するのに躊躇したのは最初の一度だけで、けることについては全く怯んだ様子がありませんでした。なので、後衛で魔導師や巫…ではなく神などが適しているかと思いました。ヨコヤマカナデさんはリキ様と同じくSPで取得できる魔法の種類が多いようでしたので、詠唱を覚える必要もないため、後衛であれば位置取りを覚えるだけで即戦力となります。あと、理攻撃はするのもされるのも忌避があるように見えたのですが、実際に攻撃をけても怯むのは攻撃をけるまでだけで、痛みやを流すことは慣れているようにじたので、前衛や中衛が向いていないと斷言することも出來ませんでした。今回の訓練では一通り試すために広く淺い訓練容となってしまっているため判斷が難しいです。武の扱いは慣れていないようでしたので、初めのうちは前衛なら斧か槌か棒、中衛なら剣と小盾と魔法、後衛なら杖に魔法がいいかと思います。」
思った以上にしっかり返ってきたな。
橫山はまだほとんど何も出來ない狀態だろうから、もっとフワッとした評価が返ってくると思っていただけに驚いた。
まぁ日本じゃ蟲以外の生きを殺すことも自が殺されることも普通はないから、忌避があるのは當たり前だわな。俺みたいにわりとすぐにこの世界に適応できる方が現代日本人としては異常だろうし。ただ、普通の日本人は痛みや流にも忌避があるはずなんだが…まぁいい。
「聞いたじだと俺も後衛が向いてると思うが、カリンパーティーは既に後衛が2人いるから3人になっちまうし、バランス悪くねぇか?」
「…他の人の訓練をし見ましたが、カリンさんとラスケルさんとパトラさんは複數の役割をこなせるようなので、ヨコヤマカナデさんがどのジョブになっても戦力になるかと思います。」
「たしかにラスケルとパトラは前衛も中衛も出來そうだが、カリンが支援以外を出來るのか?」
「…はい。カリンさんはリキ様にいわれた通り、終わりといわれるまで休みなくヴェルさんと接近戦を行っていました。ヴェルさんが手加減していたとはいえ、杖と支援・回復魔法だけで休憩を挾まずけ続けられるのであれば、あのパーティーならどの役割でも戦力になるはずです。もちろん接近戦の最中に周りを見る余裕まではなさそうでしたので、支援以外を擔當する場合は他に支援を擔當する方が必要になりますが。カリンさんは攻撃魔法もし覚えているそうなので、後衛は支援としても攻撃としても擔えるかと思います。」
マジか…あんなんが実は萬能タイプだったのか?
「ヴェルはカリンの相手をしていてどう思った?アリアを疑うわけじゃねぇんだが、カリンがそこまでなんでも出來るやつとは思えねぇんだよな。実際、アリアのいう通りなのか?」
「アリアがいってることは間違ってないと思うよ。ただ、リキ様が思ってるほど萬能ってわけではないけど。」
「どういうことだ?」
「えっと…次は僕が話しちゃっていいのかな?」
ん?俺が聞いてるのに何いってるんだ?
もしかして話す順番にもこいつらの中では決まりとかがあるのか?
もしあるんだとしても、ヴェルがその辺を気にするのはちょっと意外だな。
「俺が聞いてんだから気にすんな。この流れでカリン意外の話にいく方がおかしいだろ。」
「たしかにそうだね。じゃあ僕がカリンと訓練して思ったことだけど、カリンは頭がおかしい。僕とカリンではさすがに力に差があるから殺そうと思えば殺せるけど、一撃で殺せるほどの戦力差がない相手からしたら、カリンみたいな前衛は脅威だろうね。そういう意味では前衛が向いているともいえるけど、近接戦の強さだけでいうなら前衛が向いているとはいい難いかな。」
なかなか頭がおかしいやつらが集まっているこの村で生活してるヴェルが頭がおかしいと思うほどってどんだけだよ。
「たしかにカリンが接近戦で強いイメージは全くないが、ヴェルと戦い続けていたんだろう?それともそれだけ手加減してたってことか?そんなに手加減していたんなら、戦い続けても凄くはねぇか。まぁ力は思った以上にあるみたいだが。」
「カリンが支援で自の能力を上げたうえで上手く避ければけ流せる攻撃をし続けたんだけど、カリンの戦闘技はそこまででもないから何度も攻撃をけることになっていたよ。でも、カリンは攻撃をけても倒れないように耐えてすぐに回復魔法で回復して、また戦闘勢を取るんだよ。それでMPが心許なくなってくると僕の攻撃に合わせて強攻撃を仕掛けてくるんだ。しかも僕の攻撃を避けるのを諦めてける前提でね。さすがに僕が鱗を纏ったら練習にならないかと思って纏っていなかったから、カリンの力任せに振った杖ならしダメージがるんだけど、それでマジックドレインで回復されて、またやり直しというじだったね。僕は自然治癒があるから最終的にはなんのダメージも殘っていなかったけど、普通の相手なら徐々に疲弊しながらいつ終わるかわからない持久戦をしなきゃならないとか、力より先に心が折れるかもね。そういう意味では前衛に向いてるというのは間違いじゃないかな。実際この短時間で避けるのがしだけど上手くなっていたから、前衛が向いていないってことはないと思うしね。カリンは弱いけど、リキ様の教えに応えるためにあそこまでやって、技をで覚えるを実踐出來るのは素直に尊敬するよ。」
訓練を始める前にカリンに伝えた「攻撃をけつつ回復」ってのは杖でけて、手に殘ったダメージの回復って意味だったんだが、でけて回復してまた攻撃をけながら相手からMPを奪いつつ回復なんていうゾンビアタックじみたことしてたのか。まぁそのくらいの気概でやれってつもりでヴェルをつけたんだが、マジでやったのか。凄えけど、たしかに頭がおかしいのかもな。俺らと同じく。
「思った以上に頑張ってるみたいだし、このままヴェルに任せていいか?」
「あぁ、もちろんさ。」
自分の意思でそこまで頑張れるなら、あとでカリンが弱音を吐いたりしなければ続けても問題ないだろう。カリンが無理っていったら考えればいい。
次は…セリナが相手したのはたしかパトラだったよな?
「パトラはどうだった?」
「パトラちゃんは凄いよ。にゃんであれでCランクにゃのかわからにゃいけど、萬能っていっていいんじゃにゃいかにゃ?特化した能力はにゃいみたいだけど、用貧乏ってほどどっちつかずにゃじではにゃいからね。たぶん速さ以外の技は私より上にゃ気がする。でも、その速さで大差をつけてるから、もしレベル差がにゃくにゃったとしても私の方が強いけどね。」
なんで最後に実力を誇示した?
べつにセリナが強いのは知ってるからわざわざいう必要がないし、そもそもパトラの話を聞いてんのにそんなこといわれたら、パトラが速度に難があるみたいじゃねぇか。
「速度が足りないんじゃ短剣での戦闘は厳しいんじゃねぇか?」
「べつに私が速すぎるだけで、パトラちゃんの速度が足りないわけじゃにゃいし、パトラちゃんは短剣を最大4本使うから、互いにけっこういい訓練ににゃったと思うよ。」
「4本?」
「そう!私がクナイを使うときみたいに短剣やナイフに糸がついてるのをたまに混ぜて使ってるみたいにゃんだよね。しかも凄く細い糸だから意識しにゃいと見落としちゃいそうだし、その糸自がナイフみたいに切れるみたいにゃんだよ。それにナイフや短剣を投擲した直後にゃのに両手にそれぞれ短剣を持ってるのを見たときは私の頭がおかしくにゃったのかと思ったね。投擲しても常に両手に短剣やナイフを握ってるのはまるで魔法だったよ。あ、パトラちゃんは萬能っていったけど、魔法は自分の強化がし使える程度のMPしかにゃいからほとんど使えにゃいらしい。でも遠距離は弓が使えるから欠點ではにゃいと思う。弓も上手かったしね。まぁパトラちゃんは弓使いだと思って接近したら、実は接近戦の方が厄介ってタイプだけどね。パトラちゃんはレベルを上げるだけでもクレハちゃんより強くにゃれるんじゃにゃいかにゃ?ただ殘念にゃことに短剣やナイフに塗ってある毒草の匂いのせいで、せっかくの糸を使った死角からの攻撃が無意味ににゃっちゃってたね。」
カリンパーティーの実力を知るための戦闘のときにパトラに近づいたけど、毒草の匂いなんて俺にはわかんなかったがな。セリナにしかわからないレベルの匂いなら殘念がるほどの欠點ではないだろう。というか、そんな武を使ってることに驚きだわ。デュセスも武に細工していたし、命懸けで戦うとしては普通なのか?
それにしてもパトラはカリンパーティーで1番強いとは思っていたが、ここまで高評価なのは予想外だな。
セリナは速度に特化させたとはいえ、刃を使う技も高いと俺は思っていたんだが、それより上ってことは俺が思っている以上にパトラは強いのか?
パトラの技がランクよりは高いだろうとは思ったし、戦闘慣れしてんなとは思ったが、基本的にはジョブやレベルを含めた強さしか俺にはわからんからな。まぁレベル上げをしてみればわかるから、パトラはセリナに任せておけばいいか。
「ならパトラはセリナに任せた。」
「は〜い。」
総合的に1番強いのはパトラだが、力だけなら1番強いのはラスケルではあるんだよな。もともと獣人族は力こそパワーって種族だったらしいし、ラスケルが目指してんのはそっちなんだろう。ただ、セリナと出會ったことでいい意味でいろいろ考えが変わったみたいだが。
「サーシャはラスケルとの訓練で何か思ったことはあるか?」
「楽しかったぞ。」
……。
「…それは良かったな。だが俺が聞いてんのは技につい……いや、ラスケルの攻撃でどのくらい傷を負った?」
「リキ様が相手をしておった子の悲鳴の回數よりはなかったと思うのぅ。最初の方は力任せに大剣を振り回すだけだからけるのは楽だったんじゃが、時間が経って疲れたのか、速度が落ちた頃に変則的に大剣をかしてきてのぅ。気づくと我の脇腹あたりに突き刺さったりしておったわ。途中からは開始直後から振り方を変えたりしておったよ。ただ、振り回さないと力が足らんのか、剣が軽かったがの。でも、上段から振り下ろしてきた剣を橫に構えた剣でけ止めたら、そこからさらに回転して、我の頭の上から後ろに回りながら背中を斬りつけてきたのは面白かったぞ。大剣と自の重さに差があまりないからこそ出來る蕓であろう。まぁそんなふざけた回転斬りでは我の背は切れんかったがの。」
ラスケルも戦闘を重ねることで工夫するようにはなったようだ。
遠心力を利用した回転斬りの連続は重さはあっても予測しやすい攻撃だから避けんのは難しくはないし、力さえあれば簡単にけ止められちまうからな。
でも工夫したところでサーシャに傷をつけられるような攻撃はそんなにすぐには出來ないだろうと思っていたが、サーシャの話し方からしてけっこうな回數切られてたっぽいな。
まぁ上手くいったならいいか。
「ちなみにサーシャはラスケルにどの程度攻撃出來たんだ?」
「さすがに覚えておらんよ。大の攻撃は防がれたが、骨でも折れない限りは我慢しておったのにポーションを使いすぎたと嘆いておったから、50回は當てたのではないか?休憩中は傷薬しか使っておらんかったしのぅ。」
攻撃を當てることにばっか頭がいって防が疎かになったのか?
まぁそのあたりは慣れるしかねぇか。死なないからって捨てで攻撃する癖がつきそうになったらサーシャには刃ありの大剣を使わせる必要があるかもだが。
「明日からも同じ方法で訓練を続けてほしいんだが、もしラスケルがサーシャの攻撃をける回數が増えたら教えてくれ。増えたかどうかは覚でいい。」
「わかった。」
あとはピリカールか。
「ニアはピリカールとやってみてどんなじだった?」
「盾を使う技は自分より上でしょう。自分と同じく盾の向こう側を見るスキルを持っているので、立ち位置を間違えることもないとじました。ですが、力が全く足りていないです。盾でけ流すのが下手なわけではないのですが、盾の真ん中あたりにし力を込めて攻撃を加えると力を流しきれずに後ろに転がることが何度もありました。あれでは守るべき仲間を巻き込むので、同じ攻撃を繰り返しけ流す練習をしたのですが、本日の訓練だけではあまり上達はしていなかったと思います。転がり方は上手くなっていたように見えましたが、大盾を使う者に必要なのは攻撃を後ろの仲間に向かわせないことなので、自が転がって仲間に怪我をさせるなんて論外です。」
今まで褒め言葉が続いていたのにいきなり辛口だな。
大盾を選んだニアにはニアなりの拘りがあるんだろうから、ニアに全てを任せた俺が余計なことをいうべきではないだろう。
ただ、俺はそんなピリカールの盾使いに翻弄されたから、ピリカールの盾使いは上手いと思いたかったんだがな。まぁいい。
「盾のことは俺にはよくわからないから、このままニアに任せたいんだが、ピリカールは長出來そうか?」
「はい。逆にいえば力が足りないだけなため、レベルを上げれば問題なくなります。ですが、出來ればレベルを上げる前に対処できるように訓練したいと思っています。そうでなければ自よりレベルが高い相手の攻撃には意味をなさない盾になってしまいますから。」
たしかに強い相手の攻撃は抑えられないんじゃ盾として信用出來なくなるかもしれないわな。レベルを上げたって上には上がいるからレベル任せじゃどんだけレベルを上げても安心できないだろうし。
「じゃあピリカールは引き続きニアに任せるからよろしくな。」
「はい。期待に応えてみせます。」
これで全部か?
そういや橫山の話の途中でカリンの話になっちまったから、アリアに今後の橫山の訓練。頼んでなかったな。
「アリアには引き続き橫山の訓練を任せていいか?ど素人の訓練を任せられるのはアリアしかいないからさ。」
「…はい。早めに適した役割を見つけてばせるように努めます。」
「よろしくな。……リッシーは明日からも俺が相手するからこれで全員か。なんか他に今回の訓練について意見はあるか?聞いておきたいことでもいいが。」
聞きながら全員の顔を見てみるが、誰も口を開かない。
よくよく考えたら、実際の訓練はそれぞれに任せているが、今回は俺が訓練をするっていってやり方も俺が決めたから、思っていることがあっても下手なことをいえば俺を否定することになるからいえないって可能もあるのか。さすがにそこまで考えてはいないと思うが……困ったときのアリアだな。
「アリアは何かないか?ユリアとクレハの訓練のときに効果があったこととかあれば教えてほしい。」
「…今回の訓練は今の容で十分かと思いますが、レベルを上げるのを後にするのであれば、せっかくなのでニータートの裝備をするのはいかがでしょうか。レベルを上げる前に筋力を上げておくとレベルが上がったさいの恩恵にも差があるようなので。レベルを上げてからですと筋に負荷を與えるための重りを用意するのも難しくなってしまいますが、今ならニータートの裝備をするだけで十分な効果があるかと思います。」
やっぱりあるのか。聞いておいて良かったわ。
そういやあのときはよくわかっていなかったが、ユリアとクレハもそんなのつけさせられてたな。あれって筋力を上げるための重りだったのか。というかレベルアップ前に筋力を上げるといいってのは初耳な気がするんだが……まぁいい。
「それはいいな。だが、ニータートの裝備は6つもあるのか?」
「…新しくる村人が訓練時に著用出來るように用意しているので、問題ありません。」
村人ってだいたいってくるのはレベル1桁の子どもだよな?
そんなやつらがクレハでも意味をなしていた重りをつけて訓練させられてんのかよ。この村やべぇな。そりゃあ村長の俺がヤバいやつと思われても仕方ないわ。
まぁ実際この世界で生きるのに力は必要だし、聞いたうえでもやめさせる気はないのだから、俺がヤバいやつなのは間違いないか。
「じゃあ使わせてもらうとするよ。」
「…はい。あとは鑑定対策のアクセサリーも用意できているので、後で部屋まで一緒に來ていただいてもいいですか?」
ん?アリアはアイテムボックスがあるのに部屋に置いているのか?
「それはむしろありがたいが、こんな短期間で作れるものなのか?」
「…いえ、村人用に順次作製しているのですが、まだ渡していない分があるので、そこからカリンさんたちに優先してお渡ししようかと思います。」
「村人用?」
俺も持っていないのに村人は支給されてんのか?
「…はい。村人の方々ではリキ様とは違い、どんな相手でも対抗できるとはいい難いので、目をつけられないための対策が必要になります。そのため、対策できるまでは訓練以外では村民區畫から出ない仕事についてもらっています。」
いや、俺も誰でも相手にできるほどの力はねぇんだが…まぁ今まで隠してないんだから今さらだわな。
というか、リスミナとかには鑑定対策の話をしていたのに村のやつらにスキルの話をしたときは何も考えてなかったわ。いや、そのときはそもそも知られると危険なスキルがあること自を知らなかった気もする。なら仕方ねぇな。
「何から何まで悪いな。あと、今日は夕飯後にカリンたちと今後どうするかの話をするつもりだから、裝備やアクセサリーはそのときで……。」
「この後、部屋まで來ていただけますか?」
珍しくアリアが話に被せてきた。
まぁ斷るようなことでもないからいいんだけどさ。
「あぁ、わかった。じゃあ話し合いは終わりだ。みんなありがとな。明日からもよろしく頼む。」
「はい。」
全員の返事を聞きつつ、膝の上のイーラをどうするかと目を向けたら、見上げてきたイーラと目が合った。
たぶん今日のイーラは自分も行くとかいうんだろうな。まぁこのサイズのイーラは重くないし、アクセサリーとかを取りに行くだけだからいいか。
「リキ様、ありがとう。いっぱいでてもらえたからイーラはもういいよ。」
「お、おう。そうか。」
イーラからもういいっていわれるのは予想外だったから返答につまっちまった。
たしかに思った以上にり心地が良かったから、話し合いの間はずっとでていた気もするが、1時間もせずに満足するのは意外だったな。
「アリアの邪魔はしたくないからね。」
イーラが立ち上がるのに合わせてテンコも降りて人型になり、イーラは俺の膝から飛び降りてからいつものサイズに戻った。
いきなり赤ちゃんになったと思ったら、戻るのもいきなりだな。
アリアの邪魔をするようなわがままをいわなくなったのは長したってことなのかもしれんが、長したなら俺に迷をかけるわがままも我慢してくれって話だがな。
- 連載中57 章
え、社內システム全てワンオペしている私を解雇ですか?【書籍化・コミカライズ】
とあるコスプレSEの物語。 @2020-11-29 ヒューマンドラマ四半期1位 @2020-12-23 ヒューマンドラマ年間1位 @2021-05-07 書籍1巻発売 @2021-05-13 Kin◯leライトノベル1位 @2021-07-24 ピッ○マ、ノベル、ドラマ1位 @2022-03-28 海外デビュー @2022-08-05 書籍2巻発売(予定) @編集者の聲「明日がちょっとだけ笑顔になれるお話です」 ※カクヨムにも投稿しています ※書籍化&コミカライズ。ワンオペ解雇で検索! ※2巻出ます。とても大幅に改稿されます。 ※書籍にする際ほぼ書き直した話數のサブタイトルに【WEB版】と付けました。
8 124 - 連載中44 章
【書籍化】萬能スキルの劣等聖女 〜器用すぎるので貧乏にはなりませんでした
※第3回集英社WEB小説大賞にて、銀賞を獲得しました。書籍化します。 剣も魔法も一流だけど飛び抜けて優秀な面がない聖女ソアラは、「器用貧乏」だと罵られ、「才能なしの劣等聖女」だと勇者のパーティーを追い出される。 その後、ソアラはフリーの冒険者業に転身し、パーティーの助っ人として大活躍。 そう、ソアラは厳しい修行の結果、複數スキルを同時に使うという技術《アンサンブル》を人間で唯一マスターしており、その強さは超有能スキル持ちを遙かに凌駕していたのだ。 一方、勇者のパーティーはソアラを失って何度も壊滅寸前に追い込まれていく。 ※アルファポリス様にも投稿しています
8 105 - 連載中153 章
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理系の、理系による、理系の為の異能バトル。
8 95 - 連載中310 章
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最強転生者は無限の魔力で世界を征服することにしました ~勘違い魔王による魔物の國再興記~
うっかりビルから落ちて死んだ男は、次に目を覚ますと、無限の魔力を持つ少年マオ・リンドブルムとして転生していた。 無限の魔力――それはどんな魔法でも詠唱せずに、頭でイメージするだけで使うことができる夢のような力。 この力さえあれば勝ち組人生は約束されたようなもの……と思いきや、マオはひょんなことから魔王と勘違いされ、人間の世界を追い出されてしまうことに。 マオは人間から逃げるうちに、かつて世界を恐怖に陥れた魔王の城へとたどり著く。 「お待ちしておりました、魔王さま」 そこで出會った魔物もまた、彼を魔王扱いしてくる。 開き直ったマオは自ら魔王となることを決め、無限の魔力を駆使して世界を支配することを決意した。 ただし、彼は戦爭もしなければ人間を滅ぼしたりもしない。 まずは汚い魔王城の掃除から、次はライフラインを復舊して、そのあとは畑を耕して―― こうして、変な魔導書や様々な魔物、可愛い女の子に囲まれながらの、新たな魔王による割と平和な世界征服は始まったのであった。
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