《「気がれている」と王家から追い出された俺は、自説通りに超古代銀河帝國の植民船を発見し大陸最大國家を建國する。 ~今さら帰って來てくれと言っても、もう遅い! 超テクノロジーを駆使した俺の建國史~》エピローグ:新たなるプロローグ

「何がどうなったら、そうなる!?

散々前振りしておいて、暗君ロード突き進んでるんじゃねえ!」

あらん限りの熱量を込めて、そうぶ。

母からけ継ぎし、自慢のキツネ耳と尾が、総立っているのをじられた。

「どうした? 二世よ?

まるで、たった今、突然この世に出現して、急にこの狀況を知ったかのようなリアクションだぞ?」

俺と共に、フードで姿を隠した師匠――オーガさんがそう告げる。

「気をつけろよ。

ツッコミたくなる気持ちは分かるけど、バレたらここまで潛した努力がパーだぞ」

そう言ってたしなめてきたのは、エンテ姉さんだ。

「あのアホが暗君にして暴君なのは、今に始まったことじゃないわ。

とうとう、それを討ち取る日がやってきたのよ」

同じくフードで顔を隠したコルナ姉さんが、しかし、隠しきれないほどの殺気をたたえながら、兇暴な笑みを浮かべる。

どうでもいいけど、覇王であるオーガさんやエルフであるエンテ姉さんはともかくとして、この人ただの人間なのにまったく老けねえな。

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「イエス。

今こそ捲土重來(けんどちょうらい)。

気がれた男による建國史を終わらせ、二代目マスターが國を引き継ぐ日です」

フードの側で髪をゲーミングカラーにらせながら、イヴが俺を見據えた。

もオーガさんたちと同様、普通の人間ではないので、奇抜に過ぎる髪を除けば、俺と同年代のである。

「はあっ、はあっ……。

いや、すまねえ。

なんかこう、分かっていたことなのに、いざ目にしたらつっこまずにいられなかったというか、そうせよと天に命じられた気がするというか……」

肩を大き荒げながら、仲間たちにそう詫びた。

「あの人たち、なんか騒がしいな」

「きっと、どこかの田舎から來たんだろう」

周囲では、そんな俺たちの様子を見た他の観客たちが、ひそひそと語り合っている。

――賢王十字陵完ツアー。

彼らは……つーか、俺たちもあのバカ親父が企畫したツアーの參加者であった。

「気狂いぶりを察知した母上たちが、俺を隠し育ててから十年……。

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ついに、この時がきたな。

い頃から隠れ潛む暮らしをし、ようやく祖國が復興したのにまた隠れる羽目になった母上へ、これで吉報を屆けられる」

気を取り直し、あらためて現狀を確認する。

そんな必要は一切ないのだが、これもなんとなくやらなきゃいけない気がしたのだ。

かように俺たちが會話しながら、決意を新たにしていると……。

ついに、その時が訪れた。

「ただ今より、賢王様へ拝謁の時間とする!」

看守をやってるモヒカンの一人が、そう高らかに宣言したのである。

それと同時に、クソ親父を乗せた玉座カーがズゴゴゴゴッ……と音を立てながら、俺たち観客の前に移してきた。

「ふうん……。

我が親なる民たちよ、今日はよくぞこの地を訪れた」

大型バイクへくくりつけられた玉座の上で橫たわりながら、賢王を自稱するバカタレが余裕たっぷりにそう告げる。

くゆらせているそのワインを、顔にぶっかけてやりたい気分だ。

「この賢王十字陵は、我が親なるお師が安らかに眠るための陵墓!

そして、今日こそはそれが完を見る日!

選を勝ち抜き、ここへ來れた諸君らは実に運がいい……!」

大げさな振りを加えつつ、狂王が観客を見回した。

民の苦しみも考えず、自己満足心を満たすために大規模建造を建設……アホに権力渡すとどうなるかという、お手本である。

「さあ、刮目するがいい!

汚れなき十人の子供らによって、てっぺんの三角なやつが運ばれていく様を!」

愚王が手をかざすと、看守らに鞭を打たれながら十字陵最後の建材――頂點に設置するなんか三角のやつを擔いだ子供たちが、姿を現す。

十人がかりとはいえ、しょせんはき子供だ。

神輿(みこし)のように擔いだ三角のやつはいかにも重そうであり、それぞれが、歯を食いしばりながら歩みを進めていた。

彼らは、大陸の諸外國からかき集められた子供たちである。

このバカは、食糧を始めとする様々な支援の見返りとして、罪なき子供たちを奴隷としてかき集め、このくだらない墓の建設へ従事させているのだ。

斷じて、許される行為ではない。

「――かあっ!」

素早くフードぎ捨てたオーガさんが、闘気による熱衝撃波――剛掌波(ごうしょうは)を放つ!

それは、狙い過たず三角のやつを直撃し、これを々に砕したのである。

「むうっ!?

き、貴様はオーガ!

出奔し、姿を消した後はどこぞで地下アイドルでもしているのかと思ったが、こんなところにいたか!?」

「貴様の愚行、これ以上は見るに耐えぬ……。

我らが手で、引導を渡してくれよう」

さすがに驚いた表を浮かべるバカ王に、真の覇王がそう言い放つ。

それを合図として、俺たちも次々とフードをぎ去った。

「ううっ!?

エンテ、イヴ、コルナ……!

そ、そして貴様は……我が(マイ)息子(サン)!?」

「イエス、ユア、サン……!」

「ノオオオオオオオオオオッ!?」

母譲りのキツネ耳を見せつけるようにかしてやると、クソ親父が頭を抱えながら絶する。

さすがに、かつての仲間や息子が立ち塞がったのは、神的に効いたらしい。

「アスル!」

「「あ、はい」」

「……いや、親父の方な」

俺と狂王が同時に顔を向けると、エンテ姉さんが困った顔となる。

しかし、気を取り直すとこう宣言したのである。

「お前には、かつてエルフの自治區を救われた恩がある!

しかし、いや、だからこそ!

これ以上、道を踏み外す前に止めてやる!」

続いて前に出たのは、イヴだ。

「古い方のマスター」

「一個聞きたいんだけど、お前、自分の意志で主を鞍替えできんの?」

「イエス。

ですので、私は新しい方のマスターとして、ご子息を擔ぎ上げます」

「古代のセキュリティ、ガバガバじゃん……」

イヴの返答を聞いた愚王が、軽く眉間をんだ。

「とうとう、この日が來たわね。

父上の仇、取らせてもらうわ……!」

――ぺろおり。

手にしたナイフを舐めながら、コルナ姉さんがそう宣告する。

この人――コワイ!

「そ、そういうわけだ! 覚悟しろ!」

ともかく、頼もしい仲間たちと共に倒すべき相手を前にした俺は、びしりと指差しながらそう告げたのだ。

蜘蛛の子を散らすように、他の観客が逃げて行く……。

それと同時に、玉座の上で俺と同じ名の王が立ち上がった。

「ふうん……これも、天に代わって地を制す者の定めか……」

「何が定めだ!

あんたなんかに制されたら、商売あがったりだぜ!」

「ふっふ……。

我が子よ、どうやらオーガらを仲間としたことで、イイ気になっているようだな?

――だが!」

その、瞬間である。

――ズアッ!

親父が腰だめの構えとなり、気合をれたかと思うと、突如その全が輝きだし、やがては黃金の彫像がごとき姿となったのだ。

「うわっ!? キモ!?」

「キモくないやいっ!

……これこそ、お前が母と共に行方(ゆくえ)をくらませてから得した我が新形態。

――その名も、ゴールデンアスル!」

「ゴールデンアスル!?」

驚く俺に、なんかゴールデンとなった親父がにたありと笑う。

「くっくっく……。

真の帝王というものは、ちょっとその気になってトレーニングしただけで、宇宙最強の力を手にすることができるのだ」

「親父……人間やめてると思ってたが、やっぱり人間じゃなかったぜ!」

相手の強さというか、なんでもありっぷりに込みしそうなった俺を、仲間たちがその視線で支えてくれる。

「臆するな二世よ!

奴のことだ。

すさまじいパワーをじはするが、どうせなんらかの欠點があるにちがいないわ!」

「ああ、間違いなく何かあるぜ!

だってアスルだしな!」

「イエス。

私の見立てでは、変を得た時點で慢心してトレーニングを怠ったため、スタミナがついていきません」

オーガさん、エンテ姉さん、イヴが口々にそう言う。

「キエエエエエイッ!」

「あいたっ!?

太ももを刺すのはやめてっ!

そこ、戦記モノ主人公最大の弱點だから!

いかなる魔師でも帰って來られなくなるからっ!」

一方、いつの間にか金ピカ王に近寄っていたコルナ姉さんは、その太ももへナイフを突き刺すことに功していた。

……どうやら、早速ひとつ、弱點が判明したようだな。

素早く後方へ飛びすさったコルナ姉さんとれ替わりに、俺は親父へと突貫する。

「うおおっ! いくぞおっ!」

「あいたた……さあこいっ!」

--

二世の勇気が世界を救うと信じて……。

読、ありがとうございました!

明日、一月八日。

新作「未來の戦爭ではJSが機を駆っている」連載スタート。

初日のみ、複數回投稿します。

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