《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第146話 論功行賞

6545年5月25日ーー。

ガルレアン帝國を盟主とする四ヵ國の連合が総計60萬の大軍を率いてポルネシア王國を侵略。

これに対し、ポルネシア王國は西にロンド・デュク・ド・オリオン、南にレビオン・アンプルール・ポルネシア、東にクレドール・カウント・ド・プロキオンを配置し、これを迎撃する。

宣戦布告なき國境越えに敗北を重ねていたポルネシア王國が最初の勝利を飾ったのは、ポルネシア王國西部のカーノ渓谷。

オリオン公爵家の嫡男、レイン・デュク・ド・オリオンが率いる五千が、ミルハ率いる元リュミオン兵により構されたバドラキア軍三萬との戦い。

ミルハ率いる騎馬隊をオリオン軍が防ぎ、ミルハを捕らえる事により降伏させた。

そのまま元リュミオン兵のバドラキア軍を併合したレインは後発のオリオン公爵家私軍一萬五千を合わせ、西進。ハドレ城を攻略中であったバドラキア本軍十萬相対す。

その際放たれたレインの強大な魔法によりバドラキア軍瓦解。オリオン公爵軍の完勝となる。

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そして東部、ポルネシア王國海軍とナスタリカ皇國海軍の海戦。

ナスタリカ皇國海軍大型船30隻、中型船50隻に対し、ポルネシア王國海軍は中型船60隻でこれに相対す。

ナスタリカ皇國の軍艦は帆と人力によるオールでくガレー船であるのに対し、ポルネシア王國は帆もなく、漕ぎ手もいない新型船であった。

漕ぎ手が不要となり、重量が軽くなったその船に積まれた新型の兵にナスタリカ皇國はなすすべなく壊滅。旗艦ラベラスト號の轟沈により、降伏した。

二ヵ國の降伏、および壊滅をけ、南部からポルネシア王國を攻めていたリコリア共和國は即時反転。

じわじわと引いていき、そのままポルネシア王國外へ離。両國共に被害は極めて軽微であった。

そしてこの戦爭最大の死闘の場、レヴァリオ平原にて行われたガルレアン帝國軍二十五萬対ポルネシア王國軍十五萬の大戦。

開戦當初より雙方多數の死傷者を出し、大量のを流すこと四日。北方、及び西方よりもたらされた報により、帝國軍は大きな決斷を迫られる。

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元リュミオン王國の軍が北と西から帝國を脅かしたのだ。更にはポルネシア王國軍にはバドラキア軍を壊滅させた魔法がある。帝國六魔將の二人から強大な魔法が放たつ決斷をし、実行した。

しかし、ポルネシア王國軍側から放たれた魔法により、帝國軍側から放たれた強大な魔法は帝國軍へと降り注ぐこととなる。この事をきっかけに帝國軍は後退を強いられ、オリオンの苛烈な攻めによりポルネシア王國で散り散りとなる。そのまま六魔將キャンティスはバドラキア王國へと撤退。事実上の敗北となった。

西がこの戦爭最大の大戦であったと言うならば、北で起こった出來事はこの戦爭最小の決闘であっただろう。

ポルネシア王國の北、長年人類未到の地であったフォレストガーデンと呼ばれる風エルフの領域を帝國軍五萬の軍勢が抜け、手薄であった北方からポルネシア王國を脅かした。

これに相対したのは、ポルネシア王國の王軍三萬。そしてそれを率いたのは若干12歳にしてポルネシア王國オリオン公爵家の嫡男レイン・デュク・ド・オリオンであった。

決戦の場、ラッツ平原。

初日より英雄級の魔法の撃たれ、二日目に至っては炎の隕石と大海のような水量で空が覆い盡くされたと言う。

そして、その様に恐れをなした闇のフレッグスが離、風のウィンガルドがレインとその奴隷頭スクナとの決闘の末戦死。北方制圧軍の帝國軍は降伏した。

その場で魔法を目撃した多くの者たちが口を揃えてこう言ったという。

「この戦爭の勝敗は彼らの手に握られていた」

と。

以上がポルネシア會戦の結末である。

ポルネシア會戦より數日後ーー。

俺を含めたこの戦爭に參加した者達が王都に集められていた。

「ポルネシア王國の勇士達よ! 貴殿らは超大國ガルレアン帝國を始め、數々の強大な國々からの猛攻を見事防ぎ、祖國を守ってみせた! 王として禮をいう!」

王城前の大広場が見渡せるバルコニーに立ち、王が演説する。

拡聲の魔法が使われているのでこの演説はこの王都全域に響き渡っている。

「我がポルネシア王國の勝利は、貴族、平民、奴隷関係なく皆が一丸となり、祖國を躙せんとする強大な敵國に立ち向かったからこその結果である」

王の演説が長々とされている。既に30分は経っているのだが、貴族は當然だが、市民もこの長い王の演説に聞きっている。

ポルネシア王國が四ヵ國から攻められているとの報が市民に出回った時、國中で暴が起こった。大國が本気を出してこのポルネシア王國を取りにきたのだ。國民の多くが諦め、國から避難しようとした。

しかし、一つの戦勝報告により、狀況は一変する。

オリオン公爵軍がバドラキア軍十萬を壊滅させた、という噂だ。そこから始まるポルネシア王國軍の快進撃は正に國民にとっては英雄譚であっただろう。

そしてその火付け役がオリオン公爵軍のバドラキア軍壊滅の知らせ。

「中でも四方からの進軍を見事防ぎきり、壊滅させた大將軍達の働きは抜きん出ているものがあろう。彼等には各々に対してその働きに見合う褒賞がある。が、そんな彼等の中でも更に頭一つ抜けた働きをしたものがいる! ロンド西部大將軍! 前へ!」

「はっ!」

背後に控えていたお父様が前に出る。

実用より煌びやかさを重視した式典用の甲冑を著たお父様が前に出る。

それと同時に市民達から空が割れんばかりの歓聲が聞こえて來る。この戦爭、オリオン家なくして勝利はなかったとここにいる全ての人たちがわかっているのだろう。

あちこちから謝と稱賛の聲が聞こえて來る。

それを陛下は手をあげる事で鎮め、続ける。

「ロンド西部大將軍はその私兵でもってバドラキア軍十萬を壊滅させた」

「おおーー!」

「そして、その知識と武勇を持って寡兵で帝國軍25萬を打ち破り、ポルネシア王國の武をオルレアン大陸全土に響かせた!」

「うおおぉぉぉぉーーーーーーー!!!!」

響き渡る歓聲。

「この他に比類なき武功は此度の戦の第一功として讃えられるべきものであろう。よって、オリオン西部大將軍には一階級昇進、及び、領地と金品を授與する!」

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!」

またもや響き渡る大歓聲。それらを聴きながら俺は神眼で自分の名前を確認する。

{レイン・グランデュク・ド・オリオン/Lv. 89}

{14030593/85639500}(晩型)

{男/AB/6533/7/8}

{人族/オリオン大公爵家}

{HP 953/953}

{MP185609/185609}

{STR638}

{VIT 583}

{AGI 983(+1966)}

{魔法}

{スキル}

レア4 MP上昇率大

レア5 神速

レア6 我が矛は最弱なり、我が盾は最強なり

レア7 魔力全吸収

レア7 無詠唱

レア9 魔導王

レア10 神眼

エクストラ 言語理解

名前がグランデュクに変わっていた。つまり公爵から大公爵へと陞爵したという事だ。

ポルネシア王國初の大公爵。その発表に市民のみならず貴族達まで湧き上がっている。

「我が國の矛として、また盾として、この國を守ってくれ!」

「はっ! この命を賭しても!」

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!」

「ポルネシア王國萬歳! オリオン大公爵家萬歳!」

儀禮用の裝飾が華に施された剣をけ取り、お父様は下がる。

「続けて……」

他の將軍達が次々と呼ばれて褒け取っていく。

俺は橫に來たお父様に小聲で聞く。

「大公爵ですか……。おめでたいですが、急ですね。先に教えてくださればよかったのに」

「お前を驚かせたくてな。それに私がけ取った褒にはお前の分も含まれている。二人分合わせての陞爵だ」

「……」

俺の分の褒をお父様がけ取った事に不満があるわけではない。今日功を下賜されるのはお父様だけ。俺の分もまとめてお父様がけ取る事になっている。俺の力はが多い力の為、公にするかは議論が必要だからだ。

だからここでの疑問はこのタイミングでの陞爵の方だ。

この分だと陛下が仰っていた領地と金は期待できないかもしれない。それはし、いやだいぶ困る。オリオン家の懐事はそこそこ切迫しているのだから。

「帝國の脅威は依然としてある。それに……私はお前はこういうのは嫌がると思っていたんだがな?」

「え?」

俺が嫌がるとは。

そう聞き返そうとした時、バルコニーで演説していた陛下が突然話題を変えた。

「ここで一人の英雄を皆の者に紹介しようと思う! オリオン大公爵家嫡男、レイン・グランデュク・ド・オリオン前へ!」

は?

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