《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》長距離ワイバーン競技 初日優勝者は?

攻撃手として後ろに座るアルクは攻撃の意思を固めた。

そして、その時は――――

「來た……抜刀!」とアルクは小さく聲に出す。

剣の代わりに、その腰に帯びているのは魔法の杖。

しかし、その作には淀みなし。

――――今まで何人の命を抜刀と共に斬り倒してきたのか――――

そんな想像を掻き立てるほどにらかな――――しかし――――

「待て」と止められる。 騎手として前に座る団長の言葉。

その言葉は、アレク本人の意思よりも優先度は高く、「ピタッ」と幻音が聞こえるように制止した。

「なぜ……」とは聞き返さない。

(フォルス団長は合理主義者。ここで止めるのは、意味がある。それも戦的な意味)

さらに接近するベルト&メイル組。 そのプレッシャーは大きい。

(もっと自制心を。今、気を抜けば、恐怖から攻撃を開始してしまいそうなほどに怖い……)

気づけばアレクは手が……全が震えるほどに――――

「捨てろ」

「え?」と、アレク。今度は団長の言葉に聞き返した。

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しかし、返事はなし。

(捨てろ? 何を、何を捨てる? 恐怖心を――――いや、違う。おそらく団長が捨てる事を指示したは――――だが、本當に良いのか? それじゃ、僕はなんのためにいる?)

。 そんなアレクにフォルス団長は、チラリと振り返る。それから再び同じ言葉を――――

「……捨てろ」

「――――っ!」を強張るアレク。しかし、ここで理解できぬ者ならばれない。

フォルス団長の腹心に、聖騎士団第一隊隊長にはれない。

だから――――

「わかりました」とアレクは杖を捨てた。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・・

その異変は後方を飛ぶベルト&メイル組にも伝わる。

「前方のフォルスさんとアレクさん……杖を捨てました。でも、どうして?」

「……おそらくは気づいたのだろう。このタイミングでの攻撃の無意味さに」

「無意味さ?」とメイルは一瞬だけ考えて、すぐに答えを出す。

「魔法攻撃を度――――ですか? 本來のアレクさんは、魔法使いではないので――――魔法を當てるための條件を理解していない?」

「たぶん……ね。 この高速移で魔法を當てるためには、距離や魔法の度……なによりも必要なのは安定した足場だ」

ワイバーンは翼で羽ばたいて飛ぶ生だ。 もちろん、様々な種類、様々な飛び方がある。

しかし、基本はそれ……翼を上下にかして飛ぶ。 ならば、安定した足場から魔法の撃はめない。

「だから、當てるかどうかわからない――――當てれる可能が低い魔法勝負を捨てた」

「なら、ここからは――――」

「そう――――純粋な速度勝負だ」

2匹のワイバーンが空気を切り裂きながら、進んで行く。

もう、作戦も殘っていない。 純度の高い競爭。

それに対して答える聲が聞こえてくる。

「ベルト義兄さん、見てください地上を――――」

「あぁ、凄いなぁ。まるで、人で地上に道ができてるみたいだ」

いよいよ、近づいた長距離ワイバーン競技の初日ゴール。

新たなる競技による新しい英雄を見屆けようと――――地上では熱気と聲援に溢れていた。

そして、それは見えた。

「見えました! アレが――――あそこが今日のゴール地點です、ベルト義兄さん!」

「よし、取るぞ。一番であそこに飛び込む」

「はい!」とメイルは加速――――深紅のワイバーン、タロウに加速を命じる。

ゴール直前、ついに2匹のワイバーンは並んだ。

そんな時、フォルス団長は――――

(なぜだ?)

そんな短い疑問符を浮かべていた。

(我らは勝つために緻な作戦を立てた。生まれたばかりのワイバーンの厳選からの育。それも數の利を――――本番では10匹のワイバーンでチームを作った。それがなぜ、ここまで追い込まれている?)

合理主義者のフォルス団長に取って、今の現狀。

ベルトと競う合う展開は道理の外。

だが、ここにきて新たな疑問が生まれる。 いや、それは誰しもが思っていた疑問かもしれない。

(なぜ、騎手がメイルで、攻撃手がベルトだ? 普通、逆ではないか?)

杖などで借りの魔法を使わなくとも、攻防に優れた魔法を使えるメイルが攻撃手にすべきではないのか?

そんな単純な疑問。 そして、もちろん――――それには理由あるのだろう。

重が軽いメイルを前方に置き、ワイバーンの意思疎通を任せる。

ならば、ベルトの役割は本當に攻撃のみ―――いや違う。

理的にワイバーンのコントロールの支援をしていたのか?)

フォルス団長は気づいた。

ベルトは高速巡行するワイバーン。あるいは左右崖の進路をとり、魔法を使った戦闘では旋回を多用する。

ワイバーンが左右に激しくく時、凄まじい橫からの重力をける。

それに対して、ベルトは向かってくる重力に當たりで対抗するようにかし――――ワイバーンの疲労だけではなく、騎手であるメイルの疲労も軽減させていた。

ならば――――

「ならば、我の予想よりも力の消費がすくなかったと言う事か! ベルト・グリム!」

「さぁ? アンタが何に気づいたのか知らないさ。 でも、ここは――――初日は俺とメイルが貰った!」

僅か――――極めて僅か差。 赤い影が誰よりも速く、ゴールラインを越えていった。

長距離ワイバーン競技 初日

優勝 ベルト&メイル組

2位 フォスル&アレク組

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