《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》初日競技終了直後

競技

喜びや悲しみは無論――――人々から様々なを引き出させ、熱狂へとう。

競技者に取ってみれば、敗者に取ってみれば、

無慈悲で殘酷――――真剣であればあるほどに――――

もしも、あの時、ああしておけば、あるいは――――そんな言葉が無限に湧き出ていく。

そして勝者には――――

萬雷の拍手にを包まれ、王の如く喝采をける。

この日、新たなる王者の誕生、英雄に対して、人々は稱える。

それはまるで行き場の失った破のようであり、の坩堝を化させていく。

だからだろうか? 普段は完璧に制されているベルトの

それですら、鎖を解かれた。観客たちに手を上げ答える。

それは、すなわち――――

最強の暗殺者が、王に―――― 暗殺する者が暗殺される側に裏返った瞬間。

離れた場所に設置された狙撃手。火薬式の小筒を構え、ベルトに狙いを定める。

だが――――

『どうした? なぜ撃たない?』

聲を送る魔法の札から、狙撃の催促が聞こえてくる。

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しかし、狙撃手は撃てなかった。

「――――撃てません」

『なぜだ? 何があった?』

「標的は、こちらを見ています」

『……』と暗殺指示を行っている者は長考の無言。

『……馬鹿な。貴様の位置と標的の位置、どれほど離れていると思っている?』

「――――しかし、事実です。こちらに視線を私に向けたまま、外しません」

『最強の暗殺者……眉唾の肩書だと思っていたが、本か?』

「はい、間違いなく」と狙撃者は斷言した。

『疲労からの安堵。激しい祝福にを――――自と他者の殺意を制し切る……化けめ』

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「どうしました、ベルト義兄さん?」とメイル。

「……いや、なんでもないさ」とベルトは視線をメイルに移した。

そんな2人に「おめでとう」と聲をかける男。 最初にベルトへ握手を求めて、手を差し出してくる。

「……誰だ?」とベルト。その聲に空気が凍り付く。

「義兄さん、義兄さん。マリアさんと一緒に、この競技の運営を行っている方です」

メイルが慌てて、ベルトへ耳打ちをする。それから――――

「えっと、確か、お名前は――――リュウ・アイヤーさんだったと記憶しています」

「ん? あぁ、そう言う事か。それはすまなかった」

「い、いえ、私たちも、こちらの大陸では無名ですので……」

それだけ言うと彼は、手にしていた花束をメイルに、金でできたトロフィをベルトに、それぞれ渡した。

「それでは次のレース、2日目も期待しています」と言って去っていった。

「あの……どうしました? あのリュウさんにどこか不穏なを?」

「いや、彼にはなかったよ。殺意とか、悪意は……」

そう言いながらも、視線を外さないベルトだった。

それから……

関係者のみがれる建。 誰も部外者はいなくなったタイミング。

「ご苦労さま」と男がもう1人。現れたのはリュウ・アイヤー……。

リュウ・アイヤーが2人!? 互いに向かい合う。

「本當に、ここまで必要ですか? 影武者まで用意して」と男は、手櫛で髪を直す。

確かに2人が並ぶと別人だと分かる。

「仕方があるまい。爺の判斷だ」と本のリュウは笑う。

「ほっほっほ……」と呼ばれて姿を現したのは、リュウの側近。 『爺』と呼ばれていた老人だった。

「あのベルトという男、を読み取る怪の部類。流石に認めましょう――――アレはワシよりも修羅場を潛り抜けた本の暗殺者じゃ」

リュウと、その影武者。 2人とも背筋に寒気は走った。

両者とも戦いに関しては素人。その素人ですら無理やり理解させられるほどの殺気だった。

ベルトが怪であるならば、この爺と呼ばれる老人も怪ではないか?

それでも―――― リュウには、戦闘力は皆無。しかし、引かない膽力があった。

「爺の力を持っても殺せぬか? ベルト・グリムという男は」

「――――」と老人は無言。それから――――

「ただ、殺すだけの方法なら幾つも思いつくわなぁ」

そう言って「ほっほっほ……」と老人は笑った。

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